おかし
やさしさをもらった。
正確に言うと、お菓子をもらった。
1ヶ月間勤めたアルバイトの最終日だった今日、毎日優しく仕事を教えてくれた方々と、もしかしたらもう二度と会えないかもしれない方々と、笑顔でお別れをした。
別れは好きじゃない。また会えるかもしれなくても、しばらくの間は寂しさが付き纏う。しあわせな前向きな別れであっても、やっぱり悲しくなる。
「どうぞ、お菓子が入っているよ」と言って退勤間近、隣のデスクからそっと差し出された包み袋。
帰り道でこっそりと開封した。
可愛らしいカードの裏には手書きのメッセージ。丁寧にOPP袋とファンシーなマスキングテープで包まれたちょっと良いお菓子。
本当に“お菓子”だったけれど、随所にあらわれたその人の“やさしさ”に、胸がぎゅーっと締め付けられた。
わたしが彼女にできたことは感謝を伝えることだけだったけれど、彼女から受け取った“やさしさ”を、わたしも誰かに返せる人でありたい、と、思った。そしてそれが一番の恩返しであることも。
たった1ヶ月間のアルバイト。でも、業務面も含めて本当に学ぶことが多かった。
4月からの社会人生活、出逢いも別れも楽しみながら、成長できたらいいな。