「胃カメラ初体験」#2 〜麻酔〜
問診も終わりしばらく待機。胃カメラはさすがに時間がかかるのだろう。
遂に名前を呼ばれ、奥の部屋に向かう。
照明を落としたほの暗いコンパクトな小部屋に通された。
次の部屋へと繋がる通路には腰の高さくらいまでのカーテンがかかっており、部屋には背もたれのついた茶色いふかふかのソファが一脚置いてある。
「そこにおかけになってお待ちください」
言われた通りにかけて待つと、カーテンの向こうで準備をしながら看護師さんが今からお薬を3つ飲んで頂きます、と教えてくれた。
一つ目は紙コップ。
「こちらは胃の中の泡を消すお薬です。そのまま全部飲んでください」
確かそんな説明だったと思う。
お腹を膨らませるバリウムと逆なんだなと思いながら白濁した液体を飲む。
若干のとろみとほのかな甘さ。うん、これなら飲める。
二つ目は注射。
「こちらは鼻の毛細血管を収縮させるお薬です。毛細血管を収縮させると、鼻血が出にくくなります。
サラッとしたお薬なので、こちらは鼻の奥を通って喉の辺りにきたらそのままごっくんと飲み込んでください。
ちょっとツンとしますよ」
垂れてこないようにグッと顎を上げていてください、とのことで、ソファにもたれて天井を見上げる。
鼻にしゅこっと注射される。
ほどなく鼻の奥を通る感覚が来た。鼻から水が入ってしまった時のあの奥の方しゅこっ
あっちょっとツンとしてしゅこっ
「左右3回ずつ入れます。はい、いい感じで入ってますよ」
感想を言い切る間もなくリズミカルに鼻へ薬が挿入される。しゅこっしゅこっしゅこっ。
あぁ、ツーンとする。染みる痛さだ。
しばらく上を向いたまま痛みをじっと堪えていると、三つ目が来た。これも注射。
「これは胃カメラを入れるための麻酔です。
ちょっとどろっとした液体なので、ゆっくり鼻の奥を通って喉まで来たら、今度はアゴを引いて飲み込んでください。
そのまま上を向いた状態だと喉に引っかかってうっとなってしまうので」
何となく透明のジェル状の液体が注射器で鼻へ挿入される。ゆっくりと鼻の奥へ流れていく感覚がわかる。
一方、さっきのツンとした痛みは持続している。
あっ喉の奥に来た。続いて喉に来た。実況中継だ。
アゴを引いて飲み込んでみる。どろっとしているせいか、まだ鼻の奥にある感覚が残っている。
このまま残るのかな。
しばらくツンとした感覚とどろっとした感覚と一人で格闘していると、
「お待たせしました。こちらへどうぞ」とカーテンの向こうへ誘導された。
つづく。
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