大雑把
オリンピックも終焉を迎えて、見るべき種目も減った中、連休に入った。
ということで、オリンピックを言い訳に目を背けていた日常の雑事に時間を割こうと心を切り替え、部屋の掃除を始める。
といっても、さすがにこの酷暑に大げさなまでの大掃除を試みるほど清い心は持ち合わせておらず、コロコロ棒で細かな誇りやごみを絡めとることで、「やった感」を演出する。
そんな心構えなものだから、一通り部屋中をコロコロしきったあとに見返すと、
「あ、ここやってなかったなぁ」
と、先ほど見て見ぬふりをしたソファやテレビ台の下側、無造作に靴が並べられた玄関などに気づく。目に余るほどではないが汚れが見え隠れしているので、やっぱり気分がすっきりしない。
気持ちを切り替えて2周目に突入。
低い、狭い、やりづらい箇所に照準を充てて、腰を曲げ、腕を伸ばし、覗き込み、多少無理な体制を維持しながら、コロコロ、コロコロ・・・・。
靴を半分側に寄せて、コロコロ、コロコロ・・・。
今度は反対側の半分がわに寄せなおして、コロコロ、コロコロ・・・。
最後に靴をもとの定位置に戻して、試合終了。
「ふぅ~。やり切った!」
私は、全力出し切ったアスリートのごとく、汗をぬぐった。
私は幼いころから、もともと大雑把で、注意散漫なところがある。
小学校の通信簿のコメント欄でも、歴代すべての担任に「落ち着きがない」と書かれる始末だ。
母や妻の弛まぬ説教と自らの反省の繰り返しで、大人として最低限の範囲を何とか維持できているといっても過言ではないほど、「大雑把で不注意」だ。
タンスの引き出しが開いたままだったり、トイレの電気がつけっぱなしなどは日常茶飯事。先日も、椅子に掛けていたリュックを無造作につかんで引っ張り上げたら、その勢いで椅子が倒れて私の足の人差し指を直撃して出血。1週間たっても傷口が微妙にふさがらない惨事になった・・・
そんな性格なものだから、無意識に体を動かしてしまう可能性の高い作業はどこかやり直しが残る。今回のコロコロ棒以外にも、歯磨きや髪を洗う時も、油断するとつい違うことを考えて、磨き忘れや洗い残しが絶えない。
時々、風呂上がりに髪を拭いた時の違和感で「あれ、リンス流してねぇじゃん!?」と気づいた入りする始末なのだ。
そんな性分なものだから、日常の「やり残し防止」に向けた鍛錬が日々必要であり、常に自分を言い聞かせる努力が欠かせない。
『掃除、歯磨き、髪洗いは、2周目が勝負だ!』と。
不思議なことに、これを達成することでなぜだか心地よく、スッキリした気持ちになる。たとえ最初の1周目は大雑把でも、2周目で細部にわたって集中力を高める。歯の隙間から汚れを取り除く爽快感や地肌や毛穴を綺麗にする心地よさ。やり残しもなくなり、「やった感」ではなく、正真正銘の「やり切った」にたどり着くのだ。
今日もおかげさまで2周目を完走したことで、結果的にいい汗をかけた気がしている。この勢いでシャワーを浴びて、また、スッキリした気持ちなろう。まるで試合後のアスリートのように…。
~本日の善玉訓(きん)~
✓『掃除、歯磨き、髪洗いは、2周目が勝負だ!』
【★★★】心地よくスッキリして、アスリートな気分を味わえる!
「神は細部に宿る」とはよく言ったものだ、と妙にアスリートな教訓に感銘を覚させるオリンピックが、今日で幕を下ろす。
(ぴん👆)