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ころりんおじぎ 芳中犬ポーチ|#江戸わんこシリーズ②

江戸時代の「ゆるかわ」絵師、中村芳中《光琳画譜》のまんまる子犬がいつも一緒にいられるグッズに。江戸わんこシリーズ第2弾。

本商品の販売は終了いたしました。過去の活動記録としてご覧ください。最新のミュージアム部グッズは【こちら】でご覧いただけます。

みなさま、こんにちは。フェリシモ「ミュージアム部」、アートナビゲーターのなりちゃんです。今回は、仙厓犬芦雪犬にならぶミュージアム部オリジナルグッズ「江戸わんこがころりんおじぎ  芳中犬ポーチ」をご紹介します。


中村芳中《光琳画譜》のまんまるころりんわんこ

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中村芳中なかむらほうちゅう(生年不詳~1819年)『光琳画譜こうりんがふ』より「仔犬」
色摺絵本、江戸時代1802年、国文学研究資料館所蔵

芳中が描いた、心をなごませてくれる癒やし系わんこ。とぼけたお顔や、お行儀よく前足をそろえるおじぎのようなポーズもかわいらしく、江戸美術のマスコット的存在として広く愛されています。このほのぼの犬のかわいさを日常に顕現させるべく、立体再現しました。

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作品は一方向からしか描かれていませんが、手前に寝そべる白犬のもっちりボディーを見るに、こちらの白茶の犬も「きっと、おまんじゅうのようなまんまるボディーに違いない」と解釈。球体に近いフォルムで作成しました。

芳中犬といつも一緒にいられるぬいぐるみポーチに

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見ているだけで癒やされる芳中わんこと、もっと触れ合いたい! 日々の暮らしの中でいつも一緒にいられるように、ぬいぐるみポーチに仕立てました。

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目の細かいふかふかのパイル素材に、もちもちの中わたをちょうどよく詰めました。たとえるならばベビー製品のような安心感のある丸みとさわり心地。今回の江戸わんこシリーズ3種類のグッズは、作品の紙質の雰囲気に合わせて、それぞれ異なる生地を使用しています。

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まんまるボディーなので、ポーチとしての容量はご愛嬌。目薬やコスメ、スマホの充電器など、ちょっとした小物をころりんと持っていてくれます。

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芳中作品の特徴である、のびやかでやさしい太めの輪郭線や、色刷り・合羽刷りの後に濡れた布などで色味を拭き取る「拭きぼかし」技法で表現された毛色の濃淡まで、プリントで再現。ふかふかと手のひらにおさまる、愛らしいサイズ感です。

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バッグの中をふと見れば、目が合う芳中わんこ。いつでも一緒にいてくれます。

「みんなの江戸美術」から生まれた「ゆるキャラ」

それにしても、なんともいえないこのゆるさ。もはや現代にも通ずる「ゆるキャラ」的なかわいさがありますよね。でもこのわんこが生まれたのは、なんと200年以上も前のこと。いったいどんな時代背景でこんなわんこが生まれたのか? 江戸美術の大きな流れをざっくりまとめてみました。

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美術史における江戸時代は、豊臣氏が滅亡した1615年から大政奉還の1897年までを指します。江戸時代の美術のキーワードのひとつは「美術の民衆化」。

徳川治世の天下太平の世、しかも鎖国という特殊な状況が続く中でのこと。これまで美術の主体だった公家・武家にかわって、町人たちが暮らしの中でクリエイティビティを発揮。「えらい人のためのアートではなく、暮らしの中でみんなが楽しむアート」へ展開していく大局としてとらえることができます。お城にしまわれた金ピカじゃなく、私たちのためのデイリーなアート&エンターテインメントだからこそ、喜怒哀楽をゆさぶる多様な表現が生まれました。

作者・中村芳中ってどんな画家?200年も前にゆるキャラを生み出せた理由

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中村芳中は、江戸時代後期に主に大坂で活躍した絵師ですが、文献資料も少なく、生年もはっきりしません。尾形光琳の表現を学んで引用した『光琳画譜こうりんがふ』を上梓したことから、広義の「琳派」の絵師として語られることが多いようです。

琳派りんぱとは:平安のやまと絵に端を発する、日本美術の本流ともいわれる流派のこと。16世紀の俵屋宗達&本阿弥光悦→17世紀の尾形光琳→18-19世紀の酒井抱一といったように、時代を超え、さまざまな地位の絵師によって私淑ししゅくで継承されてきたスタイル。華やかな造形や意匠性が特徴。

芳中はもともと、「文人画ぶんじんが」から絵描きをはじめましたが、筆のかわりに手・指・爪、場合によってはひじや髪などを使って描く中国生まれの「指頭画しとうが」も得意としていました。盃や卵の殻を使って描いたこともあったよう。宴席でも即興的なパフォーマンスアートで、人々の目を楽しませていたようです。

さらに、芳中は俳諧を生涯愛していました。俳画や俳画の挿絵もたくさん描いていて、俳諧仲間をつてに江戸に向かうほど、友人もたくさん。きっと面白いネタや流行の話題を探して、常にアンテナを張っていたのではないでしょうか。そんな中で尾形光琳を知り、たらしこみなどの技法を取り入れ、自分のスタイルを確立。琳派への着目は、もしかしたら江戸という新しい土地での自己プロデュースも意図されていたかもしれませんが、描くことの楽しさや、対象への愛しいまなざしがにじみでるような作品がたくさん。素朴な画風、のびのびゆるい線からも人柄がうかがえるようです。

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中村芳中(生年不詳~1819年)『光琳画譜』より「竹林七賢」
色摺絵本、江戸時代1802年、国文学研究資料館蔵

そこから推察される芳中の人柄は、きっとこんなふうではないでしょうか?遊び心と洒落っ気たっぷり、人を楽しませるのが好き、かわいい動物やお花も好き、そして絵が好き。柔軟かつ器用にさまざまな技法にチャレンジし、制作に積極的。関西出身で趣味仲間を頼って東京へ出た、愛され系のマルチアーティスト……そんな絵師、芳中のビジョンが浮かんできました。想像するにつれ、ユーモアと活気あふれる、江戸の自由な空気も感じられるようです。

芳中の絵のように、のびのびとおおらかな気持ちで芳中犬ポーチと一緒に過ごしていただけたらうれしいです。

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ミュージアム部
江戸わんこがころりんおじぎ 芳中犬ポーチ
1個 ¥1,900(+10% ¥2,090)
※こちらの商品の販売は終了しました。

※パブリックドメイン作品をもとに商品化しています。
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【画像引用元】
人文学オープンデータ共同利用センター国文学研究資料館)
【参考書籍】(敬称略)
※辻惟雄「日本美術の歴史」東京大学出版会、2005年
※鈴木淳「光琳画譜考」浮世絵芸術 145 巻、国際浮世絵学会、2003 年
※福井麻純「中村芳中とその時代 ―芳中にとっての光琳・俳諧・大坂―」美學、第52巻4号(208号)、2002年

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