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闇の脳科学「完全な人間」をつくる


 ロボトミー、ショック療法、脳は人間の不可侵な神聖な場所なのか。

そこにメスを入れるのではなく、微小な電極を差しわずかな電気を流すことはどうだろう?

脳深部刺激療法、それにより同性愛者を異性愛者に(治療)しようとした科学者がいた、それだけでなく統合失調症やサイコパス、依存症、あらゆる精神的な偏向をコントロールしようとするサイエンスが1950年代に現れた。

しかし、内部での軋轢等によりそれら研究は忘れられ、今新たにそれらのジャンルの研究が盛況だという。
しかしそこにはひとつの名が抜け落ちている、ロバートヒース。忘れられた偉人。

天才かマッドサイエンティストか、彼の動向を探る本書を読む時、僕らはどんな色眼鏡で彼を見つめるだろう。

兵役によるPTSD治療に効果ありと聞けば、これは良い方法だと思うかもしれない、しかしその治療はまた兵士の心的なストレスを低減させることによって、より優秀な兵士をつくりあげることに貢献することになるのかもしれない。

あまりに、自由な、神的な能力を人間が持つ時、人は果たしてどう振る舞うべきか、本書を読むということは同時に自らの倫理に問いかけるということでもある。

アッパードラッグ、心理的サプリメント、スイッチひとつでご機嫌になれるとしたら僕らは何回連打することになるのか。

完全に治療された人間とは一体何者なんだろう。ロバートヒースの研究の数々に驚きつつも自分の倫理観と向き合わせてくれる良書。

果たして僕ら人間はどういった道徳をもって生きるべきか、昨今特にこれを問われているかのように思える、人口削減、環境問題、人は個を超えて人類として考えなくてはならないのか、個を超えた思考ができないのならば脳にメスを入れてでも?

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