『退職面談』を皆さんに知ってほしい!ブログ 2. 退職面談とは?
このブログ企画は
『すべての企業に退職面談(Exit Interview)を。
ホンネを紡ぐ組織をスタンダードに。』
を掲げる、退職面談の専門支援を行う『いっと』事業で培った情報やノウハウをもとに提供いたします。
「1.1 退職面談の定義と背景」
退職面談とは、会社を辞める従業員と企業が最後の公式な対話を行う機会であり、辞める理由や在職中の経験に関する意見を収集するプロセスを指します。企業は退職者からのフィードバックを通じて、組織の現状を見直し、離職の根本原因を把握することができます。これは人事戦略や組織改革の一環として位置付けられ、単なる離職手続きではなく、組織全体の向上と成長に資する情報を得るためのプロセスです。
退職面談が重要視される背景には、以下のような要因があります。
〜組織の健全性を評価する〜
退職者は会社の内側で直接経験した出来事や感情を持ち、特に在職中に感じていた不満や問題点を率直に伝えやすい立場にあります。そのため、退職者からのフィードバックは組織の健康状態を測る重要な指標となります。
〜労働市場の変化〜
従業員の離職は組織にとって大きなコストがかかり、労働市場の流動性が高まる中、優秀な人材の定着率向上が組織の課題となっています。離職の原因をしっかりと把握し、対策を講じることは、人材マネジメント戦略の一部として欠かせないものです。
「1.2 退職面談の種類」
退職面談は、企業の規模や目的、業界によって様々な形式で行われます。ここでは、いくつかの代表的な退職面談のタイプを紹介します。
〜対面式面談〜
最も一般的な形式で、担当者(通常は人事部門の担当者または直属の上司)が退職者と直接対話を行うものです。対面でのやりとりによって、相手の表情や反応を見ながら本音を引き出すことが可能です。
〜電話・オンライン面談〜
近年、テクノロジーの発展に伴い、電話やビデオ会議ツールを活用した退職面談も増えています。特にリモートワークが普及している企業や、多拠点に展開している企業にとって、オンライン面談は有効な手段です。対面での面談に比べて物理的な距離があるため、本音を話しやすいと感じる退職者もいます。
〜アンケート形式の面談〜
退職面談の一環として、事前に質問票を配布して回答してもらうアンケート形式も用いられます。面談前にアンケートで基本的な離職理由やフィードバックを収集し、面談時にそれをもとに深堀りを行うこともあります。直接対話を避けたい退職者にとっては、匿名で意見を述べやすいメリットがあります。
〜第三者機関による面談〜
近年では、企業が中立的な立場を保つために、退職面談を外部の専門機関に委託するケースも増えています。第三者による面談は、退職者がより率直に意見を伝えやすい環境を作り、客観的な分析を得られるというメリットがあります。
「1.3 退職面談の歴史とその進化」
退職面談の起源は、20世紀初頭の欧米企業の人材マネジメント手法にあります。当初、退職面談は特に経営層の戦略的な意思決定に利用されることは少なく、退職者の手続きや、簡単な離職理由の確認程度で行われていました。しかし、1950年代から60年代にかけて、人事管理(HRM:Human Resource Management)が組織経営における戦略的重要性を増すにつれて、退職面談も労働者の声を直接的に企業経営に反映するための重要な手法として位置づけられるようになりました。
また、従業員エンゲージメントが注目される1990年代以降、企業が退職面談をより積極的に実施し、その結果を活用して組織改善や離職率の低減に取り組むようになりました。特に、優秀な人材の確保や育成が経営の課題となる中で、退職面談は単なる退職者との対話の場ではなく、経営戦略にフィードバックを取り入れるための重要な情報源となっています。
近年では、オンラインツールの普及やデータ分析技術の発展により、退職面談の手法や結果の活用方法も進化しています。アンケートツールやデータベースの導入により、面談結果の定量化やトレンドの分析が可能となり、より効果的な組織改善が行えるようになりました。また、リモートワークの普及や多様な働き方が広がる中で、退職面談のアプローチも柔軟に変化しています。
「1.4 退職面談の意義と特性」
退職面談は、他の面談と異なり、企業が従業員と築いてきた関係の最終段階で行われるため、独特の特性と意義があります。
〜本音を聞ける最後の機会〜
在職中の従業員に比べ、退職を決意した従業員は自分の気持ちや考えを率直に話す傾向が高いです。これは、今後の評価や昇進といった企業からの報酬や人間関係への影響を気にする必要がなく、自由な立場で話すことができるからです。そのため、退職面談は従業員の「本音」を引き出し、会社の実態を知るための最後のチャンスといえます。
〜離職理由の裏にある組織の課題〜
表面的な退職理由としては、給与や待遇、キャリアパスの不足、職場の人間関係などが挙げられることが多いですが、その裏には組織全体の課題や文化の問題が潜んでいることが多いです。例えば、「給与が低い」という退職理由の背後には、正当な評価がされていないと感じている場合や、キャリア成長の機会が不足していることが原因となっていることがあります。退職面談では、こうした背景や根本原因を探り、組織の問題点を体系的に把握することが求められます。
〜企業と従業員双方の利益に貢献〜
退職面談は、企業にとって組織改善のためのデータ収集の場であると同時に、退職者にとっても有益な機会です。退職者が自分の意見や経験を共有し、組織への貢献を感じることで、企業への不満が解消され、ポジティブな印象で退職することができます。また、面談でのフィードバックを受け入れることで、退職者が自身のキャリア形成や職務経験の振り返りにもつながります。
「1.5 退職面談の心理的側面」
退職面談を成功させるためには、心理的側面の理解が欠かせません。退職者はさまざまな感情を抱いて面談に臨むため、その気持ちに寄り添い、共感を示しながら進めることが重要です。
〜退職者の感情〜
退職者は、企業への感謝や充実感を持ちながら退職するケースもあれば、フラストレーションや不満を抱えて去るケースもあります。そのため、面談担当者は退職者の感情に敏感であり、感謝の気持ちや共感を示すことで、退職者が本音を話しやすい雰囲気を作ることが求められます。
〜傾聴の重要性〜
退職面談では、傾聴の姿勢が非常に重要です。退職者が話す内容に耳を傾け、遮ることなく聞くことで、退職者は自分の声がしっかりと受け止められていると感じます。また、質問を通じて退職者の意見をさらに深掘りし、共感を示すことで、より有益なフィードバックを引き出すことが可能です。
いかがでしたでしょうか?
次回は「退職面談の目的と価値」についてを予定しています。
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