【エッセイ】私は松茸にふさわしい女なのだろうか
お昼過ぎ、姉から電話が入る。
「松茸、食べる?」
姉の旦那の実家が長野で、じいちゃんが孫のために毎年送ってくれるらしい。
豊作の年はお裾分けをいただくことがある。
今年はどうやらよく採れたようで運良くお声がかかった。
しかし、今の私には問題がある。
夏にかかったコロナの後遺症なのか嗅覚が鈍い。
鼻が効くと自負していた頃に比べると50%くらいしか効いてない。
そう、あの、香りを楽しむ松茸の香りを存分に堪能し尽くせる自信がない。
長年の洗脳により松茸を神格化するあまり、謎の思考がよぎる。
とかなんとか考えた割にやっぱり旬のものは味わいたいというのが本音。
ご相伴にあずかろう。
数年ぶりに会う元彼を待つようなほのかな緊張感の中、到着を待った。
彼は王者の風格でやってきた。
芳しい香りとシックな雰囲気を漂わせながら。
相変わらず会って2秒でその世界感に持っていかれる。
恐るべきカリスマ性。
とりあえず神棚に供えてみた。
明日、目が覚めて奇跡的に両鼻分の嗅覚が戻ってたら、私、喜びます。
神さま。