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“not have to”の奪還

You know, you don't have to fly south for winter
if you don't want you…
分かってると思うけど、
行きたくなけりゃ
冬に備えて南になんて行かなくてもいいんだよ…

Just because everyone else is doing it,
doesn't mean you have to.
みんながそうするからって、
きみもそうしなきゃならないなんてことはないよ。

チャールズ・M・シュルツ「完全版ピーナッツ全集20」より

一体どういう風の吹き回しか、スマホアプリで英語の学習をしている。
毎日10分くらい英文を読み解いたり、書いたり、読み上げたりする。

1か月ほど毎日コツコツやっているうちに、洋画のセリフと日本語字幕の微妙な差異に気づくようになり、定型の言い回しを口が覚えたりしてきた。

英語、楽しい…!

それで、せっかくだし英語で書かれたコミックスなんかも読んでみようということで、ピーナッツだ。
たしかスヌーピーの漫画は英語が平易だったはず…というおぼろげな記憶があったのだけど、Googleブックで検索したかぎり間違ってはいないようだ。

とりあえず最寄りの図書館でピーナッツの全集を予約して、今日のところはウェブ上の試し読みを読んでみた。

試し読みの中にあったのが、冒頭の2つのセリフだった。

「やりたくなけりゃ、しなくたっていいんだよ」

至極当たり前の言葉なのだけど、噛みしめずにはいられなかった。

個人的に、ピーナッツやムーミンの劇中セリフを「心に響く……」みたいに編纂している読み物があんまり好きじゃない。
なんというか、余計なお世話だなって気がするからなのだけど…

それはそれとして、この2つのセリフはしみじみと心に響いた。

やりたくないことをやるために「これはわたしがやりたいことである」と暗示をかけて生きてきた。
それによって被る痛みも苦しみも「それをやりたがった自分のせい」だと思って物事の整合性をとってきた。
わたしにとって、性風俗でのすべてがそうだ。

生活保護につながるかどうかという時にも、
「わたしは元気で健康で若い成人女性なので、生保受給できないなら性風俗で働きます。別にもうそれでもいいです。大丈夫です」
と思っていた。

性風俗をやる必要なんてないのに、
「I don't have to 性風俗」と、考えることができなかった。

性風俗なんて二度としたくないのに、
「I don't want to 性風俗」は、もっと考えることができなかった。

わたしは文章を書くのが好きだし、自分の気持ちを言葉にするのが比較的得意なはずなのに。
こんな簡単な言葉を奪われていたのだ。


新しい言語を学んで、懐かしいスヌーピーの漫画に触れて、
またひとつ自分の人生を取り戻したと知る。

そんな梅雨の日だ。



今日の推し 10日目

そうそう。
わが家の新たな推しことお手製梅酒だが、順調に漬かっているようだ。
下の方の梅がシワシワになってきているのがよく分かる。
そっと揺らすと、梅達の下で溶けた砂糖がトロトロと揺らめいて綺麗だ。

早く漬からないかなあ。
いや、そんなに早く時間が経たれても困る。
でも早く飲みたい。
いやいや、光陰の矢はぜひ牛歩のごとくじっくりと進んでくれ。

などと、しょうもないことを考えながら梅酒を眺めるという推し活を続けるのであります。


では、また。

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