「民俗学」の魅力について
日常生活のさまざまな事柄について、伝承に注目して、そこに至った経緯を探究します。
フィールドワークを伴い、冒険的で謎解きのような楽しさがあります。
■民俗学とは
私たちの目の前の生活が、なぜこのようなあり方をしているのかという関心や疑問に対して、
・伝承という営みに注目しながら、
・その背後に横たわっている意味やしくみ、また、それがどのような関係性のなかに成立し機能しているのか、
・そして、現在に至るまでの移り変わりの姿、そこに込められた人びとの心意や知恵・技といった事柄について、
聞き書きなどの方法を用いて明らかにしていくのが、民俗学と定義されています。
■伝承について
「伝承」とは、意識的であるか否かにかかわらず、言葉や動作、表情などによって表出される知識や技術、心や精神などを、人と人との関係のなかで身につけていくことです。
■俗信について
「俗信」とは、社会において広く流布され伝承されてきた、ものごとの捉え方や考え方、また考えられた内容をいいます。俗信には各地域で伝承された「呪い」なども含まれます。
なぜ、そのような把握や考えが妥当かということについては、「昔からそう言われている」というような歴史的な継承性や、社会的な流布性の事実を根拠にします。
俗信は迷信と異なり、必ずしも間違った考えではありませんが、なぜ正しいのかという根拠が、伝承や社会での流布に依拠しているため、しばしば誤謬や空想や錯覚であることがありえます。しかし、俗信のなかにも、科学的な事実が明確でなかった時代の経験を通じた智慧が含まれることもあります。
俗信の探求について、日本民俗学の創設者の柳田國男は、生活の根底にある「世の中の見方がどうであったかを知ることに目的がある」と述べています。
以上
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