すべての人に保健室がある社会づくり
健康相談ってどこにすればいいの?
新生児・乳幼児期は
お住まい地区の区役所または役場の保健師さん
小〜大学生(児童・生徒・学生時代)は
学校の保健室
国民健康保険加入者になったら、お住まいの地区で健康診断を受けますが
相談はできるでしょうか??
なんと、学校を卒業してしまったら
介護保険のお世話になるまでの間、
保健室のような健康相談窓口が・・・ない!!
その間、短く見積もっても43年です。
人生のうち「43年間」相談窓口はどこに?実は機能してなかった企業内相談とその理由
すっかり抜け落ちている働き盛り世代の相談の空洞化。
大企業に勤めている人は、会社の人事または健保組合の部門に
健康管理センターがあるかもしれません。
ただし、まだないかもしれません。
あなたの「健康相談」を受け付けてくれるのはどこだろう
ある日突然、身体が思うように動かなくなった時、
親身に相談に乗ってくれるのかどうか、
一度調べておくと心強くなるでしょう。
ところが、実際に、正社員〜派遣社員・パートタイム・契約社員さん
の中で、
仕事の悩みや強い不安、ストレスがある人の割合は、82%
誰に相談したかを問うと、(複数回答)
1位は同僚(63.5%)
2位は上司(58.5%)
3位は人事担当者(6.8%)2位との差が大きいが・・・。
ほとんどの方が専門家でない人にまずは相談しているようでした。
次に、下位の中で専門家領域を見てみると・・・
産業医 3.8%
保健師または看護師 3.8%
かかりつけ医・医師 2.1%
外部カウンセラーなど 0.5%
公認心理師などの心理職 0.5%
専門家等に相談した人は わずか5%未満でした。
なぜ相談にこないのでしょうか?
しかし、厚生労働省では、
ストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は
91.4% と非常に高い結果で報告している。
この結果と解釈のギャップをどう捉えるべきだろうか。
メンタルヘルスの労災案件は 74件(うち1名死亡)
腰痛災害は 31件 腰痛の2倍以上でなのです。
依然として取り組み方、仕組みに問題があるのは
否めないと思うのです。
このままでいいの?
実は全体の34%しか専門家に相談していなかった
働く世代に関わらず、一生涯での調査結果は
「相談する」は34%という低い割合である(2018年石川氏)
60%以上の人は相談していない。
25%は「絶対に相談しない」「おそらく(医療)受けない」
と回答。
相談しない理由:恥ずかしい・知られたくない
専門家相談5%未満は、予防の専門家にとっては厳しい現実と捉えるべきだろう
複数回答であれば、強い不安があるのであれば、
もし仮に、病院であれば、担当の看護師に相談するだろうし
看護師に「これは尋常じゃない」と見抜かれるレベルだと思うのです。
50%を超えても良い数字
残念なのは、何より予防できる段階に
関わらせていただく動線がない、に等しいことです。
では一体、どこで相談のサイクルが止まっているのか?
このまま、強い不安を抱えたまま、日常行動を繰り返すと
ポジティブな考え方も非常に難しくなります。
パターン1
A 【散歩】の時間 【散歩に行きたい】と頼んでみる
B 連れて行ってくれた
C 嬉しい!
次回もA の行動をとる。B→C を期待!!
パターン2
A 【散歩】の時間 【散歩に行きたい】と頼んでみる
B 連れて行ってくれない
C 悲しい・残念
次回もA の行動をとるが. B →Cになることが定着してくる。
Aの行動はなくなる。
「初めからアクションしない・諦める行動パターン」
認知のパターン化が当たり前になってしまいます。
どうして、相談をむずかしくさせているのか
上記のABC理論を再度、もう少しお付き合いください💦
A 持病のため業績達成が難しいと【上司】に相談した
B もし今休んだら昇進できないよ、と言われた
C 今年昇進できないと同期に遅れをとってしまうのは嫌だ
数日後・・・
A やれるところまでやってみたが、やはりきついので【上司】に相談した
B ただでさえ、遅れてるよ、と言われた
C 後戻りできないと痛感、体調より仕事(業績)を優先
結果、担当医師に休業を勧められ、
1年以上に渡り、休業の診断が続いた。
仕事をされている方は、よくあるシーンだと思います。
このABCのどの時点で、誰が専門家に相談すれば、
その後1年以上、休業しなくて良いのでしょうか。
安全・安心の職場とは「予防」ができる職場
いつ、どんな人生イベントで影響を受けるかは
わかりません。個人を取り巻く環境は違うからです。
そのイベントが仮に「天災や災害」だとしたら、理解し合えるでしょう。
しかし個人の病気や失敗体験が関連していたら、それを
一時的なハンディキャップとして認め合える文化はあるでしょうか。
「能力不足じゃない」可能性
「スキルが原因じゃない」可能性
「努力不足ではない」可能性を一旦、一緒に考えてほしいのです。
これは、産業医・産業保健スタッフ同様です。
強い不安の結果、健康を害していないか、持病が悪化していないか
人間関係に影響が出ていないか、
医師の判断・専門家の判断を仰ぐサイクルを作っておくだけなのです。
ストレスは万病の素。
その人の置かれている環境全てをアセスメントし、
「なんとしても昇進したい」or
「体調が不安。整えたい」or
「昇進も体調もどちらも叶えたい」
いずれかの思いをお持ちでしょう。
どれにせよ、バックアップする前提であれば、
新たなABCが生まれるのです。
A 持病のため業績達成が難しいと【上司】に相談した
B 上司は「そっか。OK!そのために、上司として何ができる?」
と言ってくれ、数日考えて答えた
C 部下「目指したい姿に見合う正常な判断を促され、助かった!
その次に、当たり前なレールを示して、リードするだけ。
A上司「OK。ではまずは体が資本だね。体調なんだけど、
まず私はどうしたらいい?」
B部下 〜〜の治療を受けて、〜〜します。だから〜〜してほしい。
C部下 持病にも向き合いながらもネガティブ思考にならず。
仕事と両立でき嬉しい。
はたらく幸せを安易に奪わない職場づくり
幸せは、失ったときに気づくもの。
期待されて入社し、成果をあげてくれた人材です。
会社にとっても社員にとっても不幸。
苦しんでいる部下や社員をそばで見ても
何もしないことは、無関心。
無知と無関心に慣れてはいけない。
そのためにも、わたしたちは、日頃からこのように
啓蒙活動を行います。
産業保健師として、伝え続けます。
上司からの相談、同僚からの相談、本人からの相談を
広くカバーし、
且つ、あってはならない偏見や差別的行為を注視し、
迅速な解決法、健康的な方向性を示す必要があるのです。
結果は職場の人間関係の修復につながるのですから
マイナスになることはありません。
尽くせる限りのグッドアイデアを
「いま」「いつまでか期間を決めて」絞ります。
全力で健康尊重と他者理解のお手伝いをしていく必要性を感じています。
何より、中にいるはずの
あなたと専門家が関心を高めれば必ず変わります。
職場は あなたから 変えられます❣️
次の一歩がスタートアップ
(うんうん、と頷いてくれるあなたを応援するのが私のお仕事、
産業保健師です)
未来にウェルビーイングな社会を贈るために❣️
長文失礼いたしました。
本日も最後までお読みいただき誠にありがとうございました。