生後数か月
写真は母と僕です。
実家の整理を数年前に引き払うのにしたんですが、その時に出てきました。
見た感じは生後数か月というところでしょうね。
母はまだ30歳前後のはずです。確かに若いですね。
後ろの書棚には本がたくさん並んでいます。
たぶん父の所蔵していた本だと思います。父は本が大好きでした。
その影響で僕も本が大好きになっていました。
特に小学生のころに、体育に出ちゃいけないことになり、ずっと自習でしたのでその間は読書に明け暮れました。
夏目漱石や、芥川龍之介、森鴎外。
小学生には難しい文章でしたが、図書館にいっては本を借りていたのでした。
難しい文学作品の分類にはまったく興味がなかったのですが、小林多喜二を読み、29歳の若さで投獄され殺されたことを知り、日本ってのはひどい国だと思うようになり、プロレタリア文学を多く読むようになりました。
労働者階級と知識階級というべきなのか、その階級差に苦しむ人々。炭鉱夫や、船員として労働をすることしか生きていく方法がない人々の苦しみや慟哭。
中学生になってなお、体育は自習だった僕にとっては、自分で小説を書くか、文学作品を読むかが楽しみになっていました。
そんな幼少期を過ごした僕は高校大学と札幌で過ごすんです。
この写真の数年後には、僕は心臓が悪いことが発覚し、成人できないかもしれないことを医師より伝えられ、母はどん底に落ちてしまいます。
まだ笑っているこの頃はとても素敵な笑顔だなと思い、載せさせてもらいました。
おそらく、この数年後の心臓の件を伝えられてから、小学校、中学校と母の笑い顔を見た記憶があまりありません。
笑ったらこんな顔をしていたんだなって思う写真です。