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冬の物語に耳を傾けて。文学作品イメージイヤアクセサリー
新美南吉・芥川龍之介・小泉八雲が綴る物語が奏でる、「星がささやく」ような小さな音色を夢見て。冬を舞台に描かれた文学作品をテーマに作り上げたイヤアクセサリー。
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みなさま、こんにちは! 歴史と読書が好きな、フェリシモ「ミュージアム部」プランナーのささのはです。
突然ですが、みなさまは「星のささやきが聞こえる」という言葉をご存じでしょうか?
これは極寒の地・シベリア東部の一部で使われる言葉で、「とても寒い日、吐いた息が凍り付いて、耳もとでかすかに音を立てる現象」のことを指すのだそうです。
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厳しい冬に小さく響く、星のささやき声……。なんだかロマンチックで、一体どんな音がするのか、みなさまも気になりますよね……?
実はこの言葉は、芥川龍之介や太宰治など近現代日本の作家にも大きな影響を与えた「ロシア文学」で用いられる表現でもあるらしく、読書好きとしては見逃せないポイントです。寒い日の夜、布団に入った小さな子供に、静かに読み聞かせるような童話や昔話、心温まる短いお話に「星のささやき」が籠められていたら、どんなに素敵でしょうか……。
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星のささやき声は、すごく優しく澄んだ音に違いない……そんな風に「星のささやき」に思いを馳せていたプランナー、ピンとひらめきました。
「寒い冬を舞台に綴られたお話」に耳を傾けたら、星がささやくような音が聞こえたりするのでは……!?
それって一体、どんな音なんだろう……聞いてみたい!!
そんな想いから、冬が舞台の文学作品をモチーフに、パーツが揺れるたび、ちりりと澄んだ音が鳴るイヤアクセサリーを作り上げました。
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ミュージアム部
冬のおはなしが耳もとでささやく 文学作品イメージイヤアクセサリーの会
月1組 ¥2,900(+10% ¥3,190)
※1セットだけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。
イヤアクセサリーのデザインには、各作品の情景が浮かぶようなモチーフを選び落とし込みました。
〈新美南吉著『手袋を買いに』〉
「母ちゃん、人間ってちっとも恐かないや」
「どうして?」
「坊、間違えてほんとうのお手々出しちゃったの。でも帽子屋さん、掴まえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖い手袋くれたもの」
と言って手袋のはまった両手をパンパンやって見せました。お母さん狐は、「まあ!」とあきれましたが、「ほんとうに人間はいいものかしら。ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやきました。
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『手袋を買いに』のイヤアクセサリーは、「雪を含んで丸くなったモミの枝」、「こぼれおちる雪」、「手袋を買おうと子狐が差し出した白銅貨」、「帽子屋さんから受け取った手袋」をモチーフに、デザインを組み立てました。
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子供の狐は遊びに行きました。真綿のように柔かい雪の上を駈け廻ると、雪の粉が、しぶきのように飛び散って小さい虹がすっと映るのでした。
金属製パーツに詳細な彫りを入れることで、モチーフをていねいに表現しました。『手袋を買いに』のパーツには、白銅貨の模様や手袋のリブ感を。
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モミの枝からキラキラとこぼれ落ちる雪の粉をイメージしたビーズは、細かいカット入り。ひとつひとつの面が、繊細に輝いています。
〈芥川龍之介著『蜜柑』〉
するとその瞬間である。窓から半身を乗り出してゐた例の娘が、あの霜焼けの手をつとのばして、勢よく左右に振つたと思ふと、忽ち心を躍らすばかり暖な日の色に染まつてゐる蜜柑が凡そ五つ六つ、汽車を見送つた子供たちの上へばらばらと空から降つて来た。私は思はず息を呑んだ。さうして刹那に一切を了解した。
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『蜜柑』のイヤアクセサリーは、「主人公と少女が乗り合わせた二等客室の窓枠」、「少女が弟たちに投げ渡した蜜柑」をモチーフに、デザインを組み立てました。
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私は昂然と頭を挙げて、まるで別人を見るやうにあの小娘を注視した。小娘は何時かもう私の前の席に返つて、不相変皸だらけの頬を萌黄色の毛糸の襟巻に埋めながら、大きな風呂敷包みを抱へた手に、しつかりと三等切符を握つてゐる。…………
二等列車の窓枠をイメージしたパーツには木目だけではなく、小さな釘目や窓ガラスの取っ手も彫り込んでいます。
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窓から身を乗り出した少女が空に向かって投げた蜜柑をイメージしたビーズは、淡いオレンジ色をベースに、幻想的な色みを帯びて輝くふしぎな色合い。まるで蜜柑が舞う、夕間暮れの空の色みが乗り移ったようにも……。
〈小泉八雲著・田部隆次訳『雪女』〉
それは私、私、私でした。……それは雪でした。そしてその時あなたが、その事を一言でも云ったら、私はあなたを殺すと云いました。……そこに眠っている子供等がいなかったら、今すぐあなたを殺すのでした。
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『雪女』のイヤアクセサリーは、「雪女・お雪の着物」、「雪女の冷たい息」、「氷」をモチーフに、デザインを組み立てました。
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お前がそうして顔にあかりを受けて、針仕事をしているのを見ると、わしが十八の少年の時遇った不思議な事が思い出される。わしはその時、今のお前のように綺麗なそして色白な人を見た。全く、その女はお前にそっくりだったよ
着物パーツには、雪女が名乗った名前「お雪」に着想を得た、雪の輪模様を切り抜きデザインで組み込んでいます。
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雪女の冷たい息をイメージしたビーズは、かすかに白く煙ったような曇りガラス仕様。雫の形をしたビーズに、子供たちとの別離に慟哭する雪女の想いを重ねて。
金属製パーツとガラスのビーズが触れ合うたび、優しく小さな音を奏でます。
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ピアスとイヤリング、2種類用意しているのでお好きな方をお選びいただけます。
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イヤアクセサリーは専用の台紙にセットして、クリアケースに入れてお届け。そのままお部屋に飾っても素敵です。
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寒い冬、あたたかい部屋の中でページをめくるひと時。耳もとで小さく響く、冷たくもあたたかい冬のお話の音色に、耳を傾けてみませんか。
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ミュージアム部
冬のおはなしが耳もとでささやく 文学作品イメージイヤアクセサリーの会
月1組 ¥2,900(+10% ¥3,190)
※1組だけ(1ヵ月だけ)の購入も可能です。
※詳しくは「初めての方へ・お買い物ガイド」をご確認ください。
~もっと作家・作品に触れたい方へおすすめ~
実際にプランナーが訪れた、
作家ゆかりのミュージアムその他の紹介コーナー
【新美南吉関係】
◆新美南吉記念館(愛知・半田)
教科書でおなじみ『ごん狐』などで知られる児童文学作家・新美南吉を顕彰するミュージアム。彼が作り上げた物語の世界や、本人の生涯・人となりなどが学べる展示物がたくさん!
プランナーの最推し展示は、人間サイズで再現された『手袋を買いに』の帽子屋さんのジオラマ。子狐が手を差しいれる扉の隙間に、是非ご注目を……。
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新美南吉記念館
〒475-0966 愛知県半田市岩滑西町1-10-1
開館時間:午前9時30分~午後5時30分
休館日:毎週月曜日、毎月第2火曜日(祝日・振替休日の時は開館し、その次の開館日が休館)、年末年始
※ミュージアムの展示内容は訪問期間によって異なる可能性があります。
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
◆新美南吉生家(愛知・半田)
南吉が生まれ育った家が、記念館のほど近くに残っていました。南吉の死後に人手に渡りましたが、1983年に半田市に買い取られ、彼が住んでいた当時の間取りを再現した上で1987年より公開されています。
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新美南吉生家
〒475-0961 愛知県半田市岩滑中町1-83
開館 午前9時 閉館 午後5時
休館日なし
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
◆岩滑八幡社(愛知・半田)
南吉は毎日、この境内を通って生家とはなれの間を行き来していたそうです。亡くなる二か月半前に執筆した童話『狐』に、この八幡社で行われるお祭りの様子が描かれています。
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半田の町中いたるところに南吉にゆかりある狐モチーフが散らばっていて、愛を感じます。
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【小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)関係】
◆小泉八雲熊本旧居(熊本・中央区)
小泉八雲が1891年に第五高等学校(現・熊本大学)の英語教師として赴任した際、一年間住んでいた家。熊本は、島根県・松江に住んでいた八雲が、「松江よりも暖かく、家族を養うためのより良い待遇」を求めた末に選んだ土地だったとされています。
八雲の熊本での生活についての詳しい展示や、五校・帝大と入れ違うように同職についた夏目漱石に言及した展示のほか、八雲の妻・セツが言うところの「ヘルンさん言葉(八雲とセツが用いた独特の日本語)」で記された貴重な手紙も、しっかり堪能できました◎
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小泉八雲熊本旧居
〒860-0801 熊本県熊本市中央区安政町2-6
開館 午前9時30分 閉館 午後4時30分
休館日 月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日~1月3日
※ミュージアムの展示内容は訪問期間によって異なる可能性があります。
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
◆博物館明治村 小泉八雲避暑の家(愛知・犬山)
かつて静岡県・焼津市にあり、八雲が毎夏を過ごしていた町屋が、今は愛知県の明治村にありました。
魚屋としてお客さんを迎えていた建物は、今は駄菓子屋八雲として来館客を楽しませています。
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博物館明治村
〒484-0000 愛知県犬山市字内山1番地
開村時間・休村日:開村日カレンダー参照
※入村は閉村時間の30分前までとなります。
※イベントなどの開催により、開村・閉村時間を変更する場合があります。
※ミュージアムの展示内容は訪問期間によって異なる可能性があります。
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
訳者・田部隆次について:
東京帝国大学英文科で小泉八雲に師事する。卒業後は英文学者として、八雲の著作の研究・翻訳を行った。
【芥川龍之介関係】
◆カフェーパウリスタ(東京・銀座)
芥川の著作にも登場するカフェーパウリスタ、実在します!
「文藝春秋」の創刊や、芥川賞・直木賞などの創設に携わった作家・菊池寛との待ち合わせ場所として、芥川はパウリスタをよく利用していたそうな。
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カフェーパウリスタ銀座本店
〒104-0061 東京都中央区銀座8-9 長崎センタービル1階・2階
休業日 年末年始
※最新の情報は公式HPでご確認ください。
記事内の作中文章引用元:
①新美南吉(1943)「手袋を買いに」青空文庫より
②小泉八雲・田部隆次(1937)「雪女」青空文庫より
③芥川龍之介(1919)「蜜柑」青空文庫より
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