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武蔵野の開かれた礼拝堂―日本キリスト教団国分寺教会
17日、ふと思い立って、JR中央線の国分寺駅で下りて、日本キリスト教団国分寺教会に行く。2023年に、ドコモモジャパンから近代建築運動の建物として選定されたと知ったからだ。本当は、日曜礼拝に出てみようと思っていたけれど、無精者ゆえ、いつ実行されるか当てにならない。思い立ったが吉日と、寄ってみることにした。
※今回の建築に関する説明は、全て以下のぺージからの引用です。
建築は素人だけれど、建物を見に行くのは好きだ。建築には、その建築家が人間をどう捉え、どのような空間を目指すのか、ということが如実に表れる。建物は良くも悪くも、人間の意識や関係性を変えてしまう。私たちは日々、建物の中で暮らし、働くが、私たちが長時間身を委ねる入れ物は、私たちの意識に多大な影響を与えていると思う。
駅から数分歩いて、坂を上ったところにある。何度となく近くを通っているのに、坂を上ってみたことはなかった。坂道に早くも翌週の説教の看板が出ていた。
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入口には案内板がある。
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敷地に入ると、一部がきれいに手入れされたお庭になっている。
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バラの花がほころんでいた。
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正面から、お写真を。
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こちらの教会は、キリスト教社会運動家の賀川豊彦が1945年に設立した戦災者と引揚者のための簡易宿泊所「向日荘」を母体とし、そこで東駒形教会の深田種嗣牧師が開校した日曜学校を母体に1947年3月に国分寺伝導所(のち国分寺教会)として開設されたものだそう。
ふむふむ、キリスト教と社会的弱者の救済が結びついたことが、この教会の原点なんですね。敷地のすみに、白いアパートのような建物が建っていたけれど、おそらくかつての簡易宿泊所の名残りなのだろう。今はどんな方のための施設として用いられているのだろうか。
現在の建物は、当初の建物が1947年5月に焼失した後に新築されたもの。新築計画に際し、教会の信者であった彫刻家の本郷新が、深田牧師に建築家の池辺陽(きよし)を推薦し、池辺に設計が依頼されたという。当時の池辺は無神論者だったが、深田の思想に感銘し、設計を引き受けたそう。
池辺は礼拝堂の設計にあたり「武蔵野に続くような開かれた教会」をイメージしたと述べているそうで、戦後の武蔵野の風景を建築空間に取り込もうとしたと考えられる。実施案では、南北の妻面(つまめん)には板張りを基調にして中央にのみ象徴的な縦スリットの窓を開け、対照的に東西の側面は壁面をガラス窓として天井面がそのまま外部の軒裏に連続する開放的なデザインとしたという。
礼拝堂という外部に閉じた空間に対し、「透明感」を与えて外部と内部の連続性を表現しようとした点にモダニズムの思想と表現を見ることができるという。
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なるほど、外から見ても、板張りで、中央部分だけ縦型の窓が開いていることがわかる。
さあ、中に入ってみましょう。こぢんまりした礼拝堂だ。説明通り、左右はガラス窓。天井の部分は板張りというのも面白い。春や秋の気候のいい時期に、四方から日差しを受けながら説教を聞いたり、讃美歌を歌ったりすれば、神さまの恵みを体感し、礼拝堂を出てくるときには、入るときよりも気持ちが満たされ、幸せになっていることでしょう。
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素人ゆえ、説明がないと、今いちその建築の意義がわからないのだけれど、ドコモモジャパンのホームぺージで説明があったために、noteの記事を書きながら、この教会の建築史的意義をおさらいすることができた。便利な時代になったことをありがたく思う。また近場で建築史的に意義ある建物があれば見に行きたいなあと思う。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。