戦略人事の施策 ~ OKR編 ~ ②OKRへのオーナーシップを全メンバーに持ってもらいつつできる、Department OKRの決め方
スタートアップにおいては以下だけでなく、
①採用/退職マネジメント
②人材教育
③労務
④人事システムや制度
以下なども戦略的に動かしていくべき、という話を初回のnoteで致しました。
⑤Mission/Vision/Valueの策定
⑥エンゲージメント(≠従業員満足度)
⑦All-hands=会社全体会議の運営(どころか経営のメッセージングをリード)
⑧カルチャーの組成
⑨OKR (Objective/Key Results)
⑩組織戦略
本日も引き続き⑨のOKRです。前回はCompany Objective(会社の目標)の決め方、部門長/リーダーの巻き込み方をお伝えしました。
今回はOKRのコアの部分、部門OKRの決め方のおススメ方法についてご説明したいと思います。なおCompany Objective(会社の目標)がラディッツとすると、Department OKR(部門の目的と主要な結果指標)はフリーザ、のレベルとなるのはお伝えした通りです。
ベジータで言うところの
なのですが、一旦Company Objective(会社の目標)は部門長と決めているので、部門長をうまく取り込んで進めましょう。
走ったものを
というようにベジータに応援してもらいながら、自信をもってやるのも大事かなと思います。失敗しても良いから、自信もってやるというのはスタートアップに欠かせないマインドセットかと思います。だからこそスタートアップとしては、「まず失敗してみる」を許容するValueを入れることは不変で大事だと感じます。Valueの話はまたいずれということでOKRに戻ります。
さて、Company Objective(会社の目標)が前回の方法をもとに無事に決まったら、次はDepartment OKRです(部門の目標と主要な結果指標)。
ただし注意点があります。
Company Objectiveが決まった、よしDepartment OKRを決めるぞ!とリーダーが決めてしまうと、今までの努力が水の泡になってしまうのでご注意を。
気を取り直して、前回このように書きました。
OKRの本質というのは、人の成長と会社の成長を重ね合わせていく事にあります。(どこの本にも書いてないかもですが断言します)
つまりどれだけ部門メンバーを巻き込んで決めるか、という点が重要になります。
Department OKRの設定手順です。
※大変だと思いますが、もし過去に会社としてOKRをしっかりと浸透させたことがなければ、これからご説明する手順をHRがすべてやってしまいましょう。戦略人事とは、部門がやるべきことも代わりにどんどんやって馴染んだところで部門に戻してあげて、また次の改善に移っていくことができる、そういう人事です。
①Company Objectiveが決まった背景を説明
②それをもとに、メンバーにDepartment OKRの案を考えてもらう(宿題にしてもOKです)
③各メンバーのDepartment Objectiveの中のキーワードを抽出
④キーワードに基づきDepartment Objectiveを決定
⑤メンバーのDeparment KRの案を昇華させつつ、部門長/リーダーがリードして確定する
②についてメンバーへ案を考えてもらう際、考えてほしいキーポイントは以下ですのでこれを伝えましょう。
・Company Objective(会社の目標※)を達成するために部門として目標にすべき「O」は何なのか
・この目標を達成するために最も重要な「KR(主要な結果指標)」は何か
・そしてなぜそう思うか
・問題を持ち込むのではなく、問題の裏にあるゴールをイメージして考えよう
※Company Objective(会社の目標)の例(前回ご参照):
全従業員の団結により、コロナと戦いクライアントに笑顔をもたらす
これでまずは、何を課題に感じていて、どう解決したいかをメンバーから抽出することが可能となります。
しかしながら、
メンバーは一般的にどうしても目の前のことに集中しがちになりやすいため、回答をそのまま受け取るよりも、内容を昇華させてあげる必要があります。
HR部門でのメンバーからの案の例(実際はもっと案は多く、一例です):
Aさん:Department Objective「適材適所に人を採用する」、KR「AIポジションを強化して採用」
Bさん:Department Objectiveは、「社員を鼓舞してその喜びがお客様へも伝わるようにする」、KR「エンゲージメント施策を実行」
まずDepartment Objective(部門の目標)の決定です。こちらはCompany Objectiveと同じやり方で行います。
メンバーのメッセージを確認しつつ、そのエッセンスを内包したバージョンの例を作ります。
※この際、Company Objective(前回のnoteご参照)同様、リーダーが複数のDepartment Objective(部門の目標)をつくり、投票するのがおすすめです
決定例がこちら。
Department Objective(部門の目的):最高のHRアクションによって従業員に光を当てる
<解説>
採用もエンゲージメント施策も「HRアクション」として内包されますし、まだ見ぬ新規のメンバーへも、既存の従業員にも「光を当てる」ことが大事であると考えられるため、このDepartment Objective(部門の目的)を作成しました。
これによってDepartment Objective(部門の目的)はメンバーの血が通ったObjectiveにすることができます。
続いてDepartment KR(部門の主要な結果指標)です。
<解説>
AさんのKRはAIポジションの強化と採用達成したい、という個人の成し遂げたい思いが入っています。
「AIポジションを強化して採用する」
これを一段高く昇華してあげると、以下になります。
「すべての採用ポジションにおいて、必要人材を計画通りに採用する」
BさんのKRは施策を実行したいという強い思いが表れています。
「KRはエンゲージメント施策を実行する」
これを一段高く昇華してあげると、以下になります。
〇〇と○○のエンゲージメントアクションを実行し、満足度調査によって80点を得る
※OKRにとって測定可能にすることが大事という点もあります。測定可能が大事という説明などはいくらでも本が記載してくれているので割愛します。
その結果、導き出されるDepartment OKRが以下となります。
Before
Department Objective :「適材適所に人を採用する」「社員を鼓舞してその喜びがお客様へも伝わるようにする」
Department KR :「AIポジションを強化して採用」「エンゲージメント施策を実行」
After
Department Objective:最高のHRアクションによって従業員に光を当てる
KR1:すべての採用ポジションにおいて、必要人材を計画通りに採用する
KR2:〇〇と○○のエンゲージメントアクションを実行し、満足度調査によって80点を得る
※なお実際は多数の案を一人一人のメンバーからもらうため、一旦Department OKRを設定した後に彼らの案から個人のKRを定めてあげると、すんなり個人のKRまで決めることもできます。
OKRのコツはフリーザ様に学べ??「何が嫌いかより 何が好きかで自分を語れよ!!!!」
このような形で何をしたいか、課題に持っているか、改善したいかをメンバーから抽出することによって、メンバーのオーナーシップを高めながらDepartment OKRを設定すると、まさに血が通ったDepartment OKRになります。何が嫌いか(問題か)、より何が好きか(何をしてゴールを目指すか)でメンバーに語らせ、巻き込みましょう。
なお、この方法を取ると以下の様な副産物もうまれます。
・そもそも一つの目標のもとにやるべきことをディスカッションする機会があまりないため、このセット自体が部門の一体感を生むきっかけになる。
・一度セットするとオーナーシップがあがるので、初期的にかかるセットの時間は後々のコミュニケーションの効率化によって超消しすることができる(=その後のOKRの運用時のコミュニケーション時間を劇的に減らせる)
・メンバーの考え方ややりたい事が見えてくるのでエンゲージメントや人材最適配置にも有効
・HRがディスカッションをリードした場合、部門の課題やゴールが一目瞭然になるため、HRの他部門への理解が飛躍的に上がる。
一見シンプルですが、すべてHRがしきってやろうとすると結構大変です、従いHRがリードしようとすると、それはもうラディッツではなく、フリーザ級なのです。(部門の数x部門のメンバーの巻き込み)。ただしやる価値は十分あります。
前掲の以下の手順のうち、①~④くらいまでをHRがリード、⑤のDepartment KRは部門長/リーダーに完成してもらう位が良い塩梅になると思います(ObjectiveはHRにまとめれるが、KRにまでになるとHRでも把握しきるのが難しいため)
①Company Objectiveが決まった背景を説明
②それをもとに、メンバーにDepartment OKRの案を考えてもらう(宿題にしてもOKです)
③各メンバーのDepartment Objectiveの中のキーワードを抽出
④キーワードに基づきDepartment Objectiveを決定
⑤メンバーのDeparment KRの案を昇華させつつ、部門長/リーダーがリードして確定する
そして次回のDepartment OKRの設定からはできるだけ部門長/リーダーに移譲していきましょう。
次回!「OKR様の最後、飛び道具でOKRを完全攻略!!!!」ぜってぇ見てくれよな!!
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