30日間の革命 #革命編 164日
「もし、みんなの中で“学校を変えたい”と思う人がいたらその場で立ってほしい。みんなの意志を示してくれ」
加賀は全校生徒にむけて問いかけた。教師たちの動きが慌ただしくなる一方、学生たちはお互いの様子を見合うように動けずにいた。しかし、ここまでは想定内。次に白の会のメンバーが動き出す。
森下、神原、橋田、手崎らが一斉に立ち上がる。さらにそこから、森下や江藤、橋田らが呼びかけていた運動部の面々も続々と立ち上がり、革命へ賛同の意志を示した。その様子を見た学生たちはざわめき始める。この状況で、どうしたらいいのか。もちろん周りには教師たちがいる。この場で賛同を示せば、噂通りに停学になってしまうかもしれない。そんなことが頭によぎり、彼らに続いて立ち上がる学生はまだ現れない。しかし、森下や橋田といった影響力のある面々が立ち上がったことにより、自分も賛同しようかと思い始める学生もいた。
(頼む、立ち上がってくれ)
加賀はステージ上でそう願った。ここで賛同を得られれば、今すぐにでも革命を実行に移す準備は出来ている。ただ、このまま誰も立ち上がらなければ革命は失敗に終わる。
(誰か、動け!)
再び加賀は強く願った。その時、
「おい! お前ら、いつまで何をやっとるんや!」
会場に怒鳴り声が響いた。声の主は大友だっだ。この様子を見かねた大友はステージ上にいる加賀たちに向かい、大声で怒鳴りあげた。
「発表が終わったならさっさと幕を閉めろ! 誰に許可をとってこんなことやっとるんや!」
会場には大友の声が響き、空気が重くなる。大友の一喝により、立ち上がろうとしていた学生たちの腰が一気に重くなった。さらに大友が目をつけたのは、森下と共に賛同の意志を示した野球部の面々であった。
「そこの立ち上がってる奴らもはよ座れ! もう茶番は終わりや。さっさと席につけよ!」
ドスの効いた声とその睨みで、一度立ち上がった野球部たちは怯んだ。そして、大友の声に反射的に座ろうとしてしまう野球部もいた。
「大丈夫! 俺たちは自分の意志を示そう」
そんな時に声を上げたのは森下だった。森下は真っ直ぐ前を向き、大友に負けないくらいの大きな声でそう話した。森下の一声に励まされた野球部たちは、座りかけた腰を上げた。野球部にとって、大友は絶対的名存在だった。しかし、実はそれ以上に森下への信頼は厚かったのだ。
「はぁ? お前は何を言っとるんや! ええからさっさと座れよ!」
森下の行動に、更に大友のボルテージが上がっていく。しかし、すかさず加賀が、
「いや、自分の意志を示すんだ! 今、こうやって大きな声に負けてしまうような現状を変えたいから、俺たちはこうしている。みんな、もう一度考えてくれ。この学校を変えるべきか、そうでないのかを!」
と、こちらも大きな声で全校生徒へと呼びかけた。
「お前ら……。もういい! 今すぐ幕降ろす! お前らはそこにいろ!」
大友はかなら怒った様子でステージへと向かっていった。恐らく強制的に幕を降ろすつもりだろう。他の教師たちもその様子を見て、ステージへと向かっていった。
混沌とした雰囲気が体育館を埋め尽くしていく。
▼30日間の革命 第一部
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▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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