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理想の型を真似て書く〜石井光太著『本を書く技術 取材・構成・表現』読了〜

ノンフィクションの名手・石井光太さんの新刊、『本を書く技術 取材・構成・表現』で紹介されていた本の書き方。

昨日も読んだ感想を書いたけどまだまだ書き足りないので、続き。

「構成力」で本は決まる、と石井さんは言う。雑誌などの短い文章なら、文章力で一気に読んでもらうことはできるかもしれない。が、なんせ本1冊は10万字もある。全体の構成をうまく組み立ててこそ、最後まで読んでもらえる。

ふだん短い文章ばかり書いている私が一番苦手とするのが、この構成をどう考えるか、だ。

導入は何から始めるのか。中だるみしないように間に何を持ってくるのか、締めはどうするのか。

書き慣れている3,000〜5,000字くらいなら見当がつくものの10万字となると、どうすればいいのか分からない。

と思っていたが、石井さんが本書で紹介していた書き方は、私がふだんやっている方法とまったく同じだった。

私が雑誌やWEBなどで記事を書く際に、まず何からするかというと、理想の記事を見つけてくることから始める。

自分が書きたいこと、クライアントが書いてほしいことを、一番ふさわしく表現するには、どんな記事がいいのかを考える。そして、「この記事を真似するといいのではないか」「この記事を応用するといい原稿が書けるのではないか」という理想の記事を見つけてくる。

そして、理想の記事を研究して、分解してみる。どんな構成になっているのかを自分なりに分析して、その流れを応用して、自分の記事を書く。

この方法は、お店紹介や人物インタビューの記事、書評コラム、エッセイを書くときなど、あらゆる原稿に応用できると思っているし、実際私はそうやって記事を書いてきたのだが、書籍にも応用できるのだと、石井さんが証明してくれた。

石井さんの言う「構成力」のある本を書くための方法、それは、良書の構成を真似る、だった。

本書ではノンフィクションを書く際に、9つの代表的な型があるから、それに当てはめて書くといいとあった。

・謎かけ型
・ヒーローズ・ジャーニー(英雄の旅)型
・人物伝型
・体験記型
・群像劇型
・社会派エッセイ型
・社会問題検証型
・資料駆使型
・証言集型

『本を書く技術 取材・構成・表現』より

本書では、実際に出版されている名著(ノンフィクション)の実例を紹介しながら説明してあるので、ものすごく説得力があった。

そして同時に分かったのが、石井さんがふだんから本当に大量のノンフィクションを読んでいるということだ。ふだんから読んでいないと分析も出来ない。私はノンフィクションを読む機会は少ないので、本の傾向が分からない。けれど、そんな初心者に対しても、石井さんがこれまで分析して培ってきた知識を丸ごと授けてくれる。いいのかここまで教えてくれて!

そして思ったのが、私は雑誌をよく読んでいたので、分析することができたのだなぁということ。つまり何か書きたいなら、その書きたい何かを読まなければ始まらないのだなと思った。

そういえば、1冊目のブックライティングをした際も、編集者が言った「こんな本を目指している」というベストセラー本を何冊か読んで、構成を真似したのだった。そして、その本(亡くなった人と話しませんか)は10万部を超えるベストセラーとなった。

型どおりに書けばいいなら、簡単じゃないかと思うかもしれないけれど、自分の書きたいテーマにぴったり合った型を選ぶのが、これまた難しいんじゃないかなと思う。

このテーマの本を書くのに、一番効果的な型はどれなのか?

そこにズレが生じると、どんなに良いテーマであってもしっくりこないだろう。集めてきた素材と型がピタリと合致する構成で書き上げることが大事なんだろうなぁと思った(私は、編集者が理想の型を提示してくれたのが良かったのだろう)。

そして、ノンフィクションってなんか難しそうだよなと思っていたけれど、私がふだん書いている人物インタビューやお店紹介って、ある意味ノンフィクションではないかとはたと気付いた。


事実を述べる。誰かの言ったことを記事にするとは、広い意味でノンフィクションといえるのではないかと。

あと1冊を書きあげるなんて、気が遠くなるような話だとも思っていたけれど、章ごとに書きあげていけばいいというパートにも勇気をもらった。

ブロガーのように毎日文章を書いている人でも、クラクラと目眩を起こすかもしれない。実をいえば、プロの専業作家でも同じなのだ。私は、年間3、4冊の新刊を出しているが、いきなり12万字を書けと言われれば怯む。

『本を書く技術 取材・構成・表現』より

だが、「多くの人たちが実践しているコツ、それはあくまで章ごと、あるいは章の中の小見出しごとに少しずつ積み重ねるように書きあげていくイメージを持つことだ」と石井さんはいう。

12章の本があるとする。1章1万字なら1冊分の文字数になるだろう。

1章1万字のなかに、小見出しが3つあるとしたら、3,000〜3,500字の原稿が3つ書けたら、1章分になる。

3,000字なら私がふだん書いている文字数で十分に対応できる。その記事のボリューム感も分かるし、3,000字なら(絶好調のときならば)2〜3時間で書けるという見立ても出来る。

結局全ては小さいことの積み重ねなんだなぁと思った。偉業を成し遂げた人の背景はきっと全部そうなのだ。千里の道も一歩から。やっぱり今日も書くしかないと思ったのでした。

さて。

書くことを楽しみたい人のためのオンラインサロン「京都くらしの編集室」の新メンバー募集が、明日(1/5)までとなりました。

サロンメンバーになると、月に4回、zoomで開催されるイベントに参加できるほか、これまでの勉強会のアーカイブも見放題で視聴できます

【アーカイブ一例】
■Instagramの攻略法
■WordPressをはじめたい
■エッセイってどうやったら出せるの?
■書く仕事がしたい
■書きたいけど書けない人のためのブログ講座
■ライター仕事獲得方法(副業でライターをする)
■「ZINEの作り方・基礎講座」

お正月休みの時間のあるうちに入会して、たっぷり視聴してもらえたらと思います!

お待ちしています。


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京都在住エッセイスト・ライター、ときどき大学講師 江角悠子
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