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30日間の革命 #革命編 199日

 坂本はカメラに向かい、必死に想いを伝えた。これまでの出来事を思い出しながら、ここまで支えてくれた加賀や仲間たち、そして全校生徒の想いを代弁するかのように全ての気持ちを言葉に込めて。

 「どうか皆さん今一度考えてください。今あるこの現状は果たして当たり前ですか? 目を逸らしていることないですか? 私たちは立ち上がれば変えられるんです。それは高校生だろうが、大人だろうが関係ない。今こそ立ち上がるときです。学校を変えましょう。もう、理不尽な校則や罰を受けなくてもいい。もういじめなんて終わりです。自分の道を自分の足で進むときが来たんです。私たちの行動はその一つにきっかけです。大事なのはこれからです。どうか一人でも多くの人にこのことを知ってもらいたい。一人でも多くの人にこの想いを伝えたい。だからお願いします! 皆で立ち上がりましょう!」

 坂本がそう声を上げた時、入口に張ってあったバリケードの一つが崩れた。

 「えー、今バリケード解除しました」

 そう声が聞こえ、破られたバリケードから次々と警察官が体育館の中へと入ってきた。学生たちは驚きざわめいたが、

 「皆さん静かに! 落ち着いて! 今何もしなければ、少し事情を聴いた後にすぐに家に帰れます。どうか変な気は起こさないで!」

 と一人の警察が拡声器を使い学生たちを静止させる。そして、扉の近くに座っていた高橋はまず警察たちに取り押さえられる。高橋は特に抵抗する様子もなく、警察らに連れていかれた。体育館を出る間際、ステージ上で必死に話をしている坂本やそれをサポートしている加賀たち見て、ふと笑顔になった。そしてそのまま外へと連れ出されていった。

 「こ、小春! バリケードが破られた」

 加賀は坂本へ焦った様子で話しかける。

 「……このまま話し続けるわ。神原君ごめん。もう少しだけ協力してください。私は話を続けます」

 坂本は加賀と神原に向かってそう話した。

 「……ま、任せてください! 僕だってカメラを止めるつもりはありませんから!」

 神原はグッと拳を前に出し笑顔を見せた。

 「……なら俺もこの撮影が終わらないように小春を守る。小春はそのままカメラに向かって話しを続けて。少しでも多くの人にこのことを伝えよう」

 「……セト。ありがとう」

 続々と警察が入ってくる中、加賀はそう決意をした。体育館では警察や教師が体育館の中へと続々と入ってきている。そして、ステージ上で撮影をしている坂本らを見つけると、

 「そこのステージ上にいる学生たち。今すぐ降りなさい!」

 と声をかけ、ステージ上へと向かって歩き始めた。それでも坂本は話を続けた。

 「最後まで私たちは諦めません。このことがたくさんの人に届くまで、私は話を続けます。みんなで学校を変えましょう」

 坂本は警察が迫る中、カメラに向かって話を続ける。

 「早くステージから降りて! こっちに来なさい!」

 警察も変わらず声をあげながらステージへと向かってくる。その時、森下をはじめとした運動部たちが警察の前に立ちはだかった。

 「何だ君たちは。おとなしくしてなさいと言っただろ! どきなさい!」

 警察は立ちはだかる森下たちに向かってそう言い放つ。

 「……ごめんなさい。それは出来ません。今撮影を止めるわけにはいかないんです。ここは通せません」

 森下も真っすぐ警察の目を見ながらそう話した。

 「何を訳のわからんことを言ってるんだ。いいからどきなさい!」

 警察はそれでも前へ進もうとする。しかし、森下たちは必死でそれを食い止めた。

 「何をしとるんだお前らは! 自分たちが何をやっているのか分からんのか?」

 警察に加えて大友もやってきて、森下たちを怒鳴りつける。

 「監督、すいません。これが俺たちが選んだ道です。なので、誰であってもここを通すわけにはいかないんです!」

 森下は必死に声をあげた。すると、

 「みんな! 本当に申し訳ないけど、協力できる人がいたら警察や先生たちを止めてくれ! 撮影はまだ続いている! 俺たちでこのメッセージをもっと多くの人に届けよう! 森下たちに協力してくれ!」

 加賀が全校生徒に向かってそう大きく声を上げた。加賀の声は体育科の中へと響き渡る。

 「加賀……」

 森下たちは加賀の声を聞き、更に力を入れ警察の足止めをした。その姿を見た学生たちは、一人、また一人と立ち上がり警察たちの前に立ちふさがる。

 「お、お前たち! 静かにしていればすぐ開放されるんだ! こんなことをしてどうなるのかわかっているのか?」

 それを見た鳥越はそう絶叫した。しかし、その声は学生たちには届かない。一部保護された学生たちを除いて、ステージ前に学生たちがずらりと並び、警察たちが坂本のところまで行けないとうに自分たちがバリケードとなった。

 「み、みんな……。本当にありがとう」

 坂本は目に涙を浮かべ、バリケードを組んでいる学生たちに深く頭をさげた。そして、再びカメラに向かい、

 「今私たちは必死です。どうか多くの人たちにこのことを見て欲しいです。バカな学生たちが警察や教師に迷惑をかけていると思うかもしれません。でも、私たちをここまで突き動かしているのは、『学校を変える』というその想いだけです。今この動画を見てくれている皆さん。どうか周りに目を向けてください。今、学校で困っていることはありませんか? おかしいなと思うことはありませんか? もっとこうしたいっていう想いはありませんか? それらを変えていきましょう。みんなで立ち上がれば変えることが出来ます!」

 坂本は何度も何度もカメラの前でそう話した。学生と警察や教師が周囲で激突し怒号が飛び交う混沌とした体育館。その中で、坂本は必死に声を上げ続けていた。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

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