30日間の革命 #革命編 163日
「その答えが分からないなら、自分の目で確かめるしかない。今の学校に意味があるのか、それとも無いのか。……これからここでそれを確かめようと思う」
静寂に包まれる会場に、加賀の声が響き渡る。しかし、教師たちは少しずつざわめき始めていた。加賀が今何をしているのか、これから何をしようとしているのか。思い返すは夏の生徒会長選挙。あの時は坂本だったが、同じように全校生徒に語りかけていた。教師たちの頭には“革命”という2文字が浮かび上がっていた。
すると、一人の教師が高橋の元へと駆け寄る。
「た、高橋先生。彼らは何をやってるんですか? 高橋先生のクラスですよね?」
怪訝な顔をしながら高橋へと小さな声で話しかける。
「……さあ、何でしょうか。何かの演出なのかもしれませんね」
高橋は腕を組みながら、特に動ずることもなく答えた。
「え、演出って何ですか? もう発表の時間は終わったんじゃないんですか?」
「……どうでしょう。私には何とも言えませんね」
「何とも言えないって、あなたあそこの担当でしょ? この状況を確認してきてくださいよ」
「……まあまあ落ち着いてください。彼らも最後の文化祭なんですから、もう少し好きにやらせてあげてもいいんじゃないでしょうか」
「そんなこと言って、何かとあったらどうするんですか?」
「何かと言いますと?」
高橋がそう質問すると、その教師は言葉に詰まった。
「い、いや、具体的にどうこうって話じゃなくて。と、とにかく進行に影響が出る前に何とかしてくださいよ」
そして、それだけ言い残し、不満げに去って行った。高橋はその後ろ姿を見て少しため息をつく。
「……はぁ。全く大人ってのは余裕がないな。何が“何とかしてください”だよ。自分でどうにも出来ないなら、静かにしてろ」
高橋は小さな声でそう吐き捨てた。そして、再び腕を組んで、加賀たちの様子を見守った。
「今から改めてみんなに問う。……俺は今日、この学校を変えようと思う。ただ、それにはみんなの意志も必要なんだ。いくら俺たちだけが変えようと思っていても、一部の生徒だけじゃ変わらない。だから、みんなでこの学校を変えよう。理不尽な校則とか理不尽な罰則。それだけじゃない。俺たち学生は大人の言いなりに従うことが正しいわけじゃないはずだ! 自分たちの足で歩こう。自分のことは自分で決められるようにしよう。ちゃんと自分に責任を持とう! そして、この学校に革命を起こそう」
加賀の話しに熱がおびてくる。そして、ひと呼吸置いてから、ゆっくりと全校生徒へ問いかけた。
「もし、みんなの中で“学校を変えたい”と思う人がいたらその場で立ってほしい。みんなの意志を示してくれ」
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