あなたは欠けてなどいない
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コーチングをやる側と受ける側、両方あった1日。
私の受ける側は、60分と短かったけど、深く深くもぐって、また知らなかった自分に出合えたようで、すごかった。コーチングはスゴイな!私はライティングコーチをする側だけど、こんな風にできているのかなと思うほど。
いやでも、ライティングコーチもやっぱりすごいなと思ったのが、コーチング+書くこと(発信)をしているので、自分の内側だけの変化で終わらないというところ。書くことでより学びや気付きが定着するし、それを発信することで、まわりへも影響を及ぼす。それを読んだ人からの働きかけもあるので、とにかく人生の加速がすごい。
ライティングコーチを受けてくれている方が、爆速で変化しているのを目の当たりにして、私が一番驚いている。
昨日の私の(受ける側の)コーチングは、コーチである令子さんから「何かお話したいテーマを準備しておいてください」と言われていたので、「書きたいことを書くにはどうしたらいいか?」をテーマに進めてもらった。
きょうだいを亡くした人にスポットを当てた「遺されたきょうだい」をテーマに記事を書きたいと思っている。昨年、編集者にプレゼンして、企画も通って、あるWEB媒体で10回ほどの連載が決まっているにも関わらず、1年以上書けないまま、ここまで来た。
もういい加減いいだろう、と思うのに書けない。
きょうだいを亡くした人の、つらい、報われない現状を知ってもらいたいと思って。そう思って企画したはずだったけど、令子さんに話を聞いてもらいながら、分かったことは、「きょうだいを亡くした人たち」のことを知ってもらいたいんじゃなくて、つまりは私のことを知ってもらいたかったってことだった。
23歳のときに妹を亡くした、私の話。
「自分の経験を伝えたいんですね」
って言われて、あぁそうだ、それだと思った。言われて初めて、気が付いた。
すごく腑に落ちた。
私は私の経験を書きたかったのだ。妹が死んでから私がこれまで20年間どうやって生きてきたのか、何を考えていたのかを書き残したい。そして、できればいろんな人に読んでもらいたい。
自分の経験を書きたいのだけど、書きたいと強く思うのと同じくらい、強烈に「そんなもの誰が読むんだ」という不安があることにも気が付いた。
私個人の経験を書いたものなど読むに値しない。読む価値などあるのだろうかという不安と恐怖。
「もし書けたとしたら、どうなるんですか?」と言われて考えてみた。
今、書けない私は、固い殻の中にいる。
私は、殻の中にいるナッツだ。
「クルミのように固い殻」というイメージが最初に頭に浮かんだけど、ピーナッツくらいだったら、殻がやぶれそうだなとふと思う。さらに、ピーナッツはピーナッツでも、茹でたピーナッツなら柔らかいし、おいしいよねと令子さんと話す。
次に「そのピーナッツは、食べたらどんな味なんですか?」と聞かれる。
食べたらどんな味?なんだその質問は?ピーナッツである私を食べたら?どんな味がするのか?そんな質問ありなんですか???と笑ってしまう。
人生で初めて聞かれたわ、そんなこと!ということがコーチングではたくさんある。面白い。
でも、考えてみた。
殻の中にいるナッツである私を食べた人は、どんな味を感じるのか。まず、そのナッツがちっちゃいなって思った。小さくて笑った。それで気が付いた「私は大物なんかじゃない、小物なんだな」って。それでいいし、仕方ないよねって思った。大物になりたかったけど、こんなに小物だったのかと思って面白かった。
そして、小さいけど、おいしいんだろうなと思った。
茹でたピーナッツを大人になって初めて食べたんだけど、あまりにおいしくて衝撃だったことを思い出した。こんなおいしいものが世の中にあったの、知らなかった!っていうくらい茹でたピーナッツはおいしかった。ピーナッツの知らなかった側面を思い知って、今まで食べてたピーナッツなんだったのって思ったくらい。
小さくても、おいしい。
それを聞いた令子さんに「豊かな味が詰まってるんですね」と言われて、とてもうれしかった。そうだといいなと思った。
次に誰に食べさせてあげたいですか?って聞かれた。…おかしな質問が続くな(笑)面白い…!と思いながら考える。
誰に食べさせたいか。それなら、なにか「自分は欠けてる」と思っている人に食べてもらいたいなと思った。で、その人がピーナッツを食べたら、ちょっと幸せになれたらいいなと思う。食べたらおいしくて、ほっとして。あぁ、まぁ、これでいいんだな。って、今を肯定してもらえたらいいなと思った。
今の自分でもいいんだなって肯定できる。私は欠けてるって思ってたけど、ピーナッツ食べてみて、あれ、欠けてないんじゃない?私はこのままでいいんじゃない?って思ってもらえたらいいなぁと思った。
そして、そこまで考えて、気が付いた。
それは私だと。
自分を欠けていると思っているのは私だ。
でも肯定してもらいたい。そのままの、欠けてる私を。いや、本当は欠けてなんかないよって、私も誰かに言ってもらいたかったんだなぁと気が付いた。
私が誰かに伝えたかった言葉は、そっくりそのまま私が誰かに言ってもらいたかった言葉だ。
ここまで話ながら、何度も涙が出てきた。
深くて、暗くて、怖くて。とても自分1人ではたどり着けなかったような場所へ、令子さんに一緒についてきてもらって、たどり着いたような感覚だった。
最後に、「自分の経験が書きたいなら、書いてみましょうか」と令子さんに提案された。そうだ。それはそうだ。私がいつもライティングコーチをしているときに、みんなに言っている。とりあえず書きましょう、と。
なので、私もとりあえず書くことにした。誰に読ませるでもない。私のために書く。
最後に、来週火曜日にアップするという約束をして、コーチングは終わった。コーチングだけど、カウンセリングのようでもあり、不思議な濃い1時間だった。
さて、私はこれが書けたら、次に進めるような気がしている。だから、何としても書きたいなぁと思う。20年以上ずっと言えずにためていたものを吐き出すとき。
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