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今年観た音楽映画2024

 今年も今日で最後。
今年は昨年よりも仕事方面で忙しくなり、映画を鑑賞する数が激減しました。
2023年は112本でしたが、今年は55本。約半分です。
映画館にも足が遠のき、TVやDVDで観ることが増えました。
本来、音楽映画は映画館で観たいものですが。

・シド・バレットの「シド・バレット 独りぼっちの狂気」
・ポール・マッカートニーの「ポール・マッカートニー&ウイングス - ワン・ハンド・クラッピング」
・ブラッド・スウェット&ティアーズの「ブラッド・スウェット&ティアーズに何が起こったのか?」
この3本はを見逃したんだよぉ!
映画館で観たかった!
ボブ・マーリーの「ONE LOVE」も話題になってたけど、ボブ・マーリーのことはだいたいわかってるから最初から見る気はなかったんだよね。
という事で、3本。

①  トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代 (2024)
鑑賞日:6月1日
(内容)
 日本のポピュラー音楽史に残る数々の名曲を生んだ音楽家・加藤和彦の軌跡をたどったドキュメンタリー。
「ザ・フォーク・クルセダーズ」や「サディスティック・ミカ・バンド」など時代を先取りした音楽性で多くの人々に影響を与え、「トノバン」の愛称で親しまれた加藤和彦。日本初のミリオンヒットを生んだザ・フォーク・クルセダーズの結成秘話、世界進出を果たしたサディスティック・ミカ・バンドの海外公演やレコーディング風景をとらえた貴重な映像、日本のポップスの金字塔といわれる“ヨーロッパ3部作”に隠された逸話などを紹介。さらに、不朽の名曲「あの素晴らしい愛をもう一度」を新たにレコーディングし、さまざまなジャンルのミュージシャンによって進化する楽曲の姿を映し出す。
(感想)
 トノバンの音楽的な功績を表現するには、時間が短すぎる。特にプロデューサーとしての仕事はヒット曲をなぞるよりもそのアーティストの良さを引き出す仕事なので、より深く表現をしなければならない。あの優しい表情の下に引き出しが何個もあり、アイデアが音となって紡がれていく。
 吉田拓郎を筆頭に泉谷しげるといった男臭いミュージシャンのプロデュースから映画音楽、スーパー歌舞伎など幅広い音楽性で日本の軽音楽を牽引した。もちろん自身の「フォークル」「サディスティック・ミカ・バンド」「ソロ活動」という音楽についても、一つのセクション毎に1本の映画が撮れそうなもの。
 また私生活においても、福井ミカや安井かずみといった時代の最先端だった女性を配偶者に持ち、ビシッと決めたファッションと最高級の車。洗練された生活に日本のセレブを見るのだが、本人はいたって気さくな人柄で、誰からも愛されたという。
そんなトノバンの音楽を語り継ぐうえでも重要な作品「あの素晴らしい愛をもう一度」を現代のミュージシャンが再録するシーンがクライマックス。
このパートが無ければただのアーカイブ作品になってしまうが、次の世代にもトノバンの素晴らしさを伝える意味で重要なパートだと思う。
映画タイトルに敢えて「音楽家」と入れた意図に加藤和彦の幅広い才能がある事を示唆している。

②  'ビーチ・ボーイズ ポップ・ミュージック・レボリューション‘ 
ザ・ビーチボーイズ(2024)
鑑賞日:7月13日
(内容)
 ポップミュージックに革命を起こしたロックバンド「ビーチ・ボーイズ」の軌跡と彼らの魅力を描いた音楽ドキュメンタリー。
 1961年に兄弟や親族、友人によってカリフォルニア州ホーソーンで結成されたビーチ・ボーイズ。63年リリースの楽曲「サーフィン・U.S.A.」を筆頭に数々のヒット曲を生み、アメリカ西海岸を中心にビーチカルチャーやサーフミュージックの一大ムーブメントを巻き起こした。その後も異なるスタイルの音楽や精神性、瞑想、環境主義といったテーマを取り込んで幅を広げ、60年代のアメリカを代表するバンドとして活躍。映画では初公開の記録映像やバンドメンバーと音楽業界の大物たちのインタビューなどを通してその歴史を振り返り、何世代にも渡ってファンをひきつけてきた彼らの魅力をひも解いていく。
(感想)
 夏や海、カリフォルニアの爽やかなイメージのバンドだが、実は・・・の作品。
 男性ファルセットコーラスでビートの効いた爽やかな音楽が特徴のビーチ・ボーイズだが、親との確執。バンド内でも親族と他人との確執など知らない事だらけだった。もちろん音楽だけ聴いていれば良いだけの話だが、あの素晴らしいコーラスの裏側ではこんなに不協和音が鳴り響いていたなんて想像もつかなかった。
 時代的にビートルズを意識せざるを得ないバンドであり、アメリカ人にはビートルズではなく、ビーチ・ボーイズがいるというプレッシャーがコンポーザーのブライアン・ウィルソンを襲う。
 金の件で親との関係は悪化し、ブライアンは神経衰弱となり、バンド活動はバラバラになっていくが、それでも歩みを止めなかったバンド。
ピースフルな音楽の裏で悩みながら彼らを前に進めさせたものとは。
音楽をプレイしている端くれとして、その何かを感じる事が出来た事は、音楽を今まで続けてきた事が間違いではないと気づかさせてくれた。

③  ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンド Road Diary(2024)
 鑑賞日:11月21日
(内容)
 “The Boss”の愛称で知られる米ロック界の重鎮、ブルース・スプリングスティーンと、過去50年にわたり世界中のツアーをともにした「Eストリート・バンド」が、23~24年にかけて実施したワールドツアーの舞台裏にスポットを当てたドキュメンタリー。貴重なリハーサル風景やバックステージ映像、スプリングスティーンのインタビューの模様など、彼らの伝説的なライブパフォーマンスの誕生秘話が明かされる。スプリングスティーン本人が、ナレーターも担当。
(感想)
 この作品を観終わった後、直ぐに生のスプリングスティーンが見たくなった。 
歳をとり、あと何年歌えるのか。そんな時代を迎えたブルースがかつての仲間を呼びレコーディングした『Letter To You』。2020年10月の全英チャートでは初登場1位を記録した。
 ブルースがブロードウェイで長年高額なショーをしていることは知っていたが、そんなブルースは見たくなかった。だから長いことブルースから離れていたが、このアルバムが発表され、スピーカーから大音量で彼のシャウトが聴こえた時に背筋が伸びた。
そのアルバムのコンサートツアーのドキュメントは、かつてのロック少年の気持ちを奮起させてくれる内容だ。歳なんて取っていられない。ブルースも若いが、Eストリート・バンドも元気だ。
最新アルバム『Letter To You』の合間に往年のビッグヒットが絡む。
「The Promised Land」「Backstreets」「Rosalita」「Tenth Avenue Freeze-Out」など、熱い演奏が画面から飛び出てくる。
ブルースの言葉
「観客は好きな歌を聴きにコンサートに来るわけではない。元気な俺の姿を見に来るんだ」
この言葉がEストリート・バンドを含めたブルースの今を表している一番の言葉だ。

 音楽映画ではないけれど、おまけ。
④  1980(イチキューハチマル)(2003)
鑑賞日 11月14日
(内容)
 ケラリーノ・サンドロヴィッチ(バンド「有頂天」のケラ)が、初の映画監督を務めた映画。
 1980年を舞台に、三姉妹(ともさかりえ、犬山イヌコ、蒼井優)の恋愛模様や生活を描いたコメディ。時はジョン・レノンが死んだ翌日から、そんなことはまったく関係なく恋をする三姉妹コメディ。時代感がほのかに出る程度のキャスティングが映画の雰囲気にはまっている。
(感想)
  笑い何処も充分、切なさもあり、心に残る。意外とスポットの当たらない時代をサッパリと撮った良作。ATGほど気難しくない。
一番笑ったのは犬山イヌコ(教師役)のとぼけた演技。
ジョン・レノンが暗殺された次の日の朝、登校中の生徒に話しかける。
「ねぇ、聞いた?ジョン・レノン、殺されちゃったんだって。ねぇ・・・たいへんよねぇ・・・でも、なにもジョンを殺さなくてもいいじゃないねぇ・・・ジョージとかリンゴならまだしもねぇ・・・」なんて台詞、ビートルズに何の思いも無い人に取ったらそんなもんかということ。笑った。
 エンディングで当時発売されたばかりのウォークマンをいじりながら、イヤホンを分け合いながら、「3人で聞くには不便だなぁ」と呟く。
  1980年から音の分断は始まっていたのだ。2024年の現代では音楽をみんなで聞く事の方が難しい。そんなひとつひとつのセリフの細かいニュアンスが面白い。
ドラマ「不適切にもほどがある」は今年の流行語になるほど話題だったが、その視点をケラは20年前に指摘していた。
 ミュージシャンが撮った作品だから音楽も的を得ている。時代的にYMOを筆頭に、オープニングはプラスティックスというところも、まる!

ということで、今年は3本しか見ていない・・・。ガーン。来年は頑張ろう!
皆さん、よいお年を!
2024年12月31日
花形

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