あなたが染井さんを見ている時、染井さんもあなたを見ている
開花。満開。そして落花。はらら、はららと舞い散る花びらが「花の塵」なんて表現される寂しくも趣のある花。川面に花弁が浮かび連なって流れれば「花筏(はないかだ)」と呼ばれ、夢のように儚く散っていく様子から「夢見草(ゆめみぐさ)」という異名を持つ花。桜。
「日本には四季があるから」って禁止カードもあるけど、日本人として生まれたからにはやっぱり桜咲き散る時節は感慨深いモノが込み上げてくるものです!
というわけで葉落々の『哲学シャーク・オブ・ザ・デッド!』の時間がやって来ました!
ネットミームと化したサメのごとくに獲物を丸呑みする。そこに物理的化学的電気的なサメ意識は存在するのか。それが哲学シャーク!
今回の『大學奇譚 葉落々の準備室』は哲学回! 『桜』をはららっと哲学シャークします!
みなさん、もうお花見は楽しまれましたか? 飲めや歌えの春の宴、なんてのはすでに過去の風習。今や屋台の唐揚げをストロング系で流し込む陽の者たちへの通過儀礼と化しちゃってるけど、お花見はやっぱりいいものなのです。心の奥底にグッとくるものがあります。
私としては「花より団子」がグッときますね。焦げ目のついた焼き団子にくっきり醤油味のみたらしタレ! お団子は三兄弟タイプじゃなくて小ぶりな焼き団子が五つ串刺しタイプがベストでマスト!
ところで、全国的に桜の開花時期がじわじわと早まってる気がしませんか? 昔は入学式の頃が桜のシーズンだったはずが、今や三月下旬の春休みにはもう花吹雪模様です。
いろんな論文を読み漁ってみたところ、地球温暖化や日本亜熱帯化による桜の早咲きだけが問題じゃないみたいです。
『休眠打破』って聞いたことありますか?
休眠状態にある植物の芽吹きや開花に影響を与える特定の刺激を『休眠打破』といいます。桜に限って言えば、ある一定期間の低温状態が開花時期に影響を与えるんだそうです。つまり冬がしっかり寒くないと、桜は充分な休眠を取れずに上手に花を咲かせられないわけです。
ある論文によると、記録的な暖冬に見舞われた年の八丈島の桜は、暖かいまま春になってしまったせいで桜の花が満開になる前に落葉したそうです。
近い未来、日本人の桜に対する哲学的位置付けが意味をなさない季節がやってくるかもしれません。
うちの四方大學の筑波山キャンパスにも一本だけ奇妙な桜が植わっています。名前は染井さん。まあ、私が勝手に名付けて呼んでるんだけど。
実はこの染井さん、開花時間が異様に長い桜なんです。染井さんは三月初めに花を咲かせて、五月終わりまで咲き続けてる変異桜なのです。
これは大學内での噂ですけど、染井さんは論文実界化試験運用対象桜であり、Wis(論文検証端末)を所持してる教授の誰かが、桜論文を展開させて開花時期を実界化してるって話があります。もし四方に遊びに来る予定があったら、ぜひ染井さんを探してみてください。
さて、ここで私の哲学シャークが発動! 実は私、染井さんに毎日話しかけているんです。こっそり、ひっそり、ちょっぴりと。すると何が起こると思います?
日本の代表的な桜、ソメイヨシノ。そのソメイヨシノは接木によって繁殖されたクローン桜なのは周知の事実。
クローン体を哲学的視点から観測すると、その深層心理はすべて繋がっているって考えるのが自然ですよね。同じ遺伝子を持ち、同じ生命活動をして、同じ哲学的意味を背負ってる。すべてのクローンソメイヨシノはみんな心の根っこの方で繋がってるんです。
ある日、私に語りかけられた染井さんがついに自我を発芽させたら、すべてのクローンソメイヨシノも同じ自我を共有することになります。ぜんぶ心の根っこで繋がってるんです。当然よね。
そして、当たり前のように論文実界化桜として、すべてのクローンソメイヨシノは異常に長い開花時間を誇る染井さんと同期されます。
桜に負わされる哲学的意味も、儚く散る桜を見る人の哲学も、そんなのは染井さんにとって無意味な概念。染井さんはどうやっても染井さんです。それはもう桜ではなく染井さんなのです。
お花見の時、異様に早く咲いた桜か、いつまでも散らずにいた桜、いませんでした? ひょっとしたらその桜、私が話しかけているクローン染井さんかもしれません。
あなたが桜を見ている時、桜もまたあなたを見ています。染井さんによろしく。
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