好きなら私の手を取って、嫌いなら出ていって。
よくそう嘆いて、片手で収まるようになった友人の数を数えては嘆いてた。
お酒をたらふく飲んだ。悲しさに包まれた心にワインはよく染みた。
今はあまりそう思わない。確かに相変わらず友人は少ない。
全ての出会いに始まりがあって、終わりがある。それがものすごく自然なこととして受け入れるようになったからだ。
一緒にいられる人には皆「共通言語」があって、
それがあるから安心して隣に居られる。本音で話せる。
それがなくなった今は、どうしても他人行儀でしかいられないんだ。
私たちをつなぐ会話が過去の思い出話だけだと気づいたら、もうそういうことなの。
変わっていく私が少し憎かった。
少し前まで多くの人と私を繋ぎ止めた「共通言語」がもうここにはないのだから。
まだ私のことが好きなら手を取って。
踏み入れるところまで入ってきて。一筋縄ではいかないけど。
嫌いなら出ていって。
あなたを喜ばせようと、みんなを喜ばせようと躍起していた私ではもうないから。