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中江兆民『三酔人経綸問答』読んでる
今月NHKの『100分de名著』で中江兆民の『三酔人経綸問答』を特集されています。
恥ずかしながら、一応名前は聞いたことがあるかなぐらいで、全然中江兆民がどんな人かとか、本の内容も知らなかったんです。でも、番組を見ていてなかなか面白そうだぞと。
で、Amazonで見てみたらKindle Unlimited対象。こりゃ嬉しいということで読み始めたのでした。
今、洋装紳士の語りがひと段落して、豪傑くんが語っている段階で、『100分de名著』の進行と同じぐらいのところです。
いやあ、普通に面白いですね、これ。
非軍備平和主義者の洋装紳士と、侵略的帝国主義者の豪傑くん。全く相容れない両者の主張が、それぞれそうかもしれんなあと思わせる説得力と、それちゃうんとちゃうと疑わせるツッコミどころを有していて、とても楽しい。
興味深いのが、これがすでに130年ぐらい前の本にも関わらず、今でも左翼と右翼で全く同じような主張の対立をしている点でしょう。性善説と性悪説の対立とも言っていい。
これは、130年経っても人間社会が進歩してないというべきか、人類が永遠に抱えざるを得ない本質的なジレンマを見抜いた中江兆民の慧眼というべきか分かりませんが、とにかくもそこそこ古い本でも今なお通用する本というのは、本当感服させられますね。
(なんなら、プラトンとかセネカとか2000年ぐらい前の古典も、現代人が頷かされる発見が多々ありますが、ここまで来ると感服を通り越して、畏怖の念も出てきますね。2000年読み継がれる本ってヤバ過ぎでしょう。)
でもって、この本、対話形式になってるのが、読みやすいですね。番組でもプラトンが対話篇を好んでいたことが触れられてたようにも思いますが、やっぱり相変わらずこの形式は読みやすい。
実際にはほとんどモノローグばりに一人が長々と語り続けるにも関わらず、それでもなぜか読みやすいのは不思議なところではあります。論文調の書き言葉と、対話調の話し言葉は何か根本的な違いがあるのかもしれません。
江草のnoteでは長々と説明しちゃう時に、分かりにくさ、固さが残ってるような気がしていて、なので、こういう対話形式のカジュアルさやとっつきやすさは憧れます。うまいこと文章に取り入れたいなと時々思うのですが、なかなか具体的にはトライできていません。
あと、やっぱりすごいなと思うのが中江兆民の博識ぶりですね。明治維新から間も無く、インターネットももちろんない頃に、ヨーロッパ各国の情勢や歴史を詳細に押さえた内容で議論が進んでいるのは、一体どうやって勉強したんだろうと驚かされます。フランスに留学はされてたようですが、それでここまでの見識を携えて帰って来れるものなのでしょうか。
パソコンやらインターネットやら電子書籍やら、大変に恵まれた知識収集環境にいながら全然不勉強な我が身を思うと、到底彼ら偉人たちには及ばないなと恐縮するばかりです。もっと学んで考え続けなきゃなという刺激になりました。
番組も書籍もまだ途中ではありますが、そんなことを考えさせられてとても面白かったので、ちょっとnoteで書いてみました。
続きも楽しみです。
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