アニメ『超者ライディーン』(1996)感想
翼の勇者たちの伝説
【あらすじ】
幼馴染の少女・瑠璃が
飛び降り自殺未遂を図った一件が
トラウマになってしまった少年・鷲崎飛翔。
ある日瑠璃の見舞いを訪れた
飛翔は白い羽根を拾う。
羽根に触れた途端
飛翔は異空間に飛ばされ
そこで魔物達と戦う
鳥の姿をした戦士「ライディーンイーグル」
と出会った。
ライディーンイーグルから
地球を狙う謎の魔物「超魔」と
戦う宿命にあることを告げられた飛翔は
同じく宿命を共にする
ライディーン戦士達と出会い
超魔との戦いに巻き込まれていく。
【全体的な感想】
①アイドル要素を取り入れたヒーローもの
以前Xで
「戦隊物じゃないけど戦隊物っぽい作品」
がトレンドに挙がっており
本作の名前を挙げる投稿が多かったので
興味が湧いて見てみました。
本作は1975年に放映されたロボットアニメ
『勇者ライディーン』をベースに
前年放映された
『新機動戦記ガンダムW』の影響を受けた
5人の少年キャラクターが活躍する
ヒーローものです。
『勇者ライディーン』との共通部分は
巨大ロボット「ゴッドライディーン」が
登場するくらいですね。
また本作は同年放映された
『勇者指令ダグオン』同様
スーパー戦隊シリーズテイストが強いです。
本作に登場する「ライディーン戦士」は
鳥モチーフのヒーローなので
『ジェットマン』を彷彿させました。
ライディーン戦士に選ばれた5人の少年が
敵の魔物「超魔」との戦いに巻き込まれつつ
一つのアイドルチームとして
成長していく姿が本作の魅力です。
後半は
90年代作品あるあるの終末モノの展開が
繰り広げられてシリアス。
個人的にはそこそこ楽しめましたが
色々惜しいと感じた面もあります。
②いまいちに感じた伏線や設定
電光のお笑い設定
鷹城電光君はメインキャラクターの中でも
一番明るい性格で盛り上げキャラなので
割と好きですが
お笑い芸人に憧れて関西弁を喋ってる
という設定がひっかかりました。
それなら初めから
カーレンジャーのグリーンレーサーのように
関西出身でも良かったのでは?と思いました。
「お笑い=大阪」という安直な発想が
ちょっと鼻につきました。
The Heartsの掘り下げがちょっと中途半端気味
中盤に登場した
新たなライディーンチーム『The Hearts』。
こちらは南條一夜という
カリスマリーダーを中心にまとまっており
チームのメンバーも
基本一夜の考えに従っています。
飛翔達とぶつかり合いながらも
お互い影響を受けていくという展開を
期待していましたが
話が進むにつれて
何だか違うなという感じが強かったです。
リーダーの一夜が
かなり頭の固いキャラクターで
飛翔達に対しても終盤に至るまで
敵意剥き出しの姿勢が変わらなかったので
あまり好感が持てなかったです。
好感が持てたキャラは
疾風君と交流のある藤丸君ですね。
(他のメンバーはやや空気気味)
藤丸君は『The Hearts』メンバーで
唯一温厚な性格のキャラなので
年長組の頑固さに
内心色々心を痛めてそうだなと同情しました。
きらりちゃんと瑠璃の関係性
本作のメインヒロインは
西条きらりちゃんというアイドル歌手。
きらりちゃんは
飛翔の幼なじみ・瑠璃と容姿が似ており
作中でも度々
「双子のようにそっくり」と言われます。
最終回できらりちゃんの正体が
瑠璃の分身的存在だったことが判明しますが
きらりちゃんと瑠璃が同一人物という設定が
全体を通して弱く、唐突感がありました。
きらりちゃんについても
彼女が普通の人間でないこと
瑠璃と同一人物という伏線を
もう少し張るべきだったと思います。
③戦い自体は後手に回り気味
本作のライディーン戦士達の戦いは
全体を通して後手に回りがちなんですよね。
飛翔達はライディーン戦士から
戦いの宿命を与えられたものの
敵である「超魔」に対し
何故地球を狙ってくるのか
超魔の目的は何なのか
超魔は何者なのか
などに考えが至るまでが遅かったこともあり
ゴッドライディーン復活のアイテムである
「ゾディアックオーブ」の存在に気づいた時は
全て超魔によって回収されており
その結果
宇宙を消滅させるほどの力を持つ
ゴッドライディーンの召喚を止められず
一度は世界中に
甚大な被害をもたらしてしまいます。
そのせいで飛翔は止められなかった責任を
一人抱えこんでしまい
ヒーローとして戦うことを放棄して
精神的に追い詰められるくらいでした。
本作の戦いが後手になってしまった原因は
ライディーン戦士達の説明不足
超魔に対して疑問を持つのが遅い
といった部分が響いています。
④いまいち刺さらなかったヒーロー&ヒロインや許容しづらい変身シーン
個人的に
飛翔&瑠璃の主人公カップルが
いまいち刺さりませんでした。
その理由は瑠璃のキャラクターの薄さです。
瑠璃はいわゆる
主人公に救われるために
都合よく存在しているヒロインで
主人公・飛翔の不幸要素のための
キャラクター感が強いんですよね。
元々、こういうタイプのヒロインが
あまり好きじゃないのもありますが
瑠璃の人物像
瑠璃の苦悩の背景
飛翔との関係性
などが掘り下げられていたとは言えず
彼女に最後までヒロインとしての
魅力が感じられませんでした。
最終回で
アイドル歌手きらりちゃんの正体が
実は瑠璃が幼少期に作り出した
「イマジナリーフレンド」が実体化した存在
であることが判明しますが
そこまでの伏線が弱いこともあり
「ふーん」としかなりませんでした。
瑠璃と飛翔の関係性や
彼女のキャラクターについても
もう少し掘り下げるべきでしたし
そもそもきらりちゃんの方が
ヒロインとして魅力があるので
初めから彼女だけでもよかったと思います。
あと一番許容しづらかったのが変身シーン。
本作のメインヒーローである
「ライディーン戦士」達は
変身すると
身につけている衣服が破れるため
解除すると
オールヌードになる(!)という設定です。
個人的な意見ですが
未成年の男の子を裸にすること自体
どうなんだろうと思うんですよね。
同じく変身解除すると裸になる設定の
『仮面ライダー響鬼』の場合
戦いの後は
顔の部分のみ解除する
などといった配慮がありましたし。
裸に戻るシーンが見ていて
気恥ずかしかったです…
いちいちオールヌードになるのって
冬とか大変そう(笑)。
ちなみに変身すると一旦裸になる設定は
後年のアニメ『REIDEEN』にも
引き継がれています。
全体的な評価
テレビシリーズ全体を通して
ストーリーのテンポの悪さ
設定や伏線面で粗が目立つ
などから
本作の総合評価は凡作とします。