見出し画像

【早明浦ダム】建設費用の割り振りと治水分負担について【出資拒否デマ】

※この記事では、全ての内容に対して誰にでも確認できるソースを用意しています
※早明浦ダム関係のWikipediaやニコニコ大百科はデマ屋本人により編集されているため、ソースとして採用していません
※「良い」「悪い」という話ではありません

■費用分担の決め方

早明浦ダム建設に要する費用分担(コスト・アロケーション)は、吉野川総合開発部会における国と関係4県の同意により、身替り妥当支出法に分離費用の概念を加えた方法が採用されました。

このルールを簡単に説明すると、「各県はダム建設によって受けるであろう利益に応じた費用を負担しましょう」という考え方です。

身替わり妥当支出法を採用しながら
分離費用の概念が加えられた
令和4年10月19日
インフラ整備70年講演会
第34回講演会より
アロケーション経過表①
香川用水記念誌より
アロケーション経過表②
香川用水記念誌より

早明浦ダムの費用は大まかに

①利水分
②治水分
③不特定かんがい
④発電分


以上4つにに分かれており、各県がそれぞれ利益に応じた金額を負担しています。

①「利水分」とは
早明浦ダム建設によって産み出された工業用水や生活用水に対する費用の事。水は四県に送られていますので、四県それぞれが受ける利益に応じて費用を負担しています。

②「治水分」とは
「早明浦ダム下流域における洪水調節」
簡単に言うと、「吉野川の洪水対策の為の費用」です。
吉野川の洪水対策により利益を得るのは徳島県のみとなるため、治水分の費用は徳島県の負担となり、愛媛県、香川県、高知県は費用を負担していません。

③「不特定かんがい」とは
「吉野川流域の流水の正常な機能の維持に対する費用」
「ダム完成前から徳島が使用していた水に対する費用」です。
この項目についても単独で利益を受ける徳島県が負担しています。

(2)建設に要する費用の用途別負担額及びその負担者
(イ)洪水調節および流水の正常な機能の維持に係る費用の額は、建設に要する費用の額に1000分の575.3を乗じて得た額とし、国は水資源開発公団法第26条第1項の規定によりその費用の額のうちすでに国が要した費用の額を控除した残額を公団に交付するものとし、その交付金は国および徳島県において負担するものとする。

費用の割り振りについて
早明浦ダム工事誌より

早明浦ダム により不特定用水も利水安全度が向上したが、その費用は国土交通省が負担した ものであるが、徳島県もその費用の一部を負担している。【議事概要-P6-30】

不特定用水の費用は国土交通省が負担しており、徳島もその一部を負担している
吉野川水系の水利用と徳島県より
治水分と不特定かんがいの費用は
「全て徳島県の負担」です。
※費用の約9割を国が負担することで
実負担は軽減されています
香川用水記念誌より

④「発電分」とは
発電に使用する水に対する費用です。
上記と同じルールにより、愛媛、電源開発公社、四国電力株式会社の3者が負担しています。

■負担割合は法に基づいて国から提案され、四県の同意を得て採用されています

この負担割合は、昭和41年6月に建設省が提出した割り振り案(最終試案)をベースに、関係4県の同意を得た上で採用されました。

昭和41年6月の第4回吉野川開発部会で、早明浦ダムを中心とする開発計画について、水の配分ならびに費用の割り振り案が建設省側から提案され、関係四県の同意を得て以来、早明浦ダム建設に関する各種の計画、方針はすべてこの案をベースとして作成された。

費用割り振りは建設省の案がベース
吉野川総合開発誌より

”“身替り妥当支出法”を採用しながら先駆的に採用 した“分離費用(分離容量)”の概念は、その後(昭 和 42 年以降)の新方式“分離費用身替り妥当支出法” にも取り入れられている。”

四国の発展を支えた吉野川総合開発事業
~四国のいのち「早明浦ダム」~
P4より引用

■「治水分を負担していないから香川は出資拒否している」

「負担していないのは出資拒否したからである」と言い張るならば、それが事実である事を証明しなければなりません。
しかしながら、事実である事を証明するような根拠は何一つ明示されておらず、これまでと同じく「何の根拠もないデマ」です。
言うまでもないことですが「負担していない=出資拒否」ではありません。

再度説明しますが、治水分負担の割り振りには「身替り妥当支出法」が採用され、「国が負担割合を提案」し、「吉野川総合開発部会における関係4県の同意」を得て「国と徳島」が負担する事に決まっています。

早明浦ダム建設の費用負担を少しでも軽減したい徳島は、香川、愛媛にも「徳島の負担である治水分費用」の負担を求めていましたが、協議では両県の同意を得ることが出来ず、最後には国と香川愛媛から説得され費用負担を受け入れる事になります。

香川、愛媛は早明浦ダムの出資を拒否したのではありません。

「徳島の負担分である治水分費用を負担しろ」という徳島からの要求を断ったのです。

「治水分を負担していないから香川は出資拒否している」というデマは何の根拠もない決めつけでしかなく、吉野川総合開発部会の決定を完全に無視した個人の感想でしかありません。

「負担していないから出資拒否している」というロジックに基づくならば

・高知、愛媛は治水灌漑分に出資していません
・徳島、高知、香川は発電分に出資していません

このデマは頭が足りていませんし、このデマを考えた人には頭がありません。

■資金分担と河川法

何を言っているのか
理解できない

繰り返しになりますが、早明浦ダムの建設費用分担には「身替り妥当支出法」が採用されています。

「身替わり妥当支出法」を元に決めた資金割り振りが「河川法に違反している」
何を言っているのか全く理解できませんが、早明浦ダム出資拒否デマは「デマ屋が何を言っているのか理解する」所から始まります。

デマ屋の言う河川法について、少しだけ説明します。

■【河川法60条】

都道府県は、【①その区域内における一級河川の管理に要する費用】(指定区間内における管理で【②第九条第二項の規定】により都道府県知事が行うものとされたものに係る費用を除く。)については、政令で定めるところにより、改良工事のうち政令で定める大規模な工事(次項において「大規模改良工事」という。)に要する費用にあつてはその十分の三を、その他の改良工事に要する費用にあつてはその三分の一を、災害復旧事業に要する費用にあつてはその十分の四・五を、改良工事及び修繕以外の河川工事に要する費用にあつてはその二分の一を負担する。

2 【②第九条第二項の規定】により都道府県知事が行うものとされた指定区間内の一級河川の管理に要する費用は、当該都道府県知事の統轄する都道府県の負担とする。この場合において、国は、政令で定めるところにより、【③当該費用のうち、堤防の欠壊等の危険な状況に対処するために施行する緊急河川事業に係る改良工事に要する費用にあつてはその三分の二を、再度災害を防止するために施行する改良工事であつて又は大規模改良工事であつて、堤防の欠壊等の危険な状況に対処するために施行する緊急河川事業に係るもの以外のものに要する費用にあつてはその十分の五・五を、その他の改良工事に要する費用にあつてはその二分の一を負担する。】

河川法60条

①60条は【その区域内における一級河川の管理に要する費用】について定められています。

デマは「ダムは高知にあるのだから、治水分の負担は高知が負うべきだ」と言っている訳ですが、60条の何をどう解釈してもそのような理解には至れません。早明浦ダムは「徳島にある吉野川の治水」を担っています。

②第九条第二項の規定

国土交通大臣が指定する区間(以下「指定区間」という。)内の一級河川に係る国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、【当該一級河川の部分の存する都道府県】を統轄する都道府県知事が行うこととすることができる。

河川法 第九条第二項

【当該一級河川の部分の存する都道府県】とあります。
この場合の【一級河川】とは吉野川の事であり、【当該都道府県】とは吉野川の部分の存する県のことです。
「高知に出資義務ある」いう主張は、第九条第二項の規定を元に考えると「吉野川は高知に存在していて高知が管理している」という意味になります。
法の解釈が常軌を逸しています。

このデマは頭が足りていませんし、このデマを考えた人には頭がありません。

 60条の2は「危険な状況に対処するための改良工事、災害防止のための改良工事、その他の改良工事の費用分担」について定められています。

■【河川法63条の3】

3都府県知事が行なう河川の管理により、当該都府県以外の都府県が著しく利益を受ける場合においては、当該都府県は、その受益の限度において、当該都府県が負担した【①当該管理に要する費用の一部】を、当該利益を受ける都府県に【②負担させることができる】

河川法63条の3

さて、デマは「利益を受ける香川と愛媛が徳島の分まで費用を負担しろ」と言っているわけですが、先ほどの意味不明な「吉野川は高知のもの」という主張を根拠とした場合、徳島は高知の費用を負担する立場となります。

【当該(都道県府知事が行う一級河川の)管理に要する費用の一部】を負担させることが出来ると定められています。

② 法律上の【負担させることができる】は権利を有しているという事であり、【負担させなければならない】という義務ではありません。

さて、デマでは触れられていない条文があります。第六十三条の4です。

4都府県知事は、前項の規定により当該利益を受ける都府県に河川の管理に要する費用の一部を負担させようとするときは、【あらかじめ、当該利益を受ける都府県を統轄する都府県知事に協議しなければならない。】

(他の都府県の費用の負担)第六十三条の4

③ 河川法第六十三条の4により、費用の一部を負担させようとするときは【あらかじめ協議しなければならない】と定められています。

「徳島の負担をどうしても他県に負担させたい」と協議を持ちかけるのは自由ですが、持ちかけられた側には当然断る権利があります。

いつもの「自分たちの要求を突っぱねられた徳島が逆恨みして他県の悪評を垂れ流している」という「徳島県に対する風評加害デマ」に、今回は「河川法」を利用しています。

繰り返しになりますが、早明浦ダムの費用負担においては、吉野川総合開発部会で、国と関係四県が協議した結果「身替り妥当支出法」に「分離費用の概念」を加えた方法が独自のルールとして採用されています。

このデマは頭が足りていませんし、このデマを考えた人には頭がありません。

費用面では、早明浦ダムが多目的ダムであるとともに四国4県にわたる多くの関係者と大規模な分水計画も含むビッグプロジェクトであることから、利水者の費用負担の合理性を追求した新しい費用負担の考え方を導入し、水資源開発公団が関係者間の調整役として機能したことも大きな意味を持ちます

水資源機構のサイトより

第6回四国水問題研究会

・ダムが空になるまで不特定は確保するというのは、河川法53条の互譲の精神に基づいた超法規的な措置に対し、どのような方針なのか。

事務局(徳島県)
・不特定用水というのは早明浦ダムを建設する以前から徳島県で使われていた用水であった。不特定用水を節水するとダムの寿命が延びることは承知しているが、 節水しダムに貯留することによりその水が他県に分水されてしまうことが承知できない。

第6回四国水問題研究会より

河川法を元に怒られているのは香川ではありません。

■まとめ

・早明浦ダムの費用分担は、「身替り妥当支出法」を元に各県の受益量(受ける利益)に応じて割り振られています。

・受益のない部分に関してはどの県も費用を負担していません。

・費用割り振り案は建設省の提案がベースであり、関係四県の同意を得て最終決定されました。

・ダムによる治水の恩恵を受けているのは徳島だけであり、治水分は「徳島県と国」の負担です。

・多目的ダム新築の費用負担について定められているのは河川法ではありません。

■おまけ

⭐︎おもしろコメント紹介コーナー⭐︎

Wikiで自分の感想文を披露しても
何の根拠にもなりません
支離滅裂すぎて意味がわかりません


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集