世界一周第2章までを終えて私たちが今感じること
2023年3月30日から世界一周の旅に出た私たち。もう早いもので2023年も終わりを迎えようとしている。他のworld travelerたちと比較するとペースの遅い私たちだが、これまで270日かけて12ヶ国を旅してきた。
これまで私たちが訪れた国は以下の通り。
韓国、イギリス、アメリカ、メキシコ、ベリーズ、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ニカラグア、コスタリカ、コロンビア、エクアドル
この12ヶ国をざっくり分けると
第0章 旅の準備編
第1章 北米編
第2章 中米編
のような形になるが、決してずっと楽しい旅というわけではなかった。
そんな私たちが一年を振り返りながら、私たちの旅で感じたこと、2024年はどんな旅をしていきたいかなどを語った。今回はそれについてまとめる。
悲しい現実「オーバーツーリズム」
色んなメジャーな観光地に行ってきた。
アメリカのアンテロープキャニオン、メキシコのカンクン、グアテマラのアカテナンゴ火山、コロンビアのメデジン。
現地の自然そのもの、文化は本当に美しく、新しい生き方や文化を学ぶことで、私たちのこれからの生き方の幅を広げてくれ、私たちにとっては間違いなく素晴らしい体験だった。
しかし、その一方で、私たちがそこで見たツーリズムの実態は、決して美しいものだけではなかった。
その一つに「オーバーツーリズム」があげられる。これが顕著だったのは、コロンビアのメデジンだった。色んな人からメデジンの噂を聞き、私たちの中でも期待値が高かったのもあるが、実態は行き過ぎたツーリズムの温床と化していた。
代表格はコムナ13と呼ばれる地域。
数年前までは、コロンビアで最も大きいカルテル組織がこの地域を統治しており、その影響で毎日何十人と死者が出る様な、最悪治安地帯。現在は、政府がカルテル組織を一掃してから、観光客が世界中から集まる安全地帯となった。
そのサクセスストーリーが人々を惹きつけ、現在はオーバーツーリズムと化している。
このコムナ13という地域は、山の斜面に住居が連なる地帯で、住民は毎日階段を上り下りして生活していた。もともと、こう言った山の斜面には、政府が水道や電気などのインフラを整えなかったこともあり、税や公共料金を支払わずに住むことができるため、貧困層が住み着くようになったんだとか。現在は水道も電気も通っている。
そういった人々の毎日の生活を楽にするために、カルテル組織一掃後、屋外エスカレーターが設置された。どうやらデザインは中国、エスカレーターは日本が提供したんだとか。もともと、地元住民の生活を豊かにするためのエスカレーターだったはずが、私たちが訪れた時は、観光客の長蛇の列で、地元民が使う隙もない。交通手段として使われる一般道には、屋台が立ち並び、人で溢れかえり、地元民はクラクションを鳴らして人の流れを止めないとバイクも運転できない。そんなカオスな状態となっていた。
もちろん入場制限があるわけでもなく、エスカレーターの踊り場では、ダンスなどのパフォーマンスが行われ、人が流れず、エスカレーターを降りれずにドミノ倒しが今にも起きそうな状態。
私たちはこの惨状に、声を詰まらせた。
とてもではないが、人が楽しめるような場所ではない。果たしてこれが「観光」と言えるだろうか?
自分の利益を最優先する移住者たち
私たちが長期滞在したメキシコの小さなビーチタウン、サユリタ。ここは、移住者によって、街が破壊されていた。
はじめにビーチタウンと言ったが、ここのビーチは過去を遡ると本当に美しく素晴らしかったらしい。現在は、世界でもトップクラスで汚染されたビーチと化していた。
もともと小さい町だったサユリタだが、世界からその美しいビーチに惹かれて移住者が後を絶たず、どんどん新しい建物が建設された。下水処理は、増える建物や人々に追いついて行けず、美しかったビーチのすぐ隣に垂れ流し状態。水や電気の供給も、増え続ける人口に追いつけず、町全体が水不足になるのは日常、恵みの雨が降れば、町全体が停電。また、街全体の物価が急速に上昇し、地元のレストランやショップは値上げせずにはいられない。地元民の生活は苦しくなるばかり。
どんどん生活の質は下がる一方だと言う。
私たちがワークアウェイを使用して滞在したホストの近所には、地元のメキシコ人は居らず、オーストラリア、カナダ、アメリカなどからの移住者がほとんどだった。また、レストランやカフェの名前を見れば、明らかに地元オーナーがつけそうにない名前が立ち並ぶ。
定年退職後に、自国を出て、自国よりも物価の低い途上国や、これから経済成長が見込まれる国への移住は、今やトレンドと言っても過言ではない。しかし、その一方で現地の人たちは、他国からの移住者によって、自分の故郷がどんどん壊されていくのを見ることしかできない。
こんな悲しいことがあっていいものなのか。
日本ではまだ起こっていない、いやもしかしたらもう起こっているのかもしれないが、日本を出て見える景色は、決して美しいものだけじゃなかった。
フェアトレードな旅
以前こんな記事を書いた。
これは単にチップの話だったが、よくよく考えてみると、これはチップを越えた、もっと先にあることに疑問を持っていたかのかもしれない。なんて今は考える。
よく「フェアトレード商品」なんて、お店で見かけたりするが、私たちはそういう旅がしたい。観光客が、地元民のビジネスに恩恵を受けて、彼らが観光客から100%リターンを得る。
私たちがしたい旅はこれなのではないかと。
私たちが年末年始を過ごす、エクアドルのガラパゴス諸島。ここでは、大きくわけて2通りの観光の仕方がある。
1. クルーズ船観光
いくつもの小さな島があるガラパゴス諸島。クルーズ船での観光は、クルーズ船滞在中(就寝中)に次なる島へ移動してくれるため、移動時間を最小限にして効率的に観光することができる。
2. バックパッカースタイル観光
自分で飛行機のチケットを購入して入島後、各島には日中の船(午前1便・午後1便、最大1日2便)を利用して、移動・観光する。日中しか船は出ていないため、クルーズ船のように効率的に移動することが不可能。
私たちはこの観光の仕方について、真剣に話し合いを重ねて、計画を練った。最初は効率重視だった私たちだったが、最終的に選んだのは、2.のバックパッカースタイルだった。
なぜか。
それはこのクルーズ船を運営している会社にある。実はこのクルーズ船は海外資本の船であり、ガラパゴス諸島民とは何ら関係がない。ガラパゴス諸島に住み、自然と隣り合わせで、自然を理解し共に生きている地元民には、一銭も行かない。彼らの居住地にお邪魔させてもらうと言うのに、そんなことがあっていいものなのか?
以前日本で暮らしていた私たちには、ある一種の信条があった。
大手企業や大手チェーンではなく、個人経営や家族経営をサポートしよう。
だった。
スタバの代わりに近所の小さなカフェ、
マックの代わりに少し高めの個人経営のお店、
アサヒビールの代わりに秋葉原のiBrew、
日高屋の代わりに中国人ご主人のお店、
鳥貴族の代わりに近所の焼き鳥屋さん、
昔はフードトラックや焼き芋のアナウンス等、よく見かけたり聞いていたりしたのに、今じゃめっきり。そういう地元の人のこじんまりとしたビジネスを応援したい。
そういう気持ちが私たちの中にあった。
だから今回のこのガラパゴス諸島の旅スタイルも、2人で事前調査した段階で、私たちの答えは明確だった。
私たちが目指すのはステークホルダーツーリズム
今年に入って、星野リゾート代表が語った、このステークホルダーツーリズム。私たちが目指すべき旅は、これなのではないかと感じた。
以前にも「レスポンシブルツーリズム」という言葉を聞いたことがあった。直訳すると「責任ある観光」という意味になるが、観光客側が観光地やそこに住む地域住民に与える影響を考慮した上で、責任を持った観光をする。という、観光客側に視点を置いたものだった。
しかし、今回のステークホルダーツーリズムは、旅行会社、交通やホテルなどのお金が流動的に動く主となる部分だけでなく、その土地に住む人たちにも、何かしらの享受が行くような新しい観光を指している。
地域住民側が、観光客を制限(こういう人に来て欲しいと名言)し、観光客側もそれを承知した人のみが訪れる。お互いがもっと尊重し合える、そんなコミュニティが増えたらいいなと思うのだ。
もちろん有名観光地を訪れたい気持ちもある。これからも有名なマチュピチュやウユニ塩湖等の王道観光地にも足を運ぶつもりではあるが、それが全てな旅をしたい訳ではない。
2024年はステークホルダーツーリズムを実現できるような、小規模観光地へ足を運び、その土地で個人ビジネスを営む方々に、惜しみなくお金を使っていきたい。
この旅が終わり、どこかに定住先を見つけた際も、私たちはそういった同志たちを、最高のおもてなしで迎え入れたい。まずは、自分たちの旅のスタイルから、徐々にステークホルダーツーリズムに理解を示す方々との出逢いを生み出していきたい。
写真は日の出を拝む登山客たち。
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