南部鉄器とは
岩手が世界に誇る、鉄鋳物(てついもの)の伝統
〈目次〉
1.南部鉄器とは。沸かすだけでお湯が美味しく、鉄分豊富になる
2.ここに注目 南部鉄器といえばやはり「南部鉄瓶」
1.南部鉄器とは。沸かすだけでお湯が美味しく、鉄分豊富になる
南部鉄器とは、17世紀ごろから岩手県の盛岡市や奥州市でつくられてきた鉄鋳物の総称です。
鉄鋳物とは溶かした鉄を、鋳型に流して形をつくる技法です。主に茶釜や急須、鉄瓶や鍋のなどの生活雑器がつくられています。
「南部鉄瓶に金気なし(金気とは水に溶け出た鉄分、そのにおいや味)」と称されるほど鉄臭さがなく、沸かしたお湯でお茶を淹れるとまろやかな味わいになります。
サビが出にくく、丈夫なため手入れをすればまさに「一生モノ」として使えます。
最近では伝統的な黒のほかに、赤や青、緑など様々な色合いのもの、そして多様な紋様や造形のものが登場しています。
アメリカやヨーロッパ、アジア諸国などにも輸出されており、南部鉄器はお茶愛好家を始め海外でも人気を集めています。
2.ここに注目 南部鉄器といえばやはり「南部鉄瓶」
南部鉄器には茶釜や急須、鍋など様々な製品があります。
その中でもとくに有名なのが「南部鉄瓶」で、丸型、平丸型、なつめ丸型、南部型など様々な造形のもの、桜、菊、牡丹、松、竹、馬や亀など多様な紋様のものがあります。
南部鉄瓶で代表的な紋様といえば、表面に丸いつぶつぶの突起「あられ」です。
球状の鉄瓶に紋様が美しく並ぶよう、あえて上にいくにしがたい突起は小さくなるよう打たれます。あられの形、深さ、間隔などは職人によってそれぞれ違います。
なお、「鉄急須」と同じものだと勘違いされがちだが、用途そのものが異なります。
鉄急須は内側が「ホーロー(金属にガラス質の釉薬を高温で密着させたもの)」になっておりガラスのような輝きがあります。
しかし、ホーローは割れやすいため、直接火にはかけられない。大抵の製品にはステンレスの茶こしがついており、茶葉を入れてお湯を注ぎこみ、お茶をいれる道具として使われています。
一方で、南部鉄瓶の内部は「釜焼き(高温で焼いて、サビにくくしたもの)」されているだけで、直接火にかけても問題がありません。
ステンレスの茶こしもついていないため、火にかけてお湯を沸かすための道具として使います。
さらに、南部鉄瓶は内側の鉄がむき出しのため、お湯を沸かすと鉄分が溶けだします。
お湯に含まれる鉄分の量は、アルミやステンレスと比べて約15〜19倍にもなり、お湯を沸かして飲めば鉄分補給ができることも注目されています。
参照元: 「中川政七商店の読みもの」Webサイト
以上