30日間の革命 #革命編 196日
“学校の体育館を占拠した”
Twitter上に投稿されたこのツイートは、既に色々なところへと拡散していた。もちろん、投稿したのは白の会自身である。神原は、体育館を占拠した後、色々な状況を細かくTwitterに投稿していたのだった。このアカウントは、以前加賀らと共に“ハッシュタグ作戦”を実行したときのものである。その時に、自身の学校の生徒のみならず、他校の生徒からもフォローされていた。なので、神原が体育館占拠のことをツイートすると、その噂はすぐに様々なところへと拡がっていったのであった。
「な、なんだこれは!?」
鳥越は驚きのあまり、後ずさりをした。
「も、もう既にネット上でこの噂が広まってしまったということだと思います……」
職員がそう答えると、
「なんでそんなことが外部に漏れるんだ!? 一体どうなっとるんだ!?」
と、鳥越は少し取り乱し始める。
「恐らくですが、中にいる学生自ら投稿したんじゃないでしょうか……。バリケードの写真もアップされているので、これは中からしか投稿できないと思いますし……」
「すぐにその画像を取り消すんだ! そんな勝手なことは許さん! 今すぐ取消せ!」
「む、無理ですよ。一度ネットに載ってしまったら、例えその投稿自体を消したとしても、拡がってしまったものを止めることは出来ません。それに、投稿をしている学生を止めない限り、投稿を削除してもまた付きに上げられたら意味ないですし……」
「な、何だと……」
鳥越はそのことを受け入れることが出来なかった。今までは、学生が何かしようとも全部自分たちでコントロール出来ると思っていたからだ。厳しい校則もその一つ。学生たちはあくまで子どもであり、大人の言うことに従うべき、従わせるべきだと思っていた。それが学生たちのためになる。そうとも思っていた。
しかし、今現実に起こっていることは、全くコントロールがきかない。停学をちらつかせれば、学生は大人しくなると思っていた。警察を呼べば、素直に体育館から出てくると思っていた。しかし、どれもうまくいかない。
鳥越は、頭の中が真っ白になっていくことを感じていた。
その頃、体育館の中では、動画撮影に向けての準備が着々と進んでいた。警察が到着し、ツイートも拡がり始めている。日が沈めば、この話題はもっと大きくなる。そのときに、全国に向けてメッセージを送るため、動画を配信する。それが坂本たちの狙いだった。
「しかし、全国に向けてのメッセージか。何か話が壮大すぎて実感湧かないな」
加賀は作業をしながらそうつぶやいた。
「でもセトはハッシュタグ作戦のとき、ネット配信してたじゃん。あんな感じだよきっと」
坂本も作業をしながらそう答えた。
「いや、全然違うよ。だって規模が違うじゃん、規模が」
「そう? でも、人に何かを伝えようとすることは一緒だよ。それが全国の人たちであっても、全校生徒であっても、たった一人であっても。あのときのセトすごくカッコ良かったよ」
「な、なんだよ急に」
坂本の言葉に、加賀は少し照れて顔をそらした。
「ん? どうしたの?」
坂本は無自覚のようで、急に顔をそらした加賀を不思議がった。
「……何でもないよ。天然ってのは恐ろしいね。ま、でもさっき小春が言ったことはその通りかもね。人数がどれだけいても、伝えようとすることは変わらない。思っていることをしっかりと伝えるだけだね」
「うん、そうだね。この動画で、今までの活動を含めた全てが決まるわ。何としても全国に届けようね」
「ああ」
二人はそう決意をしたのだった。そして、ゆっくりと太陽は沈んでいった。
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