どうしても能動的になれないので内なる感性に語りかけていた。

ただ映画を観るだけで日を過ごした。それを格好良く言いたかっただけです。
暗澹たる気持ちだったのでアキ・カウリスマキ監督の労働者三部作を観て鬱々と過ごす

パラダイスの夕暮れ
マッチ工場の少女
真夜中の虹

間の取り方や挿入歌の感じが良くて一気に好きになってしまった。
場を繕う為のコント的な台詞回しや、登場人物に状況を解説させる親切なお喋りがないのもいい。
静かで暗く淡々と時が過ぎ物語は進み終わる。

登場人物が少なく、だいたい中年で、全体的に温度が低い静かな画面の中の彼らがやたら煙草を吸いまくる所にも好感が持てる。
皆愚かで、努力し、報われず、色々な事を諦めながら生きている。
不器用な昔の人間たち。
一昔前の人間像だと思いながら楽しんだ。
最近の人間たちとは違う良さがある。
人間の生き様には甲乙付け難いが、少なくとも最近の人間はローンで買うブラウン管のカラーテレビに感動しない。
ゲンダイジンを感動させたいなら、ディスプレイを弯曲させないといけない。なんて複雑。なんて繊細。


こういうことを書くと斜に構えた人間になった気がする。
斜めに歪んで、世の中を嫌って、社会派を気取ってすましている顔の人間になっている気がする。

ただ好きなものを好きに述べる事が難しい。
そういうものが好きな人として、私のイメージが勝手に形作られていくことが厄介なのだ。

コメディらしいコメディも、状況解説つきの親切なドラマも好きです。
人間に向いてないけど、人間のことは好きです。

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