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戦略人事の施策 ~ OKR編 ~ ①OKRの失敗例と改善方法。Company Objectiveの決め方

スタートアップにおいては以下だけでなく、

①採用/退職マネジメント
②人材教育
③労務
④人事システムや制度

以下なども戦略的に動かしていくべき、という話を初回のnoteで致しました。

⑤Mission/Vision/Valueの策定
⑥エンゲージメント(≠従業員満足度)
⑦All-hands=会社全体会議の運営(どころか経営のメッセージングをリード)
⑧カルチャーの組成
⑨OKR (Objective/Key Results)
⑩組織戦略

継続的に読んでくださっている方には、何回いうねんコイツ!っていう話なのですが、かといって以下の様な説明だと

伝わらないと思いますし、全体感がある中での施策というのは大事だと思うのでもう少し記載し続けたいと思います。

さて前回はAll-handsの中身について細かめにうちの会社でやっている施策をご紹介させて頂きました。

そして今回は⑨のOKRです。

実はOKRを改善できたのは比較的最近です。

「そうか おめぇまだ空の飛び方も知らねぇのか・・・ムリもねぇよな、師匠なんていねぇしそんなこと考えたこともなかったろう・・・」

こちらはドラゴンボールの最終回で、悟空の舞空術に驚くウーブ(魔人ブウの生まれ変わり)に対し、悟空が発する言葉です。

OKRをどう改善するかという課題に直面した時、あらゆる本やネットを調べても、具体的にどうセットしたのかとかが体系的に書かれておらず、教科書や師匠がいない!!!という絶望的な状態になっていました。

従ってこのOKR編ではできるだけ具体的に、明日からOKRのセットが始めることのできるようなレベルでやり方を書いてみたいと思っています。
なおOKRとは何ぞやというのはネットで調べればいくらでもでてきますし、googleのラリーペイジの著書を見てもらえればわかります。

が、これらを見ても何かが圧倒的に足りない.....

そう、実務的にどうやって設定していけば、従業員のモチベーションをキープしながら良いOKRがセットできるのかが全然わからないのです。

つまり、悟空の発言のうち、「空の飛び方」を「OKRのやり方」にかえるとピッタリくる。そんなレベルでどうしたらいいんでしょ、という状況でした。

「そうか おめぇまだOKRのやり方も知らねぇのか・・・ムリもねぇよな、師匠なんていねぇしそんなこと考えたこともなかったろう・・・」

さて、まず改善前に導入していたOKRのやり方についてご紹介します。

1.Company Objective(会社の目標)を経営陣が決定
2.それに基づき各部門長がDepartment Objective(部門の目標)とDepartment Key Results (部門の主要な結果指標)を決定
3.部門内で各メンバーにIndividual Key Results(個人の主要な結果資料)を割り振り
4.定期的に進捗をgoogle spread sheetで管理、ウォッチし報告

はい、ゴミです。

当時は何がだめだったのか全く分かってなかったのですが、今思えばOKRと本気で戦うには完全にゴミでした。

なぜだめなのか。OKRの本質というのは、人の成長と会社の成長を重ね合わせていく事にあります。(どこの本にも書いてないかもですが断言します)

このように、すべてをトップダウンで決めてしまった場合、自分の成長と会社の成長が交わるはずがないのです。やや交差することはあっても「やらされている感」があるとOKRは機能しなくなります。

この結果起こってしまった残念な状況が以下です。

1.個人OKRを誰もちゃんと入力しない
2.個人OKRの進捗がよくわからないので部門長が「決め」で、シニア層からヒアリングして進捗を決めちゃう
3.進捗について、何の根拠もない「進捗率」みたいなもの(例:これを完遂するに今ここまでできてるからOKRの進捗も50%っしょ!みたいな)で決めちゃう
4.部門時点ではストレッチしていると思っていても個人の設定までいくと、結局OKRがタスク化してしまう、そのため個人としてはストレッチ目標にも何もなっていない
5.結果だれも信用してないが、にもかかわらず入力作業は手間で、OKRの四半期ごとの設定はもっと手間で、OKR自体が時間泥棒化

ひょっとするとこのあたりは他社にも存在する、あるあるなのかもしれないです。

そしてこの状況から、現在はこうなっています。(上記の1~5と対比下さい)

1.個人が積極的にOKRの進捗を報告
2.部門長の主観ではなく、メンバーの考えをまとめた現場感のある客観的進捗率が報告される
3.進捗率を厳格に取り扱う一方で、進捗率の低さがメンバーのデモチになっていない(これには秘密あり、今後noteで公開します)
4.OKRがタスク化せず、チームメンバーが意見を出して、進捗を妨げる壁をチームで解決している
5.OKRによってチームワークや、効率性が強化

控えめに書いても、このような変化が起こっております。

その秘密は何か??








一人につき五千万ゼニ―でサービスしましょう。

そんなタオパイパイ(情報ショウザイザイ)さんは悟空に倒してもらい、仕切り直して、その秘密は何か?

それはただ一つ、「OKRの決め方」にあったと言っても過言ではありません。
ここからは本気でOKRを浸透させたい、導入させたいと思っている方のみ読み進んで頂くことをお勧めしたいです。

OKRは本当に大変で時間がかかります、ただその決め方におけるプロセスをさぼらなければ、効果を発揮します。従いいかにOKRに本気で取り組むかが重要です。

話が少しそれますが、OKRについてはよく、「経営のコミットが大事」という記載がありますが、経営がコミットしていなくても、HRがリードすればいいんです。「戦略的人事/HR」というのは各部門や経営陣が拾わないといかないようなボールを一旦、「全部やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめて」そして部門や経営陣に戻すという行動が必要だと感じます。なのでOKRもHRがリードして進めることができるはずです。

Company Objective(会社の目標)から始まります。

このCompany Objectiveをしっかり決めることがすべてのOKRの旅の始まりになります。会社によってはトップダウンで決めることもあると思います。

しかしながら、私としては部門長との協議のもと、会社として決めることをお勧めします。理由は単純で

部門長が腹落ちしていないCompany Objectiveは絶対に部門の中に腹落ちしない

からです。

そしておススメの手順を①~⑤として、こちらに記載します。

①会社のVision(例:AIで日本一になる)から考えて、今から6か月~1年でどうなっているべきかを踏まえて、Company Objective(会社の目標)を考える宿題を部門長全員に出す(Company Objectiveの設定期間は3か月という考え方もありますが、中規模スタートアップ以上であれば6か月をオススメします。1年だと長すぎる、ただし3か月だと近視眼的になりやすいので6か月がオススメです。一方シリーズAやシード段階でのスタートアップは3か月での設定もよいかもしれません)

※①のCompany Objectiveを考える際のキーポイント:
i.課題や問題を持ち込むのではなく、その課題や問題を乗り越えるゴールをイメージして作ってもらう
ii.「Keep(継続)」や「Maintain(維持)」など現状維持的なワードの使用は避ける(OKRの目標はストレッチ目標にあるため)
iii.明確かつポジティブな、ワクワクするような言葉を使う

考えた宿題を持ち込み、それぞれの部門長が5分くらいで説明する

③(ここが大事!)各部門長の話す内容から、HRがキーワードをピックアップする

そのキーワードをまとめ、HRが数個のCompany Objective(会社の目標)の文言を作り出す

⑤(ここが大事!)最終的に投票で決定する

これでCompany Objective(会社の目標)を決めます
①~⑤はすべて大事なプロセスなのですが、なぜ③と⑤が大事か。

③→文章をそのまま使うわけではなく、重要なキーワードをピックアップすることで、その魂の入った言葉をAIモジュールの様に(笑)、あるいはパズルのピースの様に変形可能なものとして使用できるようになるからです。そしてそのパズルを④に組み込むことで部門長のピースを重ね合わせて、⑤の投票に向かいます。
 
⑤→最終的に全員で決めた、ということが部門長が今後メンバーに説明していく際にも、また部門一丸となってCompany Objectiveを追う際にも説得力を持ちます。例えば以下のイメージです。

イメージ:
これまで:(部門長)んんーやっぱりこのCompany Objective微妙だよな~やる気なくなるなぁ。
これから:(部門長)んんーやっぱりこのCompany Objective微妙だな、ただ他部門長含めて決めたことだから、やるぞ!

うちの会社でのCompany Objectiveの決定例(コロナ禍の前提):

部門長への宿題(①)

↓↓↓
部門長が内容を発表し、説明(②)
営業部門:全人員の生産性を倍増させる
エンジニア部門:顧客に継続的に新しい価値提供をする
AI部門:研究開発によってビジネスとしての価値を生む
HR部門:プロダクトにより、顧客満足と収益を同時達成する
XXX : .........
XXX : .........
経営陣:全従業員が団結して、コロナに立ち向かう

↓↓↓
キーワード抽出(③):
・効率性
・効果/イノベーション
・顧客価値提供
・プロダクト化
・VSコロナ

↓↓↓
複数のCompany Objectiveのアイデアをキーワードのピースで作成(④)

↓↓↓
最終的に投票で決定(⑤)

全従業員の団結により、コロナと戦いクライアントに笑顔をもたらす

なんとなくイメージできましたでしょうか?わくわくしてきましたでしょうか?

次回はOKRのコアの部分、部門OKRの決め方のおススメ方法についてご説明したいと思います。なおCompany Objective(会社の目標)がラディッツとすると、Department OKR(部門の目的と主要な結果指標)はフリーザ、のレベルとなります。

次回!OKRのコツはフリーザ様に学べ??「何が嫌いかより 何が好きかで自分を語れよ!!!!」ぜってぇ見てくれよな!!





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