30日間の革命 #毎日小説76日目
加賀は一人図書室に残り、今の現状を整理することにした。
まず、白の会を中断させようとしているのは、今わかっている時点では仙波のみである。そして、それとは別に手崎がバレー部ともめていたが、それを馬場が解決したという。そして、仙波と馬場は既に交際は終わっていると、仙波本人が言っていた。
馬場と仙波のつながりが無くなったといえ、この2つの出来事が全く無関係だとは思えなかった。ただ、これだけの情報では何もわからないので、加賀は女子バレー部の橋田に再び話を聞くことにした。
部活終わりの橋田を待ち、話しかけた。
「橋田さん、ちょっといいかな?」
「せ、先輩、どうしたんですか?」
「ちょっと聞きたいことがあってね」
加賀がそう言うと、橋田はその内容を悟ったようだった。
「もしかして、手崎さんのことですか? 私もちょうど話そうと思ってたんです。ちょっとだけお時間ありますか?」
そして、二人は学校の近くのコンビニのイートインスペースで話すことにした。
「さっきさ、手崎さんに会ってきたんだけど、何かもう問題は解決したって凄い元気になってて、少し驚いたよ」
「はい。正直私もこの展開は全く予想していませんでした。聞いているかもしれませんが、何でも1年生の馬場って男の子が江藤さんに直接かけあって解決したみたいですね」
「うん。俺も手崎さんから直接聞いたよ。女子バレー部ではその話題はどうだったの?」
「はい。私も気づかなかったんですけど、最近手崎さんのことを女子バレー部でも聞かなくなっていたんです。それで、昨日思い切って江藤さんに話してみたら、もう許したからって言うんですよ。急な展開すぎて、私も部員に聞いたりして、ようやく事態が飲み込めました」
「そうだったんだ。女バレでもそんな感じだったんだね。ちなみに、何かそれ以上に詳しいこと知ってる?」」
「私が今のところ知っていることはここまでです。私もこのこと知ったのが、今日だったので驚きで……。まだ手崎さんとも話せていないので、これから少しずつ何があったのかを聞いてみようと思います」
「そっか。もしさ、また何かわかったら教えてくれないかな」
「はい、もちろんです。先輩、一つだけいいですか?」
橋田は少し思いつめた表情で加賀へと話しかけた。
「う、うん。どうしたの?」
「……これは私の思い込みかもしれませんが、多分裏で色々と動いている人がいるんだと思います。この前まであんなに怒っていた江藤さんが、こんなにもあっさりと手崎さんのことを許すなんて、正直考えられません。それに、加賀先輩も私も色々と情報は集めていたはずです。それなのに、このことを知ったのがまさに今日なんて、ちょっと知るのが遅い気がするんです」
「うん。俺も何となくそれを感じていたよ。俺たちの知らないところで、誰かが何かを動かしているような気がするんだよね」
「それも多分ですけど、白の会が関わっているような気がするんです。今度、大きな集会を開くんですよね? 少し気を付けた方がいいかもしれませんよ」
「そうだね、ありがとう。気を付けるよ」
「ちなみに、坂本先輩はこのこと知っているんですか?」
「実はさ、小春とも最近話せてなくてね。でも、ちょっと話してみることにするよ」
「はい。その方がいいかもしれません」
「ならまた何かわかったら連絡するね」
そうして二人は解散した。
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takuma.o