30日間の革命 #革命編 181日
教師たちは体育館の外で慌てていた。学生たちに体育館を占拠され、どうしたら良いのか未だにその答えは出ていなかった。しかし、大友の指示により体育館の入口を無理やりにこじ開けるため、職員は工具を集めていた。
「大友先生、持ってきました」
一人の男性職員が工具箱を両手に持ち走ってやってくる。
「よし、まずは扉の鍵を開けられるか試してみよう」
大友はそう言うと、様々な工具を取り出して体育館の扉にかかっている鍵を開けようと試みた。しかし、色々な工具を用いて開けようとするも、素人が簡単に開けられる訳もない。
「これ、鍵を開ける専門の業者とか呼びますか?」
その様子を見た一人の職員がそう言うと、
「ダメだ! 外部にこのことを知られてはいけない! だいたい何て業者に言うつもりなんだ? 『学生が立てこもったので鍵を開けてください』とでも言うつもりか! そんなこと言えるわけないだろ! とにかくこれは学内だけで解決するんだ! いいな!」
と、鳥越は再び大声で怒鳴った。
「……しかし教頭、これは中々素人でこじ開けるのは困難ですよ」
大友は冷静にそう話す。
「困難なもんか! この扉を壊してでもこじ開けるんだ!」
「……本当に壊しても大丈夫ですか?」
「もちろんだ! 生徒が立てこもったことが外部に漏れるくらいなら、扉の1枚や2枚壊しても構わん!」
鳥越の話しを聞いた大友は、
「よし、ならハンマーを持ってこよう。確か非常用に大きなハンマーがあったはずだ。誰か持ってきてくれ」
と再び職員に呼びかけた。災害時に障害物を破壊するための大きなハンマーが職員室には置いてあった。大友はそれを使ってこの扉を壊そうと考えたのだ。そして数分後、
「ハンマー持ってきました!」
と男性職員が走ってやってきた。
「よし、ならこれで壊すしかないな」
大友はハンマーを両手でしっかりと握りしめ、扉の前に立った。
「教頭、本当に良いんですね?」
「あ、ああ! それより早くこの騒動を収めなさい!」
「わかりました」
そうして大友はハンマーを振り上げ、思いっきり扉へと叩きつけた。
“ガンッ”
低く鈍い音が響く。扉には大きな傷とヘコみが出来ていた。
“ガンッ ガンッ”
大友はその後も何度も扉を叩き続ける。次第にそのヘコみは大きくなり、閉まっていた扉に少しの隙間が見えてきた。
「よし、もう少しこの隙間を広げて、そこから扉を開けよう」
大友はそう言い、再びハンマーを振り上げた。その時、
「大友先生!」
と、大友を呼ぶ声が聞こえる。ちょうどハンマーを振りおろそうとしていたところだったので、大友は少しよろめいてハンマーを止めた。
「何だこんなときに!」
声をかけたのは、近くにいた女性の教師だった。
「す、すいません。実は大友先生宛にお電話がきておりまして……」
「電話!? そんなもの後にしてくれ!」
大友はそう怒鳴った。それもそのはず。この緊急時に電話に出られる訳もない。それはここにいる誰もがそう思った。しかし、その女性教師は話しを続ける。
「す、すいません。で、でも今すぐに大友先生に変わってくれと言ってまして……」
と携帯電話を大友へと差し出す。
「だから今電話なんて後回しだ! 誰からだ、こんな時に電話をかけてくる奴は」
と大友は女性教師に聞くと、
「た、高橋先生からです」
と恐る恐る答えた。
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