30日間の革命 #革命編 186日
「ちょっと、勝手に話しを進めないでくださいよ」
と坂本たちの後ろから声がした。二人は振り返ると、そこには馬場が立っていた。
「ば、馬場!?」
加賀は驚き声を上げた。
「ったくねぇ。勝手なことを言うのもいい加減にしてくださいよ。そっちが巻き込んできたんでしょ。せっかく協力してあげているのに、何勝手に裏切り者扱いしてるんですか」
「……き、聞いてたのか? 今の話」
「バッチリ聞かせていただきましたよ。まあ確かに今なら簡単にこの状況をひっくり返せそうですけどね。今僕が『警察を呼ぶなんてとんでもない! 革命なんて止めよう!』って言えば、全校生徒は僕にすぐに味方するでしょうね」
「ま、待てよ。別にそう決めつけてた訳じゃないけどさ……」
加賀がそう言うと、
「……ううん、ごめん。正直に言うね。今、馬場君に反対されたら困ります。急に私なんかが出てきてこんなことを言うのも申し訳ないけど、私たちは本気で革命を起こしたいの。だから今止められる訳にはいかないわ。もし反対を起こそうとするなら、私は今ここで全力で止めるわ」
と坂本が加賀の話をさえぎりそう答えた。その顔は珍しく本気の顔だった。
「……いいですねぇ。坂本先輩の本気の顔を初めて見ました。……ここで本気の戦いってのも面白そうですね」
馬場は不敵な笑みを浮かべる。二人はお互いを見つめあい、緊張した空気が流れる。
「ちょ、ちょっと待てって。落ち着いて考えようよ。な?」
その空気を察した加賀は二人を止めようとする。すると、
「……ははっ。はははは」
と急に馬場が笑い始めた。
「ば、馬場?」
加賀がそう尋ねると、
「すいませんすいません。冗談ですよ。あんまりにも二人が本気だったんで、ちょっと乗っかってみただけですよ。あー、面白かった」
と馬場は笑いながら答えた。
「ど、どういうことだよ?」
「いやー、すいません。もう坂本先輩に逆らおうなんて気はすっかりなくなってますよ。さっきのあんな盛り上がりを見せられたらね」
馬場はそう言うと、ふっとため息をついたあと、再び口を開いた。
「加賀先輩に協力してくれって言われたときは、それを利用して坂本先輩を超えようと思ってましたよ。僕が革命を起こすことで真に坂本先輩を超えたことになる。そう目論んでいました。でもね、実際さっき坂本先輩が登場して、それに会場が熱狂して、今まで迷っていた学生たちも一気に革命に向けて立ち上がったのを目の当たりにしてね。僕が革命に賛同するってときでも半分くらいしか影響を与えられなかった。もうね、その時ガクッときたんです。もう超えられないってね。中学のときにあなたに会ってからずーっとあなたを超えるために頑張ってきました。でも、今日ここで負けを認めます。……だから、最後は一緒に戦わせてください。白の会をあんな形で脱退しましたが、もう一度復帰させてください。僕も力になりたいです。お願いします」
馬場はそう言うと、大きく頭を下げた。
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