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コンビニにも着ていかれないくらいボロボロだけど捨てられないDiscordのTシャツ

捨てられない物はありますか?
それはどんな物ですか?

わたしにとっての捨てられない物は、アメリカの音楽レーベル「Discord Records」のTシャツです。
15年くらい前にディスコードのサイトから海外通販で取り寄せました。

抹茶ラテみたいな色のTシャツに、ぶっとい文字の「DISCORD」のロゴとその下にライブ写真がプリントされているものです。
ライブ写真の手前には、背中をよじっている上半身裸の男子、その奥の一段高い位置にミュージシャンが見え、男子の右では観客もみくちゃになっています。

ロックTでおなじみの黒字に白プリント、グレー地に黒プリントをあえて避けようと思い、一番浮いていた抹茶ラテ色を選びました。

注文確認のメールで、「このTシャツの色を選んだ人は初めてだよ〜」ってメッセージが添えられていたので、ほんとに誰も選ばない色だったようです……。
(今は廃盤カラーになってしまいました)

それ以来、ずっと着てきたTシャツは首元のリブはよれよれ、ボディもくたくた、プリントはもう剥げかけています。
正直、近所のコンビニに着ていくのもためらわれるくらいです。


ですが、どうしても捨てられないんですよね〜。
他のロックTは処分しちゃったのに、この1着だけが残ってしまいました。

なんで、こんなにボロボロになっても手放せないのか?

それは、このTシャツが単なる服以上の存在だからです。
特別である理由は、Discord Recordsの創設者であるイアン・マッケイの影響なくして考えられません。

彼は、1980年代のハードコアシーンを率いたミュージシャンで、「ストレートエッジ」というムーブメントを提唱したことでも有名です。

ロックといえば「セックス、ドラッグ、ロックンロール」っていうのが常識だった時代に、彼は「喫煙しない」「麻薬を使用しない」「アルコールを摂取しない」「快楽目的のみのセックスをしない」というストイックな生き方を選びました。

Fugazi『Waiting Room』ライブ
この熱気と密度!合唱しちゃうよ〜。

しかも、彼はそれを言うだけではなく、実践していました。
例えば、パンクのライブでおなじみのモッシュを禁止したり、入場料は6ドルに設定して、子供でも観に来られるようにしたり、図書館などアルコールを提供しない会場でライブを開いたり、などなど。

彼は音楽的にも変化を恐れない人で、The Teen Idlesから始まり、Minor Threat、Fugazi、そしてThe Evensへと音楽性を進化させていきました。

初期の速くて短いパンクから、ハードコア、ポストパンク、そして最後にはアコースティックデュオに至るまで、彼の音楽は変わり続けてきました。
それでも、その根底にある硬質さ、熱さは一貫しています。

The Evens『Around the Corner』のライブ
めちゃめちゃタイト!


「自分の頭で考えて、行動する」という彼の生き方は、わたしの働き方のお手本の一つです。

何かをはじめたいけど尻込みしているとき、背中を押してくれるのが初期衝動です。
ですが、はじめの勢いだけで突き進むだけでは長続きしないことも経験上わかってきました。

だから、ふと立ち止まってしまうときがあるんですよね。
「大きな協会の認定校になったほうがよかったのかな」
「流行のスタイルほうがウケがいいのかな」
なんて迷ったり。
みんながやっていることに引っ張られそうになって、自分のやりたいことが置き去りになることもザラです。

だから、お手本を見直して、
「ああ、わたしは大きな組織に属して大きな仕事の一部を担うよりも、何もないところから自分で試行錯誤しながら仕事を作ってみたかったんだ」って初心に戻るのです。

そのお手本が、イアン・マッケイの音楽や哲学だったと。

開業まもない花屋になる前の雑貨屋だったころ、セーターの下にこのTシャツ着てたな〜。
(ふりふりピンクのカワイイ店内には、このTシャツはゴリゴリ過ぎだったのでインナーに着てほくそ笑んでいたのは若気の至り)

Fugaziのアルバムはどれもかっこいいけど、今日はコレ!

久しぶりに聴いたら、猫背がまっすぐ伸びたよ!
よし、明日もガツンと気合を入れていこう。

The Evensはドラムの手数が多いところが聴いてて楽しい。

DiscordTシャツは現在、押入れで衣装ケースのなかに押し込まれています。
取り出して見えるところに飾っておこうっと。

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michimag
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