手のりサイズであなたのもとへ……女子文壇がま口ポーチが生まれるまで【杉浦非水展×フェリシモミュージアム部】
こんにちは、ミュージアム部のうちむらです。この度「杉浦非水 時代をひらくデザイン展」とコラボということで、私がどうしても作りたかった、そして作っちゃった「女子文壇がま口ポーチ」のご紹介をしたいと思います。
『女子文壇』って何?
雑誌『女子文壇』は1905年(明治38)に女子文壇社が創刊した文芸投稿雑誌であり、当時唯一の女性向け文学雑誌として話題となりました。
作品の投稿を通じ、新しい書き手を生み出していくと同時に、女性の自立に向けた文章を発表する役割を担う、貴重な女性投稿雑誌でした。その人気はすさまじく、明治38年に創刊されてから大正2年8月の終刊までに100巻以上発刊されました。
また女学校に通うような女性たちだけをターゲットにせず、働く女性に対しても視野を広げる誌面作りが特徴的で、職業の実態を継続的に伝えるなど、女性の職業問題について問いかける内容も新鮮でした。
この雑誌の表紙デザインを、杉浦非水は親交のあった竹久夢二らとともに度々手掛け、「大正ロマン」と呼ばれている乙女チックなテイストや、斬新な「モダンデザイン」などが人気を博したのだそうです。
企画当初は「ティー・コゼー」の予定だった!?
そのような『女子文壇』が女性のためのコミュニティーで読まれた雑誌なら、きっとそこには紳士たちの集まりにはないものがあったはず! 例えばお茶などを楽しみながら、時に優雅に、時に熱く語らっていたのでは? そんな妄想をしつつ、最初はティーポットにかぶせてお茶の温度をキープする「ティー・コゼー(ティー・コジー)」にしようと思いました。
しかし企画を進めるにつれて、ある疑問が頭をよぎります……
「そもそもティー・コゼーを使う人ってどれくらいいるんだろう?」
結局、たくさんの人に楽しんでもらえる「がま口ポーチ」にアイテムを変更して制作することにしました。しかし、完成までの道のりは決して楽なものではありませんでした……。
手探りの立体化企画がスタート
グッズ化するにあたって、まずは平面的な図案を立体化することから始まりました。具体的にどの部分を立体にして、どの部分をがま口にするか、メーカーの担当者と打ち合わせていきます。写真はそのときの様子。
前途多難の1stサンプル
そうして仕上がってきたのがこちら。雰囲気は出ています!出ているんですが……なんだろうコレジャナイ感。
心なしかお顔にも哀愁が漂っているようです。
ごめんよ、きっとかわいくするからね……。
新たな問題が見つかる2ndサンプル
顔が立体的なのに帽子が平面なのが悪かったのでは?という仮説を立てて、帽子に合わせてからだの方も平面にしてみました。
うん……んんんん? 何だかさっきよりイメージかけ離れていない? あと何かスカートが膨れてる!!? はい気を取り直して次、行ってみましょう!
かなり良くなってきた! 3rdサンプル
だいぶ良くなってきたのではないでしょうか。ポイントは頭と帽子を一体化したことです。これによって違和感なく、かわいらしい人形っぽさを出すことができました。
このタイミングで主催者と学芸員の方にもチェックしていただき、もう一歩というところまで来ました。
完成! 4thサンプル
そして完成! どうでしょうか。元の図案との色合わせなども進み、かなり原作に近くなったのではないでしょうか。メーカーの担当者と何度も打ち合わせさせていただき、最高の仕上がりにしていただきました。
杉浦非水のサインもしっかり刺しゅうで入れさせていただきました。
後ろを向けるとがま口ポーチの登場!カバンの中で散らかりがちな小物はおまかせです。
がま口を開くと企画展のロゴも入っています。
いかがでしたでしょうか。杉浦非水のレトロモダン感あふれるかわいい女性の図案を、手のひらにちょこんと乗る人形のようながま口ポーチにしたこのアイテム。企画展ショップとオンラインストア「まいにち書房」、フェリシモwebサイトで発売します。
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