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「有機野菜」の定義や魅力について
「無農薬野菜」や「オーガニック野菜」との違いについてもあわせて解説いたします
〈目次〉
1.有機野菜とは?
(1)有機野菜イコール完全無農薬ではない
(2)通常栽培の野菜との違い
2.オーガニック野菜と有機野菜の違い
3.無農薬野菜と有機野菜の違い、特別栽培農産
物について
4.有機野菜が持つ魅力
(1)健康面に配慮されている
(2)野菜が持っている自然の味(濃厚な旨味)
1.有機野菜とは?
有機野菜とは、指定の化学肥料や農薬などの「無機質肥料」を使わず、魚粉や油粕など植物性・動物性由来の「有機物肥料」を使って育てられた野菜のことです。
有機野菜の認定には農林水産省が定めた「有機JAS規格」の条件を満たす必要があります。
有機JAS規格では、特定の化学肥料や農薬の使用が禁止されているのが特徴で、遺伝子組み換え野菜ではないことも有機JAS規格の条件に含まれます。
この有機JAS規格の条件を満たすことで「有機野菜」として認定され、パッケージにはそれを証明する「有機JASマーク」を表示できるのです。
(1)有機野菜イコール完全無農薬ではない
有機野菜の栽培には、化学肥料や農薬の使用が制限されています。
したがって、有機野菜イコール完全無農薬というわけではありません。
JASが認定している31種類の農薬は、栽培に使用しても問題ないと規定されています。
(2)通常栽培の野菜との違い
有機JAS規格によって定義が決められている有機野菜に対し、通常栽培の野菜には特に定義や規定がありません。
さまざまな農薬や肥料を使って育てられているもので、一般に流通している野菜だと覚えておくと良いでしょう。
なお、有機野菜と通常栽培の野菜の見分け方は、「有機JASマーク」有無です。有機野菜であれば、パッケージに有機JASマークが表示されています。
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出所: 「農林水産省」webサイト
2.オーガニック野菜と有機野菜の違い
オーガニック野菜は、概ね有機野菜と同義です。ただし、以前と現在では厳密な定義が微妙に異なっているのがポイントです。
以前は、生ゴミ堆肥や家畜の排せつ物などの有機肥料で栽培される野菜全般が「オーガニック野菜」と呼ばれていました。
現在のオーガニック野菜の定義は「有機肥料を使い、なおかつ指定された農薬を使わない」というものへ変化し、結果的に有機野菜と同じ意味合いを持つようになったのです。
3.無農薬野菜と有機野菜の違い、特別栽培農産物について
有機野菜の栽培では、JAS認定の農薬であれば使用しても問題ないことになっています。
対する無農薬栽培は、その名のとおり農薬を全く使用せず栽培する方法のことです。
ただし、現状では無農薬であることを証明できる厳格な基準や規定がありません。実際には過去に使った農薬が土壌に残っていたり、近隣の畑から農薬が拡散したりすることも十分にありえます。
厳格な基準や定義がない以上、「無農薬」と表記することは消費者に誤解を与えてしまいます。
そこで「無農薬」に代わる表記として定められているのが「特別栽培農産物」という名称です。
農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、「農産物が生産された地域の慣行レベルと比較し、節減対象農薬の使用回数が50%以下・化学肥料の窒素成分量が50%以下」という定義が定められています。
このガイドラインの条件を満たすと「特別栽培農産物」として認定され、野菜のパッケージに表示することが可能となります。
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出所: 「北海道庁 農政部」webサイト
4.有機野菜が持つ魅力
(1)健康面に配慮されている
有機野菜は、通常栽培の野菜と比べると化学物質の影響を受けていません。
農薬や化学肥料が一概に有害だとは言い切れませんが、それでも人間の身体への影響を考えるとケミカルなものを取りこみ過ぎるのは避けたいものです。
使用できる農薬・化学肥料が制限されている有機野菜は、化学物質を取り込むリスクが少なく安心感があります。
(2)野菜が持っている自然の味(濃厚な旨味)
化学肥料や農薬を過剰に使うと、外見の成長スピードに旨味や栄養素が追い付かないことがあります。
場合によっては、「見た目は立派だが風味は今ひとつ」という野菜が出来上がることもあるのです。
対して、有機栽培では、通常栽培の野菜と比べると人工的に成長を早められることがありません。
野菜は本来の成長スピードで育ち、濃厚な旨味をしっかりと蓄えることができます。
このことで、それぞれの野菜が持っている自然の味、濃厚な旨味を楽しみことができます。
参照元: 「名古屋農業園芸・食テクノロジー専門学校」webサイト
以上