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できることが限られてもとりあえず毎日動く

わたしは持病を持っている。
不本意ながら……

いつのまにか目の前の世界が揺れるようになっていた。
最初は貧血かと思っていたが、どうやら【めまい】らしい。
まさかの脳出血!?
めまいって何科に行ったらええねん。

とりあえず内科へ行く。
風邪のときにお世話になっているおじいちゃん先生だ。

おじいちゃん先生が言う。
「薬はねぇ、うちでも一応出せるけどめまいは耳鼻科なんだよねぇ」
そののんびりとした口調にどうやら緊急性はなさそうだと感じてひと安心。
しかしめまいだ。
目の前は揺れている。

歩くだけで酔う。
悪阻よりも悪質だ。
言い過ぎか。悪阻と同じくらいつらい。

目の前がぐるぐる回って起きていられない。
だが食欲はある。
不思議なものだ。

次の日、フラフラの体で古馴染みの耳鼻科へ行く。
亡き祖父からお世話になっている【ざっくりした名医】だ。

【ざっくりした名医】が言った。
「ねえちゃん、こりゃめまいだわ」
目の動きを拡大して見るモニターには、わたしの眼球が映っていた。
その眼球はグラグラと細かく揺れている。

【眼振】というのだそうだ。
ひらがなにすると【がんしん】

めまいが起きている人特有の症状で、めまいと診断する際の1つの基準になるそうだ。

「わたしだけグルグル回る呪いかと思ったけど、病気だと証明されてよかった」
胸を撫で下ろすと【ざっくりした名医】がニヤリと笑う。
「ねえちゃん、こりゃストレスだよ。メニエール病の所見はなかった。脳みそだったら他の症状も出てとっくに救急車だ」

不幸中の幸いなんだろうが、嬉しくない。
めまいは意外と厄介だ。

「薬飲んでみる? 治るかは知らんけど。合う合わんもあるからな」
「特効薬みたいなのないん?」
思わず聞いた。
「あったら医者はいらんけど、ストレスから離れること。疲れを溜めないこと。あと休むこと」
「でもストレスならそこそこずっと浴びてきたけどなんで今さら?」
「あーねえちゃんもう不惑目前か」
余計なお世話だ。小学生からの付き合いの医者はデリカシーがない。
「そりゃお前、加齢で体力と回復力が落ちたからだろうさ」

……ああそうか、と言いたくない理由だった。
いや、わかっている。
加齢は全人類に平等に訪れる福音だ。
だがしかし。解せぬ。

「めまいでしんどくて受診してババアってディスられてもう立ち直れない……」
大げさに嘆くと顔なじみのナースが笑った。
「アラフォーごときでそんなこと言ってるとアラフィフでもっと大変な目に合うわよ」

この病院にわたしを労ってくれる人はいないらしい。

薬を飲みきってもまだめまいがするならまたおいでと言われて診察室を追い出された。

結局6月の中旬から今に至るまで完治はしていない。
夏休みバテで悪化したきらいさえある。

めまいがすると気力がわかない。
モニターを見ているだけで酔う。

だから今は頼まれたこととインプット、アウトプットができればそれでいいと思っている。
1円にもならないのだけれど。

こうしてnoteを毎日書くこともわたしにとってはできる最大限の行動。

スキを押してくださる方や読んでくださる方に心から感謝……
LOVE♥




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