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The Goalを読んで~仕事の目的を忘れないために

業務の進め方の参考になるかとおもい、「The Goal(エリヤフ・ゴールドラット著)」を読んでみました。

これは木下斉さんのVoicyで紹介されていた書籍です。
1ヶ月以上前から読み始めましたが、500ページ以上となかなか量が多く、今日ようやく読み終わりました。

この本では、製造業における工場の利益増大を達成する手法が物語仕立てで説明されています。

主人公である30代後半の工場長が、工場の生産性が低すぎるので3か月以内に改善しないと閉鎖するぞと上司に脅されるところから物語は始まります。

初っ端からけっこうハードな展開です。
自身と部下たちの雇用を守るため、必死で考えをめぐらす主人公。

その途中途中で、主人公はかつての恩師から問題解決のためのヒントを与えられますが、どうすれば良いか答えは教えてもらえません。
いつも「後は自分で考えろ」と言われるばかり。

そこで主人公は、ヒントをもとに部下である製造課長、経理課長、データ処理責任者、資材担当マネジャーと議論を交わすことに。

そして少しずつ自身の工場が抱える問題に気づき、その問題を試行錯誤しながら改善することで、最後には工場の生み出す利益を増加させ、閉鎖を免れるという展開。

いろいろな要素の詰まった本ですが、大きなポイントとしては以下が挙げられると思います。

1 組織の目的を多くの人が理解していない

ひとつめは、組織の目的を関係者が本当の意味で理解できていないケースがあるということ。

この本は営利企業が運営する工場をテーマにしているので、組織の目的は当然「お金を儲けること(利益を上げること)」です。

それをみんな頭ではわかっているものの、実際には本社の人間も含め、日ごろの業務に落とし込むレベルでは理解し行動することができていません。

すなわち、本社から現場業務に与えられた目標設定が、実際には利益増に直結しないということです。
 
例えば本書に登場する工場では、いかに生産性を上げるか、つまり少ないコストで大量の製品を作るかということだけにスポットが当てられ、それが最大の目的となっています。
目標とされる指標も、どれだけコストカットができたかというものに重きが置かれています。

一見してこれは正しいと思えますし、異を唱える人はいないでしょう。
生産性を上げるのが悪い事であるはずがありません。

しかし、たとえ少ない経費で多くの商品を作ってもそれが市場の需要とずれていては売れませんし、売れなければ利益にはつながりません。在庫として積みあがるだけです。

在庫が積みあがれば保管費用がかさんでくるし、スペースを空けるために作業スペースが狭くなり業務進捗に影響が出てしまうこともあります。
需要とずれた製品を大量に作ったことで、いま取引先から求められている別の製品の納期遅れを生じてしまいます。

それは本来の目的である利益の向上とはかけ離れた結果を招くことに繋がります。指標の達成にも悪影響が出ます。

そういう状況に業を煮やした本社から指標クリアのための督促があったり、机上で考えた「経営改善」メニューを押し付けられ現場は疲弊するという姿は、笑えないものがあります。

私の仕事は製造業ではありませんが、文章が平易で事例も具体的だったのでイメージが湧きましたし、とても勉強になりました。

2 生産性を阻害するボトルネックに着目するべき

ボトルネックとは、その名前のとおり「瓶の首」という意味で、流れる水の量が一番少なくなる場所のことから転じて、業務フローの中で仕事が滞りやすい行程や箇所のことを言います。

業務フローにボトルネックがある場合、その部署全体の作業効率はボトルネックの能力分しか発揮できないことになります。
仮に他の行程が効率よく進んだとしても、結局はボトルネックの箇所でせき止められてしまうため、ボトルネックで出せるスピードが組織全体のスピードとなるということです。

そのため、仮にボトルネックで1時間のロスが発生したとすると、その損失はボトルネックに投下したコストだけではなく、他の行程の手待ち時間なども含めた組織全体で1時間分のコストが無駄になっていることになります。

だから「ボトルネックの作業効率を高める」か、もしくは「ボトルネックの能力以上のコストを投入しない」ことが生産性の効率につながるとこの本では説いています。

自分の仕事にどう活かせるか

この本を読んで、改めて「仕事の目的を見失わない」ことの大切さを再認識しました。

仕事をする中で、組織の目的が曖昧だったり総花的だったりで、どこに注力して良いのかわからない場面を、時折経験することはあります。

また、この本で出てくるように、日々の業務と関連性の薄い指標を提示され、その報告のために多くの作業をさせられるということも(いつもではありませんが)残念ながらあります。
何のためにやっているのかを意識しておかないと、目先のKPIなどに引きずられて、無駄な作業や非効率な時間を生み出してしまうこともあると感じました。

私自身、そのようなオーダーを受けた時には、その仕事の意義は何なのかを考え、自分の言葉で部下などの関係者に説明するように心がけていますし、わからない場合はその意義や目的は何なのか、組織の目標に沿っているのか上司などに問うようにしています。
組織ですので、必ず私の意見どおりになるわけではありませんが、そういうスタンスは忘れないようにしたいものです。

もう一つ感じたことは、「答えはいつも現場」にあるという意識です。
業務のどこに問題(ボトルネック)が発生しているのか、現場から提出された書類を読むだけでは絶対にわかりません。

製造業に限らず、業務を進めるにあたって、なかなか進捗が進みにくい行程はあるものですよね。
ですので、業務全体でどこがボトルネックになっているのかを見極めることは非常に重要です。
その行程の能率を上げたり代替的な方法を考える努力をすべきですし、その作業をそもそもやらなければいけないのかというところから検討すべきかもしれません。

管理職であろうとも(管理職だからこそ)、現場実務の流れを理解して、どこで手間がかかっているのか、利用者にとってわかりやすい説明やサービスになっているかなど、自分の目で確かめておく必要はあると感じました。

以上、この本を読んで初めて気づいた内容もありましたし、今まで漠然と問題意識として感じていたことを改めて思い出させてくれた内容もありました。
自分の思考パターンを再認識するという意味でも、本を読むことと、読んだ内容を自分なりに言語化する作業は有益だなと感じます。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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