「不動産豆知識11 持回り契約について」FM笹谷部長 Vol.79
FMグループ社内報Vol.79【投稿者:笹谷部長】
不動産売買の契約締結は、通常売主・買主・仲介業者が一堂に会して行うのが一般的です。
ところが、当事者の一方が遠方に居住しているとか、日程的な都合がどうしても合わないなどの理由により、仲介業者が契約書類を当事者の所まで持参し、そこで読み合わせや署名押印を行うのが持回り契約です。
これには複数の潜在的なリスクがあるので、やむを得ない事態に対処する為の最終手段であるぐらいの認識で細心の注意を払い行うべきでしょう。
リスク①
手付けについて信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為となる可能性。簡単に言うと手付金後払い契約です。
これは宅建業法違反になってしまいます。
リスク②
クーリングオフの対象となってしまう可能性。
これは売主が宅建業者、買主が一般個人の場合で、買主の希望に依らず買主の自宅で契約行為をした場合などです。
この場合クーリングオフの告知書を交付しておかないと、いつまでもクーリングオフ可能状態になってしまいます。
リスク③
当事者の気が変わってしまう。
これは嘘のようで当社で実際にあった話ですが、先に売主が契約書に署名押印をし、後日買主が署名押印をする手筈だったのですが、手付金を振り込んだ後に買主の気が変わってしまった事例です。
支払済みの数百万円の手付金をめぐり売主・買主間で「返せ・返さない」のトラブルに発展してしまい訴訟一歩手前ぐらいまで行きました。
幸い店長と担当者の根気強い対応のお陰で事なきを得ましたが、正直気が気じゃなかったです(笑)。
契約の締結はある意味、それまでの苦労が報われる瞬間です。
逆に苦労を増幅してしまう瞬間になってしまわぬよう、気を抜かずに段取りしていきたいものです。
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