『アトミック・シンキング』読んだよ
知的生産術界隈で活躍されてる「ごりゅご」こと五藤 隆介氏のKindle新刊『アトミック・シンキング』が出たので早速読ませていただきました。
ごりゅごさんは日頃からニュースレターでもObsidianを活用したアトミックノートメソッドを発信してらっしゃってますが、その集大成と言える本ですね。
↓ごりゅごさんのニュースレター
これは読まないわけにはいきません。
本書を一言でいうと、「書くこと」と「考えること」の意義とコツを丁寧に教えてくれる一冊でした。
そのために大事なポイントとして大きく「自分の言葉で書くこと」と「アトミックノート」を詳しく掘り下げてらっしゃいます。
いやー、とても良かったです。
本書で提案されてる、自分の言葉でノートを作る習慣を築き、ノートを「これ以上分けられない」最小形態にすることを目指し、ノートを無理に分類せずリンクで管理するスタイルは、『すべてはノートからはじまる』や『TAKE NOTES!』(あるいはもしかすると『Atomic Habits』も)の流れを組んでる印象です。
情報や知識が膨大、複雑化し、それでいて忙しい現代だからこそ、ますます求められるようになってきたスタイルです。
この最新スタイルを学ぶとっかかりとして、本書はすごくまとまっていてとっつきやすい本と思います。
考えること、書くことは、決して簡単ではないし、労力も時間も絶対量としてやっぱり多分に費やす必要があります。楽な道なんてない。そこはごりゅごさんも明言されてます。
でも、自分で手動でやるべき部分、自動化できない重要部分にいかに個々人が注力できるようにするかを本書はとても丁寧にガイドしてくださっています。
自動化や省力化できる部分はツールに任せてしまう。これがデジタル化が進んだ現代ならではの発想なのですよね。
ニュースレターと違ってあえて抑えてらっしゃるのか、Obsidianなどの具体的なデジタルツールの使い方を紹介するなどの派手さはなく、比較的抽象的に静かに進む本です。
でも、それが自然と読者の書きたい気持ち・考えたい気持ちを支えてくれることにつながっているようです。抽象化されてるだけに、誰もが漠然と悩んだときにいつでも立ち戻ってこれるようなそんな優しさを感じます。
とくに知的生産界隈のデジタルツールに詳しくない初心者の入門にはとても良さそうです。
すごく読みやすくて、読んでいると当たり前のことを書いてるようにさえ感じさせる本なのではあるのですけれど、それがすっと読み手の頭に入ってくることは全然当たり前ではないわけで。
これは、著者のごりゅごさん自身が、日頃からじっくりご自身の思考と文章を丁寧に手入れをされていたからこそなのでしょうね。
これだけ書くこと、考えることを大事にされてる本だけに、「ちゃんと自分は読めて理解してるのだろうか」「内容をコピペしてるだけになってないか」と、こうしてすぐにnoteで読後レビューをすることに少し気後れしないでもないです。
でも、これはあくまで「フリーライティング」や「日記」みたいな段階の作業として割り切って捉えるのがいいのかなと、本書を読んで再認識しました。
もとよりnoteやブログのようなweb記事投稿の方が、一回公開してしまうとあとからあまり変えにくいので固定的な文章なのですよね。「感想」とか「いいね」とかついた後に全然違う内容に一変させることは難しい。変化できないがゆえに完璧なものにはなりえない。
だからむしろ「常に手入れをする」デジタルガーデンたるObsidianなどの個人ノートの方が常に完璧を目指して柔軟に変容していくことを許容しているので、より「ガチ」だったりする。
一般的には公開文章の方が「本番」というイメージがありそうですけれど、そのイメージに反して、実は個人的なアトミックノートの方が手がかかる永遠の「本番」と言えるんですよね。
なので、江草も日頃からnoteの投稿を「とりあえず書き出す場」として扱っちゃっていて、本稿もそういうところがあります。
ほら、みなさんも薄々お気付きの通り既に本の感想の範疇から脱線しつつあるでしょう?
でも、こうやって考えるままに気にせずガガッと書いてしまうことが、良いアトミックノートの種になるんですよね。
これが面白いから書くことはやめられない。
それにしても、本書は完成度が高くて驚きます。
編集者のつかないKindle Direct Publishingの個人出版でここまで読みやすく、まとまったものにできるものなのかと。
普通に新書として売られてても違和感がないクオリティです。
この書籍として、文章としての質の高さが、本書で提言されてる内容の正しさを裏付けてるわけで、二重の意味でよくできた本だなと思います。
Kindle Unlimitedでも読めますし、考えることを大事にしたい方々にはぜひおすすめです。