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キタダヒロヒコ詩歌集 3 魔愁


 魔愁  キタダヒロヒコ


博物館の隣りに
魔愁という店があった

いや、それは今もあると
おっしゃる方もいる

店には毎日ちがう客がいた
毎日 ちがう客と私と お茶をのんで居た

白やら赤の薔薇の中から
店の窓がちらちら見えた

夕方にはたいそう綺麗に
店の窓を陽が染めた

冬には昼に雪がふり
夜は大抵やみました

冬の昼から降った雪
夜にはやんで暖かかった

博物館の近くの小径は
魔愁に抜ける道でした



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