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30日間の革命 #革命編 191日

 「警察を呼べ!!」

 体育館の外に鳥越の声が響いた。

 「え? け、警察ですか!?」

  鳥越の近くにいた大友は、いきなりの展開に戸惑った。

 「ああそうだ! 警察だ! 学生たちも警察を呼ばれたいらしい。完全に大人を舐めとるんだよ。大事にしたいならお望み通りにしてやる」

 鳥越は完全にキレていた。こうなるとどうしようもないということは、長年近くにいた大友が一番よく知っていた。

 「ほ、本当によろしいのでしょうか? 校長にも知らせなくても良いのですか?」

 「校長なんてのは私から後で報告しておく。それに警察が来たら学生たちもすぐに怖気づいて出てくるだろう。一度キツくお灸を据えてやらんとな。それに高橋にも分からせてやるんだよ。自分のしたことの重大さをな。とにかく警察に電話しなさい。近くの交番から一人か二人くらい警官が来てくれるだろうよ。それを体育館の中に伝えたらすぐに出てくるさ。そんな大事にはならんよ」

 「……わ、わかりました。おい、誰か警察に連絡してくれ」

 大友は近くにいる職員に指示を出した。

 一方、鳥越と電話を終えた高橋は、坂本らに声をかけに行った。

 「坂本、ちょっといいか?」

 「先生……。先生はここに残ってて大丈夫なんですか?」

 「大丈夫ではないが、俺はお前たちのことを最後まで見届けると決めたからな。だから最後まで付き合うつもりだ」

 「……ありがとうございます。絶対に革命を起こしてみせます」

 「期待してるよ。そんなことよりも、さっき教頭から電話がかかってきて少し話したんだが、恐らくもうすぐ警察が来るぞ」

 「え!? 本当ですか?」

 「ああ。俺も少し煽るようなことを言ったからな。あの人の性格なら絶対に乗ってくるはずだ。そして警察が来たら多分また俺のところに電話が来ると思うが、どうする?」

 「……そうですね。では、私がその電話に出ても良いですか?」

 「……別に構わんが、どうするつもりだ?」

 「私も煽ります! そして事をもっと大きくします!」

 そう答えた坂本の表情は、満面の笑みだった。

 「……言ってることとその表情が合ってないぞ。まあいいか。ならまた電話がかかってきたら呼ぶよ。俺は後ろの方で座ってるからな」

 「ありがとうございます! よろしくお願いします!」

 坂本は高橋に向かって深く頭を下げた。

 「しかしまさか高橋先生がここまで味方してくれるとはな」

 二人のやり取りを近くで見ていた加賀は、不思議そうにそうつぶやいた。

 「……そうね。私も少し驚いているけど、人って変われるんだなとも思ったよ。私たちの活動で高橋先生の気持ちも変えることが出来た。だから、もっと多くの人の気持ちも変えられると思う。しっかりと全国に届けようよ、私たちの活動を」

 坂本は去っていく高橋の背中を見つめながらそう答えた。

 「そうだな。やってやろうぜ」

 「うん。あ、そうだ。聞いてたかもしれないけど、もうすぐ警察が来るかもしれないから、神原くんたちと動画撮影の準備を進めてもらってもいいかな?」

 「そうだった。了解! なら準備に取り掛かるよ。……でも本当に警察来ても大丈夫かな? すぐに扉を開けられて無理やり中から出させるなんてことにならないよね?」

 「ええ、いくらなんでもいきなりそんなことにはならないわ。だから安心して準備を進めてね」

 「了解!」

 加賀はそう言うと、笑顔で去っていった。

 いよいよ警察が来る。坂本は一人、これからの動き方を考えた。

▼30日間の革命 第一部
まだお読みでない方は、ぜひお読みください!

▼30日間の革命 ~第二部革命編~
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