30日間の革命 #革命編 192日
大友は職員に、警察へ通報するように伝えた。そして鳥越に聞こえないように、
「あまり大事にはするなよ。警官1人来るくらいでも大丈夫だから、そう伝えとけ」
と職員に耳打ちする。大友はあくまで大事にはしたくないという気持ちがあった。
「は、はい。しかし、何て通報すればいいですか?」
「……学生が少し暴れているくらいでいい。立てこもっているなんてことは言うなよ。あくまで警察が来たっていう事実だけでいいんだ。それで事は収まるだろう」
「わ、わかりました」
大友から指示を受けた職員は、携帯電話を持って少し遠くに行き警察へと電話をした。大友はその様子を見つめる。職員は電話をしながら、必死に説明しているようだった。そして、小走りで戻ってくると、
「い、今電話をしました。大友先生に言われた通り、少し生徒が暴れていて収まらないから来てくれと言いました。そしたら、1人様子を見に来てくれるそうです」
「……そうか。ならそれまで待つしかないか」
大友はそう言うと、鳥越に報告をした。鳥越も警察を呼んだということに少し機嫌を戻してようだった。大友は体育館を見つめながら腕を組んで警察が来るのを待った。
数分後、通報を受けた警察官が1人学校へと到着した。
「すいません。学生が暴れていると通報を受けたのですが、大丈夫ですか?」
警官は体育館の前に集まっていた職員たちに向かって声をかける。
「あぁ、すいません。実はちょっと学生たちが少し暴れてましてね。えぇ本当にお恥ずかしい。少しだけご協力いただいてもよろしいでしょうか」
警官にそう話したのは鳥越だった。
「は、はぁ。その学生はどこにいるんですか?」
「実はねぇ、体育館の中にいるんですが、中から鍵をかけてしまいましてねぇ。えーでも大丈夫です。警察が来たと言えば、学生たちも大人しくなると思うんですよ。今から中にいる者に電話をするので、申し訳ないが大人しく出てくるようお話しいただいてもよろしいですかな?」
「そ、そうなんですか。ま、まあもちろんご協力させていただきますが……」
「ありがとうございます。……おい、早く高橋に電話しろ!」
鳥越は警察官に対しては笑顔で対応していたが、職員へはすぐさま顔色を変えて高橋へ電話をするように指示をした。
「は、はい。今すぐ電話します」
職員は再び高橋へと電話をかける。警察を前に、緊張する教師や職員達。呼び出し音が鳴る間、教師たちは一言も発することが出来なかった。
「……はい、高橋です」
しばらく呼び出し音が鳴ったあと、高橋が応答した。
「た、高橋先生が出ました!」
職員がそう言うと、
「よし、変われ!」
鳥越は勢いよくそう叫び、職員から携帯を取り上げる。
「……高橋か。どうだそっちの様子は」
鳥越は警察を呼んだことで、少し余裕を見せていた。
「……どうって言われましても、特に変わったことはありませんけど?」
高橋も変わらず落ち着いた様子で答える。
「……ふん、そんな余裕を見せられるのも今のうちだぞ。お前らの望み通り、警察を呼んだ。だが、今大人しく出てくるなら、私から警察を説得して帰ってもらう。さぁ、どうするんだ?」
「……それは私ではなく学生たち本人に聞いてみてください」
高橋はそう言うと、電話口から外れる。そして、
「……もしもし」
と電話から坂本の声がした。
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