『フォン・ノイマンの哲学』読んだよ
高橋昌一郎『フォン・ノイマンの哲学』読みました。
最近ちょっと頑張って肩肘張りすぎていた感があり、気楽に読めそうなものをと思って積読してたこちらを手に取りました。
ジョン・フォン・ノイマンは言わずと知れた大天才で、20世紀のみならず人類史上でも最強の天才であったとも評される科学者です。コンピューターも原爆もゲーム理論も天気予報も、ノイマンがその基礎を手がけたとか。
彼はとてつもない才能や偉業の数々ばかりが注目されがちですが、そうした彼の一生を追いかけることで、彼の考え方、すなわち「ノイマンの哲学」に迫ろうというのが本書です。
非常に面白かったですね。
もっとも、肝心の炙り出されたノイマンの哲学自体はぶっちゃけ「らしい」合理主義的な感覚であって、さほど意外でもなかったというのが正直なところです。ただ、シンプルにノイマンの伝記として楽しめました。稀代の大天才の人生はこういう感じだったのねと。
何より、ノイマンの人生を追ううちに他の有名科学者と交錯する場面がしばしばあるのがいいですね。アインシュタインはもちろんのこと、最近映画で物議となったオッペンハイマー、チューリング、ゲーデル、ハイゼンベルク、ヒルベルトなどなど、20世紀初頭の科学者たちの人間模様が垣間見えるのは理系人間としてはやっぱりワクワクします。
2つの大戦や冷戦といった歴史の激流も彼らを翻弄します。科学者と言ってもただ本当に科学のことだけしてるわけにはいかず、どうしても社会の情勢によって影響を受け、時には運命のいたずらも発生する。歴史にifはないのですが、ほんとちょっと歴史が違っていただけで科学者たちの動向や、科学そのものも大きく変わってしまっていたかもしれない。そう思わされました。
ともかくも、出てくるノイマンのエピソードがことごとく天才すぎて圧巻です。「自分はけっこう頭いいんじゃないか」みたいに調子に乗ってしまいそうになった時に読めば、「いや自分なんて全然だったわ」と謙虚な気持ちが取り戻せる、そんな本としても有用かもしれません。
いやあ、科学者系の本もやはり面白いですね。