4月の短歌十首連作 「うみとうみなおし」
4月の十首連作 「うみとうみなおし」(ショージサキ)
「うみとうみなおし」ショージサキ
始発から終点の駅まで乗って この雨はいつ降りるのだろう
何もない駅で降りてく人たちを見送るたびに線香が立つ
天気予報外れた先の晴れだった コートは乾いた灰色のまま
コンドーム自販機のある街でした 治安は時代によって変わって
潮風で錆びた鉄屑 がりがりと掻いたら爪につく 血液も
波は皮膚 あなたがいくら揺らいでも触れれば温度しか感じない
うみなおしなんて許されると思う?私のなかにあなたをいれて
閏日に生まれて400才生きるあなたの骨は拾ってあげる
うみとうみなおし あなたを連れ去って空は驚くほどに溝色
転居先転送サービス経由して届けばあなたの知らない街だ
【最近の掲載情報】
現代短歌社「現代短歌」2024年5月号「Anthology of 40 Tanka Poets selected & mixed by Haruka INUI」という乾遥香さん編集の40人アンソロジーに「海までさらって来世まで」という新作含むリミックス版の10首連作を掲載してもらってます。
短歌研究社「短歌研究」2024年 05・06月 合併号「一挙掲載三〇〇歌人の新作作品集 テーマ「2024年のうた」に新作短歌連作5首「フレーム・イン/アウト」を載せてもらってます。
良かったら見ていただけるとうれしいです~!最近は短歌バンバン作ってますのでご依頼などお気軽にお問い合わせください!
以下、蛇足。
かなり遅れての4月の投稿です。来月は15〜20日くらいには掲載したい!
「うみとうみなおし」はタイトルから決めて作った連作です。海をモチーフにした短歌はかなり作っていて(連作「Lighthouse」も海がモチーフとして出てくるし、短歌ZINE「Spring Has Come」はかなりそのままの海をテーマにした60首連作。)これからもたくさん作るとは思いますが、でも少しずつ視点は変えていきたいな〜と思っています。
※8首目 2024年2月29日初出X「閏年に生まれて400才生きるあなたの骨は拾ってあげる」からの改作