見出し画像

【読書日記】 LLブック「美術館にいってみた」を読む

LLブック(やさしく読みやすい表現を使って書かれた本)で、美術館を扱った本は初めて見ました。

第一刷:2019年11月11日
発行元:社会福祉法人 埼玉福祉会 出版部
著者:赤木 かん子   イラスト:宇佐江 みつこ
内容:主人公が、図書館で見つけたポスターの絵が見たくて、初めて美術館へ行くお話です。まずチケットを買うところから、作品を鑑賞するときのきまりやマナーをお伝えしています。現役の美術館の監視係でもある、宇佐江みつこさんのイラストです。(amazonより)

LLブックとは

この本はLLブックです。
LLブックは、一般的な表現だけでは内容を理解することが難しい、知的障害や身体障害の方、やさしい日本語のほうが理解しやすい方などを対象に書かれた本です。
わかりやすい言葉や短い文で表されていたり、写真やイラストがはっきりと訴えるものであったり、流れを追いやすいレイアウトであったり、そういった工夫をすることで、今まで本を読めなかった人が読めるようになります。


LLブックは少しずつですが出版されており、今では、LLブックコーナーが設置されている図書館も増えました。
LLブックに関する、こんなイベントもあります。↓


美術館にいくということ

私には「行きつけの美術館」があり、美術館は身近な存在です。
しかし、「美術館ってなんとなく敷居が高いな」「絵のことはわからないから行こうとは思わないな」という人も多いですよね。
「美術館にいくということ」にちょっと抵抗がある人がいます。
では、障害のある方にとってはどうでしょうか。
「障害のある人には難しいのではないか」「大きな声を出したら迷惑だし・・・」など懸念する人が多いでしょう。

美術館にいってみよう


私は、そういった人たちにもどんどん美術館にいってもらいたいと思います。「美術館=難しい絵を静かに見るところ」という先入観を是非崩してもらいたい、そんな願いに答える本がこの本です。


美術館ってどんなどころ?

この本は、ある人が図書館で鳥の絵のポスターを見て、本物を見たいと思い、スタッフに尋ねることから話が始まります。
始まりが図書館っていうのがいいですね。
図書館で情報をゲットして、スタッフさんにさらに具体的な情報を教えてもらうという、図書館サービスの姿が書かれています。

そして、美術館へいきます。
美術館の入り方、約束事、イベントなどについてわかりやすく描かれています。
この本のよいところは、単に「美術館=絵を見るところ」ではなく、「マルチなところなんだよ」と教えてくれているところです。
いろいろな楽しみ方ができるのです。

美術館はマルチなところでもある

また、さまざまな人が行けるところ。
この本の中では、盲導犬を連れている人、車椅子に乗っている人、ベビーカーの赤ちゃんと一緒の人、小さな子ども、杖をついている人が描かれています。

私はこれまで美術館で、盲導犬や聴導犬を連れている人を見かけたことがありません。
以前、盲の方が美術館を楽しんでおられることを書いた本を読んだことがありますが、盲の方なりの楽しみ方があるのです。
この本です。↓

美術館はだれもが行けるところ、マルチな楽しみ方ができるところ、私はそう思います。
この本も、「もっと美術館を楽しもうよ」と伝えてくれているのだと思います。

最後に、イラストを描かれた宇佐江みつこさんのnote記事を見つけました。
この本ができるまでのお話が詳しく書かれています。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?