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鍼灸院に行こう。でも鍼灸って効くの? 2ー(10) 皮膚と脳・内臓は繋がっている3
前回は触圧覚の重要性についてお話しました。
なぜ痛みより触圧覚のほうが重要なのか
もともと感覚器は、音楽を楽しむためでも、美しいものを愛でるためでもなく、命の危険をより早く察知するためのものだと考えられます。
大きな音がしたら無意識に振り向いてしまうのも、人の目が近くよりも遠くを見ることに向いているのも、早く危険を察知するためだと思います。
では、痛覚と触圧覚はどのような危険を回避するために発達したのでしょうか。
一つ考えられることは、触圧覚は今まさにこの瞬間の危険を伝える感覚で、痛覚は身体が受けた損害を放置することによる、ある程度長い時間の幅の中での危険を伝える感覚ということです。
命を脅かす危機の際に、痛みを伴わない触圧覚だけを感じることがあるのか、疑問が残ります。
しかし、不快な皮膚感覚は危険を本能的に感じとっているのかもしれません。
皮膚は、危険が見に迫っていないか探るレーダーのようなものです。
暑すぎても寒すぎても、度を過ぎると命に関わります。
自覚はありませんが、、皮膚は肌感覚として、周囲に危険な要素がないか常に皮膚は探っており、いつもストレスにさらされているのです。
皮膚のもう一つの役割・・・コミュニケーション
人は男女の間のスキンシップは言うに及ばず、握、手したり肩をたたきあったり、慰めるときは背中をさすってあげたりします。
赤ちゃんがおっぱいを吸うと、お母さんの脳ではオキシトシンというホルモンが作られます。
赤ちゃんの脳でも、だっこされたり話しかけられたりすることで、オキシトシンが作られます。
このホルモンには集中力やポジティブさを高める効果や、愛情ホルモンとも言われているように、愛情を感じ穏やかな気持ちになることで、脳内のストレスを軽減軽減させる働きもあります。
人間だけでなく犬や猫も、触れ合うことで長生きするという研究もあるようです。
実は解剖学上、脳と皮膚は同じ仲間です。少し意外じゃないですか。
お母さんのおなかの中の受精卵が分裂を繰り返す過程で、皮膚と脳などの神経系は同じ外胚葉と呼ばれる同じ部分から発達していきます。
脳と皮膚には見た目以上に密接な繋がりがあります。
そのため、皮膚が受るストレスは脳のストレスにもなり、皮膚のストレスが解けているときは、脳のストレスも解けているのです。
日常の何気ないスキンシップには、解剖学、生理学の面から見ても、脳の余計な緊張を解く癒しの効果があるのです。
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