○雨あびてもゆる
くろいなまずの
ごむびきの
あまぐつ
草に ぬぎすてて
露に濡れたる
あしうらに
きっ、と踏みしむ青草の
むうむうと草の呼吸はたちあがり
露に濡れたる
てあしや草や、
枝やてあしや葉脈や
ないまぜになるみどりのにくの
むせて鳴くよな喉のおと
すずなりのしずく肩に落ち耳殻にとりつき
そのしゃん、
しゃん、とつめたく
はねとぶようにわらい
(ああ、
そのらんぼうで気高い、
みどりの肉をぼくはくちびるにはみ、
この身をうちふるわせる
ああ、
あおいあおいあおい吐息
とぎれることなくなみうつ銀の鼓動・・・! )
その肌に艶をみせ
その肌に艶をみせ
うぶ毛の総てをたちきらめかせ
ああ、
さいぼうのかべはひらけ
そととなかとはやがてとけつらなり
あらゆるもののふくまれたみどりの道の
ふとい野生のぶぶんとなって
木々たちは
幾億もの粒子、
その身を分かちたみどりの粒で
せかいのすべてを充たしてゆく
2009_f34