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「合理的な神秘主義 生きるための思想史」 について(概要)

著者:   安富 歩(やすとみ あゆみ)、東京大学東洋文化研究所教授



■要点 / この本のポイント

古今東西の思想史の流れ(誰が誰の影響下か)の、表層(有名なもの)と地層(認識されにくいが実は大きな影響力があるもの)の全体像

・我々が考えるべき問題は、「創発(端的に言えば”神秘的な生きる力”)を阻害・破壊するもの(”暴力”と呼ぶにふさわしい)を、如何に排除するか」であるという認識

・著者も含む、この世界での生き方に不安や渇望を抱える”才能のある子”を、魂の植民地化(=自らの生きる力を信じられなくなること)から解放する方法


■概要 / 本書の内容
我々が生きられることそのものを「神秘」ととらえ、それを阻害しているものを明らかにし、それを解除するための学問的な戦略を「合理的な神秘」と定義としています。

そして世界中の偉大な思想家たちの系譜を追いながら、その目的達成の手がかりを探っている本です。

近代西欧諸学は「デカルト/ニュートン」を本流とし「スピノザ/ホイヘンス」を伏流として形成され、ときに後者が吹き出し新しい流れを生み出した、という見方をしています。

そして、数多く登場させる古今東西の思想家の中でも、特にスピノザ(17世紀オランダ。”神即自然”を示した『エチカ』など執筆)を要としています。

大まかに言えば、古代の聖人の思想を中世の革新的な思想家が再解釈し、それを近代の哲学者たちが論理的に書き記そうとする試み・苦悩の連続が描かれ、例えば、現代のコンピューターや資本主義が生まれたきっかけは、この苦悩の副産物であることがわかります。

「神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのことである」
「神秘は神秘である」
「語りえぬものについては、沈黙せねばならない」
など、「神秘」について様々な記述方法で紹介しています。



参照元: 「万葉読書」ホームページ


以上

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