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ゆっくり流動体

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ゆっくり流動体

マガジン

  • ■ 本と私

    読んだ時分の自分。 まつわるはなし。感想ちょっぴり。

  • ⁂みえていても、いなくても

    落書き的ナニか

  • ○ 詩音

    からだの奥から来たことばを連ねてみています。

  • 雑記、こもごも

    日々のこと、感じたこと。その他いろいろ。

  • □ 小さい物語、凝集

    小さい物語。その一片。 詩音はゆる結合、こちらは凝集

最近の記事

■本と私/「猫を棄てる」 村上春樹

こんな風に沈静な文体で文章、小説が書きたいと思った。 書けそうかも、との淡い光明も得た。 村上春樹がもう70歳を越えているなんて不思議な感覚だ。 私にとっては大学生時代に読んだ頃の、村上さんのままだから。 スノッブでキザな文体が鼻について苦手だった。ウィスキーの銘柄がなんだとか、その時ジャズバーのカウンターには誰何某のレコードがかかっていたとか。なんだかディテールの描写がねっとりと絡みつくようで、 「若さ故なのか男性故なのか、そういうものなのかわからないけれど、私には合わ

    • ⁂落下とか、希求とか

      • ○海を灼く

        誰のためでもない 海がみたい 誰のためでもない 海をやきたい 誰のためでもない  血脈のあかぐろの うすぐらくて すこしにおう みどりの葉ふねを流してみたが みるみる濁り しんでゆく あの海をやきたい この血肉を 忘れるように 燃え上がるに 火照り 炭のように 黒く ただれのように 膨張し みにくい粘膜を見せて  わらう ひかる 20230926_ f34

        • ○20230616

          誰の眼にも留まらない ちいさなひかりのつぶを あなたはひろっているのだ 来る日も来る日も ただひろっているのだ 毛のさきの末端までとぎすまして ただひろっているのだ だからやめてはいけない とどめようとする波があっても 見つけられるはずだ その波にあっても 波濤のなかに かたくきらめく くろびかりするような あおいような どこまでもとうめいのような あのたしかな凝集を 来る日も来る日も 明けて 晴れて 眠り 巡っても ただ見つめ ひろうばかり それがあなた

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        • ■ 本と私
          5本
        • ⁂みえていても、いなくても
          5本
        • ○ 詩音
          29本
        • 雑記、こもごも
          3本
        • □ 小さい物語、凝集
          3本

        記事

          ⁂mino

          ⁂mino

          ⁂20221107

          ⁂20221107

          ○さもなくば変態として

          もしかしたら 私にも 深く考えずに生きることが許されているのかもしれない もしかしたら 変態して生きること それそのものが私かもしれない 張り子の中で どろりとにごる粘弾物質が 私の正体を駆逐する 粘弾物質それそのものが 私自身となり焦土をみる カラカラに渇いた樹脂のような経営理念が この世の真理のようなテーマパーク 信じる者だけがお得に買いものできますよ あかるい窓辺で 静かに冴えた陽射しを浴びるなら もう二度とあの赤黒いせいぶつの幻惑に 構わないでよいのかもと

          ○さもなくば変態として

          こもごも/酔っ払い雑記

          近所の飲み屋でひとり呑み。 普段は頼まない白子やら何やらを注文 (夫が食べないから)。 持ち込んだ文庫本を片手に生ビールをのむ。 久しぶりの、この快楽。 忘れていた。 アジフライ。 ポテトサラダ。 塩キャベツ。 そして鮭の白子ポン酢。 多分厨房は忙しいのだ。 出鱈目な順に届くツマミを もぐもぐちみちみしながら読み進める。 昼間買った吉本ばななのエッセイだ。 エッセイの吉本ばななは、とくべついい人でもなくて、あたりまえに偏っていて、でも大事なところが真剣勝負っぽい

          こもごも/酔っ払い雑記

          ⁂20221021

          ⁂20221021

          ○20220818

          周波数、蝉 茶けた紫陽花 葉脈の網 ルリシジミの飛行音律 ただれた眼に幻惑するような さびれた夏だ 20220818_f34

          ○20220818

          こもごも/傾聴と本質

          草木に嘘はない 生存戦略 そのままだ そうしてかんがえてみれば にんげんだって そのままだ うそいつわりそれそのものもまた 選び抜かれた生存戦略にほかならない 傾聴が好きだ、と、 あるするどく人をみる人に話したら あなたは本当は他人の話なんて聴きたくないのだと言われた 直後は その言に違和感あるも説明出来ず そうなのか?と訝しんでいた 本当は好きではないのかもしれないという目線で 自分を眺めて月日が経過 わかったのは 私は常にひとの本質を感知したい それにしか興味

          こもごも/傾聴と本質

          ○20181025

          私の日々は小さい やや起伏に富んでいる 私の日々は小さい 季節の匂いが少しする 私の日々は小さい となりあうひとがおり 愛しているひとがいる 20181025_f34

          ○20181025

          ■本と私/『伝染るんです。①〜⑤』 吉田戦車

          最初に1巻を読んだのは中学生の時かな? 衝撃でした。 好きすぎました。 斎藤さんも、 山崎先生も、 機長も、 ネギも、 露出の多いサディスティックなカワウソも。 そういえば 高校生の時も 大学生の時も 仲良くなってみると 後日その人も やたら吉田戦車が好きだと分かるみたいなことが起きた。 「やっとこを持った動物が・・」とか 「手をこうしてる人なんて嫌よ!」とか 言いながら会話してたな。 これってどうなの、 めずらしくないことなのかな。 世代あるある? そういえば リ

          ■本と私/『伝染るんです。①〜⑤』 吉田戦車

          ○20211006

          よこしまなこころを  あるがままとおりすぎ 白い磁器のような たいらかな日々 しろいうつわにあそぶ ちいさな鳥のように 音はとまり 風が窓辺の布をゆらし 鳥はてん、てんと 拍子をふんで 嬉しくて踊る 嬉しくて踊る 20211006_f34

          ○20211006

          ○20191118

          街は破片でいっぱいだ からだは破片でいっぱいだ 風がつよくて、ちりぢりになる 耳を塞いでしゃがむけれども 尖ったかけらはここにあり 暮らしのルールは遠くラジオの向こうでくぐもっている 生存確認、生存確認 生存確率、適合確率 街には破片がいっぱいだ 積もる話もあるようだ からだは破片でいっぱいだ 風がつよくてちりぢりになる 20191118_f34

          ○20191118

          ○雨あびてもゆる

          くろいなまずの ごむびきの あまぐつ 草に ぬぎすてて 露に濡れたる あしうらに きっ、と踏みしむ青草の むうむうと草の呼吸はたちあがり 露に濡れたる てあしや草や、 枝やてあしや葉脈や ないまぜになるみどりのにくの むせて鳴くよな喉のおと すずなりのしずく肩に落ち耳殻にとりつき そのしゃん、 しゃん、とつめたく はねとぶようにわらい (ああ、 そのらんぼうで気高い、 みどりの肉をぼくはくちびるにはみ、 この身をうちふるわせる ああ、 あおいあおいあおい

          ○雨あびてもゆる